【模擬授業の心得(3)】7分の制限時間で15分の授業ができる

共栄大学准教授/元埼玉県小学校教諭 小川 拓
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教員採用試験の受験者に模擬授業を指導する中で感じるのは、「教え過ぎ」という点です。教師は話すのが仕事ですが、のべつ幕無し、解説し通せばよいというわけではありません。学校の教師は予備校とも違います。予備校の有名講師の「オンライン動画」などを見る機会も多いのでしょうが、それらをまねしても採用試験では高く評価されません。

では、予備校と学校では、どこが違うのでしょうか。それは「目的」です。予備校の目的は「志望校合格」であり、学習指導要領を基準として行う授業とでは、基本的に異なります。

また、対象となる子供の状況も異なります。学校の教室には、学力や生活環境等、多様な子供が在籍しています。そうした子供たちに対して行う授業では、学校の教師として固有の「話術」が必要なのです。

学校では45~50分の中で児童生徒を引き付け「ねらい」「めあて」に迫る授業をしていく必要があります。当然、学力差や発達段階も考慮する必要があります。特別な支援が必要な児童生徒がいることも、想定しなければなりません。

模擬授業をする際、なかなか授業内容に入っていかない受験者がいます。「日直さん、号令を掛けてください」「良いあいさつですね」「皆さん、姿勢が良いですね」「ノートもしっかり開けています」などと言ってばかりいると、短い模擬樹授業の時間がさらに短くなってしまいます。最初に「よろしくお願いします」と言ったら、すぐに授業内容に入りましょう。

もし、模擬授業の制限時間が7分で、「導入」から行うよう指示があった場合、何分間の授業をできると思いますか。おかしなことを聞いていると思われそうですが、7分ではなく、15分程度の授業ができます。例えば、授業中に「3分間話し合ってください」と言い、すぐに3分が経過したものと想定して、「それでは発表してください。なるほど良い考えですね」などと言えば、話し合いの時間をカットできるのです。

そのようにして、できれば「導入」から「展開」の途中くらいまでは進んでもらいたいと思います。もし、模擬授業が「導入」の途中で終わった場合には、大きく減点されてしまうでしょう。

模擬授業では、解説・説明に終始することなく、考えさせたり、話し合わせたり、子供の発言を生かしながら授業を進めていく姿勢が大切なのです。


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