学習指導要領の変遷を学ぼう 採用試験対策の軸に

教員採用試験の勉強の軸は、何といってもやはり学習指導要領に関するものであろう。学習指導要領とその関連事項は、最も重要なことであり、避けて通ることができない。筆記を中心として出題されることが多いが、その内容、資料などを適切に理解することは、筆記のみならず、論作文、面接においても必要だ。2020年度に小学校からスタートした新しい学習指導要領については、学ぶ機会が多いと思われるので、ここではそれ以前の学習指導要領の歴史に焦点を当てよう。


〇基本的性格は「教育課程編成上の全国的な基準」

面接などにおいて意見を述べるとき、具体的に「学習指導要領によれば」「総則に○○とあるように」と明示できれば、説得力が増し、この人物は勉強をしている、と評価される。

その変遷をきちんと押さえることは、新しい学習指導要領の背景をしっかりと理解することにもつながる。

学習指導要領は、1947年(昭和22)に試案としてはじめて出されている。その後、これまでに何回改訂されているかというと、1958~60年(昭和33~35)、68~70年(昭和43~45)、77~78年(昭和52~53)、89年(平成元)、98~99年(平成10~11)、2008~09年(平成20~21)で、今回の改訂は7回目である。

時代の進展に伴う社会の変化などに対応して、ほぼ10年ごとに改訂されているわけだ。

基本的な性格は、「小中高校など学校教育における教育課程編成上の全国的な基準として告示されているものであり、学校教育法及び学校教育法施行規則に基づいて、文部科学大臣が定める」というものだ。

学習指導要領は、筆記試験で必ず出題されるといってよい。全文は文科省サイトで閲覧することができる。勉強する際は全文をプリントアウトするか、もしくは市販されている冊子版を用意することをお勧めする。重要事項へのアンダーラインや書き込みもでき、持ち運びにも便利だ。参考法令などの付録資料が付いているものもあり、結構重宝する。ネットでも簡単に購入できる。

○基本方針等の変遷を見る

これまでの改訂における基本方針を、次にあげていく。

▽58~60年(昭和33~35)

教育課程実施上の諸問題の解決と独立国家の国民としての正しい自覚をもち、個性豊かな文化の創造と民主的な国家および社会の建設に努め、国際社会において真に信頼され尊敬されるような日本人の育成を図るため、道徳教育の徹底、基礎学力の充実、科学技術教育の向上、地理、歴史教育の改善充実。

▽68~70年(昭和43~45)

前回改訂以後の、わが国における国民生活の向上、文化の発展、科学技術の革新などに伴う社会の進展、国際的地位の向上などを考慮して、人間形成の上から調和と統一のある教育課程を実現、教育内容の一層の向上とともに指導内容の精選・集約。

▽77~78年(昭和52~53)

高校教育が著しく普及した現状にどう対応するか、また学校教育の現状から見て児童生徒の知徳体の調和の取れた発達をどのように図るかなどの問題に対応するため、(1)人間性豊かな児童生徒を育てる(2)ゆとりのある充実した学校生活が送れるようにする(3)国民として必要とされる基礎的・基本的な内容を重視するとともに児童生徒の個性や能力に応じた教育が行われるようにする――こと。

▽89年(平成元)

情報化、国際化などの社会の変化とそれに伴う児童生徒の生活や意識の変容に配慮しながら、生涯学習の基盤を担う観点に立ち、21世紀を目指して社会の変化に自ら対応できる心豊かな人間の育成を図ることを基本的な狙いとし、(1)心豊かな人間の育成(2)基礎・基本の重視と個性教育の推進(3)自己教育力の育成(4)文化と伝統の尊重と国際理解の推進――を重視。

▽98~99年(平成10~11)

完全学校週5日制のもとで、各学校がゆとりの中で特色ある教育を展開し、子供たちに「生きる力」を育むことを基本的な狙いとして、(1)豊かな人間性や社会性、国際社会に生きる日本人としての自覚の育成(2)自ら学び自ら考える力の育成(3)ゆとりのある教育を展開し、基礎・基本の確実な定着と個性を生かす教育の充実(4)各学校が創意工夫を生かした特色ある教育、特色ある学校づくり――を重視。

▽2008~09年(平成20~21)

教育基本法の改正等で明確になった教育理念を踏まえて教育内容を見直し、基本方針は(1)改正教育基本法等を踏まえた改訂(公共の精神、生命、伝統や文化の尊重)(2)「生きる力」という理念の共有(教育関係者、保護者、国民への説明)(3)基礎的・基本的な知識・技能の習得(理数教育を中心に国際的通用性を踏まえた内容の充実、重点的指導や繰り返し学習の充実)(4)思考力・判断力・表現力等の育成(観察・実験、レポート作成、論述などの知識・技能を活用する学習活動の充実、言語力の育成)(5)確かな学力を確立するために必要な授業時数の確保(6)学習意欲の向上や学習習慣の確立(7)豊かな心や健やかな体の育成のための指導の充実(言語と体験の重視、道徳教育の充実、体力の向上)。

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