【最新の教育評価入門講座(7)】採用試験で問われること…形成的評価 アカウンタビリティなどの意味を理解

教育評価総合研究所代表理事 鈴木秀幸
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「何のために評価するか」、評価の目的や機能に関して、教員採用試験ではここしばらくの間は形成的評価に関する問題や質問が中心になると思われます。形成的評価、総括的評価、診断的評価の区分については、この連載第1回で述べた通りです。ごく簡単に要約しますと、形成的評価は学習の改善のための評価、総括的評価は一定期間の学習成果を要約して示す評価、診断的評価は学習の始めに生徒の学習上の問題点や状況を把握するための評価です。

形成的評価が注目されるのは、1998年にイギリスのP・ブラックらが形成的評価の学習改善効果が極めて大きいことを論文で示したからです。ここまで教員採用試験で問われることはありませんが、新学習指導要領でも求められている「深い学び」のために知っておいた方が良いでしょう。少なくとも学習の改善効果が大きいことを知っておく必要があります。

わが国でも2019年1月21日の中教審教育課程部会による「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)」で、学習評価の方向性として「児童生徒の学習改善につながるものにしていくこと」と述べられており、形成的評価の重視を示しています。学習評価に関してのこの報告は一読しておく方が良いでしょう。

形成的評価のための情報はどのようにして得るかという問いには、授業中のミニテスト、宿題、教師の質問などをあげることです。ただしこれらを学習の改善に用いなければ、総括的評価の繰り返しとなることに注意すべきだと付け加えると良いでしょう。加えて、教師の質問により生徒の考えを聞く場合には、生徒に考える時間を十分に与えることが必要であること、また間違った答えは逆に理解を深めるのに役立つことを生徒に説明しておくと生徒は自分の考えを話しやすくなること、ここまで答えられれば非常に良い解答となります。

総括的評価に関連して、ハイ・ステイクスという言葉が最近よく使われます。これは評価の結果が生徒の将来に影響したり、学校や教師の成果を示したりするものとして、社会の注目を浴びる場合のことをさします。大学入学共通テストなどは、このハイ・ステイクスな評価の代表例ということになります。

さらにアカウンタビリティもしばしば登場します。日本語で説明責任と教育以外の分野で使われるのは、アカウンタビリティの日本語訳です。評価の分野では、全国学力・学習状況調査が、アカウンタビリティの目的で実施されています。つまり、学校が学力の向上にどの程度成功しているか、社会全体に説明する役割を持っています。この調査を用いて各学校が学習の改善に用いれば、形成的評価の役割も果たしていることになります。総括的評価に関しては、アカウンタビリティとハイ・ステイクスの意味を理解し、適切に使えるようにしておきましょう。


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