【最新の教育評価入門講座(4)】評価結果の示し方…相対評価から目標準拠評価へ

教育評価総合研究所代表理事 鈴木秀幸
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問題点の克服を目指すために

テストをして点数が得られたとします。その点数の意味を示す方法として、順位や偏差値などで示すことがしばしば行われます。このような示し方を相対評価と言ってきました。

相対評価は一定の集団の中でテストを受けた児童生徒がどの位置にいるかを順位や偏差値などで示すものです。厳密に言えば、相対評価は集団の大きさによってノルム準拠評価と集団準拠評価に分かれます。ノルム準拠評価は集団の大きさが非常に大きい場合、通常は一つの国程度の大きさを考えています。つまり国全体での児童生徒の得点の位置付けを示すものです。一方、集団準拠評価は、これよりも小さな集団、通常は学校内とか学年、クラス内での生徒の得点の位置付けを示すものです。

しかしながら、2001年の文科省の指導要録改訂通知により、学習評価については観点別評価と評定の両者とも、目標準拠評価となりました。それまでは評定について相対評価を加味して示すことを認めていました。目標準拠評価は、絶対評価と言われていたものですが、誤解を生みやすい表現のため、目標準拠評価と表現することになりました。目標準拠評価は一定の評価基準に照らして、児童生徒の学習が評価基準の示す内容に到達したかを示すものです。

相対評価から全面的に目標準拠評価に転換したのは、相対評価の持つ問題点を考えたからです。問題点の一つは、児童生徒が努力してテストの点数が上昇しても、他の児童生徒の点数が上がれば、結果的に集団内での順位や偏差値が下がってしまいます。努力したのに、逆に悪い結果を示されれば、学習意欲が損なわれます。また、半分の児童生徒は常に平均以下という位置付けをされざるを得ませんから、平均以下とされた児童生徒の学習意欲を阻害することもあります。

問題点の二つめは、集団準拠評価で生じる問題です。集団準拠評価は学校や学年、クラスという集団の中での位置付けのため、比較の基準となる集団全体の学習状況が高いと、ノルム準拠評価のような国全体で比較すれば高く評価される児童生徒でも低く評価されてしまいます。

このような相対評価にまつわる問題を改善するために、目標準拠評価を全面的に導入することになりました。しかし、その代わりに目標準拠評価が持つ問題や課題の克服が必要となりました。

目標準拠評価の課題の一つは、評価規準をどう設定するかです。各学校などが評価基準を作成していた時期もありましたが(観点別評価は01年以前も目標準拠評価でした)、01年の目標準拠評価の全面的な導入を契機に国が評価基準の参考資料を作るようになりました(注:国の参考資料では基準ではなく、規準という漢字を使っています。以前はどちらが正しいかという論争がありましたが、今ではどちらの漢字を使っても同じということに落ち着きました)。最近では、参考資料に評価事例も示されるようになり、評価規準の意味を理解しやすくする工夫をしています。


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