面接対策 定番の質問を考える 教職の基盤となる姿勢を示そう

教採試験の面接には、「なぜ教師になりたいのか」などいわゆる定番の質問がある。これらの質問は教職に対する基本的な姿勢を問うものであり、軽く考えてはいけない。本紙面連載「面接の〇回答×回答」から、実際の面接でよく出される定番質問を取り上げた例をピックアップして、〇回答例とコメントを示しておく。これを参考にぜひ各自自分の体験などをもとにオリジナルの回答を考えてもらいたい。


回答にはきちんとした根拠を示そう
〈定番質問1〉

新任で学級担任を持つならどの学年からスタートしたいですか。

■回答例

与えられた学年を全力投球で頑張る覚悟です。もし許されるなら、中学年からスタートできたらうれしいです。

行動的で活動を通して考える子供たちに引かれます。教育実習も4年生の学級でした。子供らしい発想での問題解決やその子らしい表現の発表がとても印象的です。

私は、子供と共に汗をかき、笑ったり悩んだりして、体当たりの学級経営をしたいと考えています。3・4年生の学級で心の通い合う学級づくりを学びたいと考えます。

■コメント

謙虚な中に新任としてこれからの抱負が述べられています。自信と力強さが伝わってきます。  この手の質問は、勘違いすると回答がピント外れになりやすいので、気を付けなくてはいけません。学年は質問のきっかけをつくってくれていると考えた方がいいでしょう。学年を聞いているのではなく、むしろ答えた学年の根拠やその心構えに重点を置いた答え方が求められているのです。そこを意識した回答が大切です。

担任の真剣さを保護者に伝える
〈定番質問2〉

学校で他の子供の物を盗んでしまった子供がいます。その保護者にどのように伝えますか。

■回答例

この事例は、しつけ・基本的生活習慣に関わって、子供の人格形成にも影響する重要な質問です。保護者には把握している事実を正確に伝え理解してもらいます。学校では、友人関係やストレスに起因するこのような問題に対して3つの基本的な考えを持っていますが、改めて説明して協力を依頼します。

(1)何よりも児童を第一に考える(2)社会のルールに反することや犯罪に結び付く恐れのあることをしたときは厳しく指導する(3)学級の所属感を大事にする――の3点です。

物がなくなったときは一定時間全員で探し、被害児童に対する誠意を表すとともに今後の未然防止につなげます。人権上の配慮や指導の在り方、叱り方を曖昧にせず、学校が子供のために同一歩調で臨んでいることも合わせて伝えます。

■コメント

この事例は、指導上配慮を要し極めて重要です。ともすれば教育上、人権上から指導が曖昧になりがちですが、回答例には基本的な考えがきちんと押さえられています。

確かな考え方、方針による対応、再発させない未然防止の手だてが講じられています。学級の様子や学級担任が指導した内容、学級担任の真剣に対峙(たいじ)している様子などを保護者に伝え、知ってもらうことは大事なことです。

集団生活を通した人間関係づくりを
〈定番質問3〉

個性とわがままをどのように区別して、集団生活を指導しますか。

■回答例

私は、「個性」については他の人とは違う、その人個人にしか備わっていない特性として、「わがまま」については周りの迷惑を考えず自分勝手であることと捉えています。

個性は、内面から涌き出るものです。「個性」も「わがまま」も集団生活の中で発現が顕著なことから、この点に留意して指導に当たります。個性尊重の教育は人格形成の上で極めて重要ですが、逆にわがままの容認は健やかな成長を妨げます。このことをしっかりと押さえた上での指導が大事であると考えます。

子供の1日の学校生活を重視して個性の発現とわがままを確実に見極めます。そのためにはできるだけ多くの時間を子供たちと向き合い、ささいなことも見逃さず評価して指導につなげていきます。

■コメント

まず、「個性」と「わがまま」についての定義付けがされています。その上で、個性伸長とわがままの是正教育について集団生活をいかに効果的に指導するか、論が明快に展開されています。

集団生活を通して豊かな人間関係の醸成を図るには、集団生活の指導を通して行うのが最適です。学校生活で人間関係の基をつくる場は学級です。そこで意図的な経営を展開しながら集団作りを行い、ルール(約束)、リレーション(関係)の確立を図ることも大事なことです。

事実の把握と迅速な再発防止
〈定番質問4〉

同僚の教師が飲酒運転で逮捕されました。子供たちにどのように説明しますか。

■回答例

公立学校の教職員は公務員たる全体の奉仕者です。特に、教員は教育公務員として児童生徒の人格形成に当たる者として強い使命感と自覚が求められています。

教員の一人一人が服務規律の確保に努め、児童生徒、保護者の教育に対する信頼に応えることが極めて大事であると考えます。そのため、私は日ごろから児童生徒の道しるべとなるように努めていこうと思っています。

万が一にも、同僚の教師が飲酒運転で逮捕された場合には、校長の管理下で「事実を正確に把握する」「再発防止に向けた対応策を立てる」、以上を全教職員で理解の上で速やかに保護者会を開催して報告、説明をします。保護者、PTAの理解を図り次第、直ちに児童生徒には、法の順守、交通安全も合わせて説明を丁寧に行います。

■コメント

今日の社会では情報の開示が原則です。良しあしの判断は当事者がするのではなく、第三者がするのです。公立学校は地域・保護者の信託を受けているので当然のことです。その観点から今回の対応は極めて適切です。このような事故では、うわさが先行しがちです。校長の管理の下で、事実の正確な把握、再発防止の手だてが迅速にとられ、そのことを、適宜、保護者に説明して理解を図り、児童生徒に説明するという手順が確立されています。

愛情に裏打ちされた厳しさを
〈定番質問5〉

学校に対して保護者が一番望んでいることは何だと思いますか。

■回答例

わが子が毎日登校を待ち望む学校だと思います。保護者は誰でも、わが子が学校から帰ってくるなり、「学校へ行きたい。早く明日にならないかな」と切望するような学校を願っていると思います。物的・質的環境への配慮が分かる中で、登校して「昨日の勉強の続きがしたい」「友達に会いたい」「先生に会いたい」と思われる学校です。

物的な環境では、常に整理・整頓され、施設・設備が管理され、安全が確保された学校です。質的な環境では、「教科の学習は分かりやすく理解するまで教えてもらえる」「学級や学校の中で反社会的・非社会的な行動を察知したときには全教職員で真剣に取り組む体制が確立されている」「教員の身だしなみがよい」などの学校です。

■コメント

現実を直視し、子供たちの夢と希望を育てるのが学校教育です。

その子供たちの夢と希望をかなえる土台となるのは学力です。一人一人の子供たちに各教科の学力を保障し、安全で安心してわが子を委ねることができるのは当然です。そのためには、整理・整頓された環境が大事です。また、ささいないじめも絶対に見逃さないという感覚、強い姿勢がいいです。子供を健やかに育成する愛情に裏打ちされた厳しさが伝わり好感が持てます。

自分の力を冷静に見つめよう
〈定番質問6〉

あなたの能力で、教職に生かせると思うものはどのような能力ですか。

■回答例

体力と行動力があります。子供と遊んだり汗を流したりできます。子供が努力したり、つまずいたりしているときに見せる表情を観察します。その子らしい姿を捉えて学習指導や生活指導に生かして、子供を元気付けます。

私は、ボランティアで放課後児童クラブの支援活動をしています。子供たちが本当に頑張っているところは褒めてやり、一緒に喜び合います。うまくいかず困っている姿を見たらそっと後押しをします。この方法は学級経営から授業に生かして、意欲やチャレンジする気持ちを育てることにつながると考えます。

■コメント

これはよく聞かれる質問です。この回答は、自分の力をよく見つめ自信をもって答えています。

自己PRできる力は何か。どのように教職に生かせるのか。何度か書き直します。自分が努力してきたことやできることを、求められる教師の能力と結び付けて見直すのです。

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