【コロナ禍と教員採用試験(1)】今年の分析と影響

元帝京大学・帝京科学大学教授 釼持勉
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コロナ禍は教採試験にも大きな影響を及ぼした。2021年度もまだ影響は続くと考えられる。そこで、コロナ禍の中での教採試験の課題と展望を、教員志望者の指導を広く行っている元帝京大学・帝京科学大学教授の釼持勉氏に6回にわたり執筆してもらうことにした。

学びの時間と場の確保が困難に

2020年の6月から9月にかけて実施された21年度教員採用試験においては、コロナ禍が多大な影響を与えました。学生や社会人の教員志望者の皆さんは戸惑いながらの受験になったかと存じます。その概要をまとめてみましょう。

コロナ禍の影響で採用試験に対する従来の取り組みはほとんどが困難になってしまいました。どのように勉強して、どのように試験を受ければよいか分からないという心配と悩みをもたない受験生はいないという状況だったと思います。
以下に3点について言及します。

1点目は、教採試験を実施している全国各自治体の多くは試験の内容を見直したということです。模擬授業や集団面接・集団討論などを取り止めにした自治体が多く出てきました。例えば、複数の自治体を受ける志望者がいた場合、試験のパターンというのはそれほど大きな違いはありませんでしたが、今回はそれぞれの自治体が多様な対応をしたので対策が立てにくくなりました。

特に、学生にとって緊急事態宣言以後は、大学の対応は授業から対策講座までほとんどがオンラインでしか受けられなくなってしまったという実態があります。いわゆる対面型の支援が受けられず、細かい相談などができなくなってしまったわけです。

2点目は、学ぶ仲間の存在です。大学が休校、閉鎖してしまったので、共に教員を志望し、共に学ぶ受験仲間との関係性が絶たれてしまいました。授業はオンラインで行われるようになりました。仲間ともオンラインでは連絡が取れていたでしょう。しかし、従来行われていた対面による学びの共有ができません。同じ目標を持った仲間と学び合うということが実は大きな意義と役割を持っていたのですが、今回はそれができませんでした。社会人も、対策講座などで学ぶ機会が少なくなり、仲間との交流もなく、全体の見通しが立たない事態にもなっていました。それでも、「コロナ禍の中での教員採用試験」は実施されました。

3点目は、学ぶ場所と時間です。前述のように大学では、オンラインによる対策は実施していましたが、学生一人一人個別に対応してもらえる時間には制約がありました。また、図書館なども多くは閉館しており、開館していても短時間であったようです。地元の図書館なども同様に閉館状態が続き、自宅での学びしかできない状態でした。集団面接・集団討論を実施していた自治体の場合、受験者たちは十分な練習や対策が取れなかったようです。学びの時間と場の確保は一人一人に委ねられてしまいました。社会人は学生以上に厳しい状況でした。

こうした中でもなんとか合格した人たちは、現在、4月の着任に向けて準備をしています。ですが、学校現場に無事に適応できるかどうかを心配している人も少なくないようです。

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