【最新の教育評価入門講座(10)】採用試験で問われること…目標準拠評価

教育評価総合研究所代表理事 鈴木秀幸
この連載の一覧

評価基準をどう設定するかが課題

2001年の改訂により指導要録の学習評価は、評定を含めて目標準拠評価に変わりました。評価の結果を示す方法として、相対評価と絶対評価の2つに大別されると長らく言われてきましたが、絶対評価と言う表現は誤解を招く印象を与えるため、01年の改訂を機に、目標準拠評価と表現することになりました。

採用試験では、なぜ相対評価から目標準拠評価になったか、これを相対評価の問題点から説明することを問われることが考えられます。相対評価には、ノルム準拠評価と集団準拠評価の2種類があります。これについては第4回で説明した通り、前者は集団が非常に大きい場合(国全体など)、後者は集団が小さい場合(学校、学年、クラスなど)に区分されます。いずれにしても相対評価は集団に対する各人の位置付け(順位、偏差値など)で評価結果を示します。

相対評価の問題点は、生徒が努力して向上しても、集団全体の点数やレベルが上がると、生徒の偏差値や順位は下がってしまうことです。努力して向上しても、結果が悪く示されれば、学習意欲を損なうこととなります。また、順位や偏差値が上がっても、進歩したのか必ずしも確かではありませんし、実際に何ができるようになったかも示すことはできません。このような相対評価が持つ問題点を考慮して、目標準拠評価が導入されることになりました。

目標準拠評価の場合には、一定の評価基準に照らして生徒がその基準に到達したかどうかを評価結果から判断して示します。以前よりも上位の評価基準に到達したと判断されれば、他の生徒の結果とは(集団全体の状況とは)関係なく、学習の進歩が認められることとなります。進歩が認められれば、生徒の学習意欲が高まると考えられます。

目標準拠評価の課題は、評価基準をどう設定するかということにあります。1つの方法は、ペーパーテストを前提にした基準の設定方法です。テストをして点数が出た場合に、例えば100点満点で80点以上はA、60点以上はBなどというように一定の点数を評価基準に設定する方法です。このような数値的な基準は、特にカッティング・ポイントまたはカッティング・スコアと言います。

しかし、国語の作文や、社会科のレポートなどの評価のために、ペーパーテストを用いて、100点満点でカッティング・ポイントを用いて評価することは困難です。このような場合には、作文やレポートを初歩的なものや幼稚なものから、高度なものや洗練されているものまでのいくつかの段階に区分する評価基準が必要です。このような目的に適したのがルーブリックやスタンダード準拠評価による評価基準の設定となります。前者は、特定の課題に即した評価基準、後者はいろいろな課題に共通して用いられる評価基準という違いがあります。


この連載の一覧

特集