【神谷正孝の教育時事2021(9)】中教審「令和の日本型学校教育」答申について(4)

kei塾主任講師 神谷 正孝

「小学校での教科担任制,高校普通科改革~各論のポイント」

皆さん、こんにちは。仙台を拠点とする教員採用試験対策専門スクールkei塾(http://www.kei-juku.jp/)主任講師の神谷です。3回にわたり解説してきた中教審答申「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~」ですが、今回で一区切りにします。今回は、各論で示された方策のポイントを解説します。

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答申では、第Ⅱ部各論において、「幼児教育の質の向上」「義務教育の在り方」「高等学校教育の在り方」「特別支援教育の在り方」「外国人児童生徒への教育」「ICTを活用した学び」など9つを示しています。採用試験対策としては、小中高校教育や特別支援教育に関する内容として、各論2~4を確認し、どのような提言がなされているのかを押さえましょう。また、ICTや外国人児童生徒に関する内容は、今「旬の話題」だけに要注意です。

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各論2 9年間を見通した新時代の義務教育の在り方について

各論2では、資質能力を育成する方策として、9年間を見通した義務教育の教育課程の在り方やそこでの指導について述べられています。その中で一番のトピックは「小学校高学年における教科担任制の導入」です。背景には、学習内容が高度化する高学年の指導において、系統的な指導により中学校への円滑な接続を図ることや、個々の児童生徒の学習状況を把握し、教科指導の専門性を持った教師がきめ細かな指導に当たることで、児童の学習内容の理解度・定着度の向上と学びの高度化を図ることがあります。この教科担任制は、専科指導の対象に外国語・理科・算数の各教科を加える形で、2022年度をめどに本格導入する方向です。

ここでは、さらに不登校児童生徒への対応や、いじめへの対応、自殺予防の取り組みなどの生徒指導上の課題に関する内容、健康な生活を送るために資質・能力を育成するための方策として、健康リテラシー育成、養護教諭の適正配置、栄養教諭の配置促進などについても言及されています。

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各論3 新時代に対応した高校教育などの在り方について

各論3では、特に高校における学習活動を、高校生の学習意欲を喚起し、可能性および能力を最大限に伸長するためのものへと転換するとし、各高校の特色化・魅力化を図る方策について示されています。各学校がスクール・ポリシーを作成することや、普通科改革、専門学科改革、総合学科での学びなどについて述べるとともに、STEAM教育などの教科等横断的な学習の推進について述べられています。特に普通科改革では、従来の「普通教育主とする学科」の設置について、「学際的な学びに重点的に取り組む学科」「地域社会に関する学びに重点的に取り組む学科」「特色・魅力ある学びに重点的に取り組む学科」などの設置が例示されています。

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各論4 新時代の特別支援教育の在り方について

各論4で述べられている内容は、障害のある子供の学びの場を整備することやそれに携わる教師の専門性の向上に関わることが中心です。とりわけ、全ての教師に求められる専門性として挙げられている「障害特性の理解」「特別支援教育に関する知識」「個に応じた指導内容・方法の工夫」は重要です。また、特別支援学級や通級指導担当教師に求められる専門性、支援学校教師に求められる専門性についても言及されているので、志望に応じて確認しておきましょう。全体として、これまで各所で言われてきたことを取りまとめて示しています。

1.次の文は、中央教育審議会答申「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと,協働的な学びの実現~」(令和3年1月26日)の一部である。空欄に当てはまる語句の組み合わせとして正しいものを選びなさい。

今般改訂された学習指導要領では,各教科等の指導を通して育成を目指す資質・能力を「知識及び技能」,「思考力,判断力,表現力等」,「学びに向かう力,人間性等」の3つの柱で再整理しており,この資質・能力の3つの柱は知・徳・体にわたる「生きる力」全体を捉えて,共通する重要な要素を示したものである。このため,学校において児童生徒の学力の確実な定着について検討するに当たっては,この資質・能力の3つの柱をバランスよく育成することが必要である。新学習指導要領を着実に実施するに当たっては,GIGA スクール構想により整備される ICT 環境を最大限活用し,「( A )」と「協働的な学び」を充実していくことが重要である。

また,新学習指導要領では,児童生徒の発達の段階を考慮し,言語能力,情報活用能力,問題発見・解決能力等の学習の基盤となる資質・能力を育成していくことができるよう,各教科等の特質を生かし,( B )な視点から教育課程の編成を図るものとされており,その充実を図ることが必要である。

具体的には,( C )については,まず,教科学習の主たる教材である教科書を含む多様なテキスト及びグラフや図表等の各種資料を適切に読み取る力を,各教科等を通じて育成することが重要である。その際,教材自体についても,資料の内容を適切に読み取れるような工夫を施すべきである。また,判断の根拠や理由を明確にしながら自分の考えを述べる力を身に付けさせることも必要だが,そのためには,レポートや論文等の形式で課題を分析し,論理立てて主張をまとめることも重要である。

コンピュータ等の情報手段を適切に用いて情報を得たり,情報を整理・比較したり,得られた情報を分かりやすく( D )したりといったことができる力,このような学習活動を遂行する上で必要となる情報手段の基本的な操作の習得を含めた情報活用能力を育成することも重要である。

A        B        C      D

1 個別最適な学び  教科等横断的   言語能力    発信・伝達

2 個別最適な学び  教科等横断的   問題解決能力  発信・伝達

3 個別最適な学び  グローバル    問題解決能力  発信・伝達

4 学びの個性化   グローバル    問題解決能力  分析・整理

5 学びの個性化   教科等横断的   言語能力     分析・整理

6 学びの個性化   グローバル    言語能力    分析・整理

2.次の文は、中央教育審議会答申「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと,協働的な学びの実現~」(令和3年1月26日)の総論で示された「各論3 新時代に対応した高等学校教育等の在り方について」に関するものである。内容として適切でないものを1つ選びなさい。

1.現行法令上,「普通教育を主とする学科」は普通科のみとされているが ,約7割の高校生が通う学科を「普通科」として一括りに議論するのではなく,「普通教育を主とする学科」を置く各高等学校がそれぞれの特色化・魅力化に取り組むことを推進する観点から,各学校の取組を可視化し,情報発信を強化するため,各設置者の判断により,当該学科の特色・魅力ある教育内容を表現する名称を学科名とすることを可能とするための制度的な措置が求められる。

2.職業教育を主とする学科を置く高等学校においては,技術革新・産業構造の変化,グローバル化等,社会の急激な変化に伴い,修得が期待される資質・能力も変わってきており,今後とも大きく変わることが考えられる中,地域の持続的な成長を支える最先端の職業人育成を担っていくには,加速度的な変化の最前線にある地域の産業界で直接的に学ぶことができるよう,産業界と高等学校と一体となった,社会に開かれた教育課程の推進が重要である。

3.各高等学校が掲げるスクール・ミッションや各学校の実情等に基づき,特色・魅力ある教育活動を展開するための方策として,地域社会や高等教育機関,企業等の関係機関と連携・協働することが求められる。もとより,子供たちの資質・能力は学校だけで育まれるものではないことから,一つの学校で全てを完結させるという「自前主義」から脱却し,学校内外の教育資源を最大限活用して,関係機関にも開かれた教育活動が行われる必要がある。

4.「総合的な探究の時間」は,「社会に開かれた教育課程」の理念の下,産業界等と連携し,各教科等での学習を実社会での問題発見・解決に生かしていく高度な内容となるものであることから,高等学校における教科等横断的な学習の中で重点的に取り組むべきものである。

解答・解説

1.解答 1

2.解答 4 解説 「総合的な探究の時間」ではなく,「STEAM 教育」である。「STEAM教育」については,国際的に見ても,各国で定義が様々であるが,STEM(Science,Technology,Engineering,Mathematics)に加わった A の範囲をデザインや感性などと狭く捉えるものや,芸術,文化,生活,経済,法律,政治,倫理等を含めた広い範囲で定義するものもある。

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