印象に残る模擬授業のポイントは④授業の活性化を目指して 立ち位置、調べ学習などを考える

「印象に残る模擬授業のポイントは」の4回目は、立ち位置、調べ学習、グッズや資料などの活用を取り上げる。実際に教壇に立つようになってからも役立つポイントを示す。


〈立ち位置〉

授業中、教師はどこに立って指導をするのかは重要な要素である。一般的には、教師は常に教卓と黒板の間に立ち、子供たちに正面から向かって授業をする、と思われている。もちろんそれが基本ではある。時には、立ち位置を変えて臨むのも有効である。

▽話し合い活動の時は話す子から離れてみる=通常、全員が黒板向きの座席の場合、発言する子供は教卓にいる教師に向かって話すことが多い。学級全体で話し合い活動をする場合、発言する子の意見は子供たちに聞かせたいものである。そこで、教師は話す子からあえて離れた場所に移動してみよう。窓側前列の子が話す時に、教師は廊下側後方に移動してみる。こうすると、発言する子と教師のやりとりを学級全員が見ることができるようになる。発言する子も学級全員に向けて自然に話すことにもなる。

▽子供たちが見やすい位置で板書する=黒板に正対してしっかりと書くのが板書の基本。ずっと黒板を向いてばかりでは、子供たちの様子が見えない。教師の後ろ姿で字が見えにくいこともあるだろう。板書の途中で子供たちのほうを向いて様子を確認したり、時には子供たちに顔と体を向けながら板書したりすることも必要だ。子供たちがどのように板書を見ているのか、子供の立場で常に意識しておきたい。どのような立ち位置が教育効果が高いのか、考えておこう。

模擬授業では板書の途中で子供のほうを振り返ったり、体を向けながら書いたりする動作を取り入れて、子供たちの様子に気を配っていることを示したい。

模擬授業では、校庭での授業を想定することはないと思うが、体育や理科の観察などで校庭で授業する場合、太陽の位置に気を付けよう。顔を太陽のほうに向ける立ち位置を取りたい。太陽を背にすると、教師の顔が見えないからである。

〈調べ学習〉

実際の授業では効果的に調べ学習を取り入れることが学習活動の活発化、充実した授業のポイントとなる。教採試験の模擬授業でもあらかじめ教科、単元、課題などが知らされている場合は、授業の中に調べ学習をさせる場面を設定したらどうだろうか。上手に導入できれば、授業の活性化に工夫している、と評価される。

実際の授業では、総合的な学習の時間や社会科などで調べ学習を取り入れる場合、「調べ方を教えたらあとはお任せ」ということが少なからずある。このため、「1時間の授業中、ずっとインターネット検索だけをしていた」「関係図書を丸写ししただけで終わり」ということもあるようだ。調べ学習の具体的な方法を子供たちに示すことが重要になる。以下のような手法を模擬授業でも適宜取り入れるとよい。

☆インターネットでの調べ学習を行う場合

▽調べるサイトを指定する=子供たちがインターネットを活用する場合には、小学校の授業なら教師がサイトを指定したほうがよい。そのほうが余計なサイトを見ることがないし、子供たちが適切は情報を得ることができる。例えば「YAHOO!きっず」などは役に立つサイトである。

▽「検索キーワードの工夫」を教える=キーワードで検索をさせる場合、入力するキーワードを工夫することを教えるとよい。目的の情報にたどり着くには、複数のキーワードを入力したり、「〇〇とは」と入力したりするとよいことなどを教えたい。

▽検索時間を決める=検索させる時間を区切って決めておきたい。いつまでもだらだらと検索するのではなく、その範囲で見付けた情報で次に進むようにする。

☆学校図書館で一般的な図書を用いての調べ学習を行う場合

子供用の索引がある事典などを用いる場合はあまり心配はないが、例えば「科学マンガ」「歴史マンガ」というような一般的な図書を用いるときには、調べ方を指導してほうがよい。

▽目次で必要な情報を選ばせる=一般的な図書には学習に不要な情報が多く載せられている。まず目次を読ませ、そこから必要な情報がある場所を推測させるようにする。重要なページには付箋などを貼るとよい。

▽視点を与えて読み取らせる=一般的な図書を用いる場合、そこから得た情報を学習用に抽出するには、「調べる視点」が必要となる。例えば、社会科で歴史について調べさせるなら「人物の業績」「政策の理由」「その結果と与えた影響」などという視点を持たせたほうが調べやすいし、有効な調べ学習になる。

GIGAスクール構想で1人1台の端末整備が一挙に進んだ。これをとらえ、模擬授業でも端末を用いた調べ学習の場面を設定すると採点官の印象が高まることだろう。模擬授業の時間は短いので、調べ学習の時間を15分と設定してもその時間をきちんと取るわけにはいかない。「それでは調べてください」と指示を出したあと、「15分が経ちました」ということにして発表など移るとよい。

〈グッズや資料などの活用〉

調べ学の場合もそうであるが、模擬授業で扱う教科、単元などがあらかじめ指示されているのなら、それに合わせて授業のグッズや資料なども用いることを想定して模擬授業をするとよい。

▽辞書を活用する=国語の辞書、漢字の辞典、英和辞典などを授業で用意して、調べる活動を取り入れる。言葉の意味を調べさせたり、「こざとへんの漢字には何がありますか」「一で始まる慣用句はどんなものがありますか」などを授業の中で効果的に調べさせたりするのである。語彙力を広げることなどに効果がある。タブレットなどで辞書アプリを活用するのもよいだろう。

▽板書グッズを活用する=教師が説明する際も、子供たちが前に出て黒板を使う際にも、できるだけ多くの板書グッズを活用すると効果的である。黒板消し、指示棒、マグネットなどを効果的に使いたい。子供たちの席で使える小黒板なども用いたいものである。

授業では実物などを効果的に示して、子供たちの興味関心を高めたりする。学生の受験者は授業経験が少なく、このようなグッズを使い慣れていないかもしれない。大学の教官などによく教えてもらい模擬授業で上手に活用できれば、「よく勉強している学生だ」と印象がよくなるだろう。