【教育ニュースの勘所(1)】働き方改革

月刊『教員養成セミナー』元編集長/教育ジャーナリスト 佐藤 明彦
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「働き方改革」が進められている経緯

教員採用試験を受ける人なら、教育界で「働き方改革」が進められていることは知っていることでしょう。ちなみに、教育新聞デジタル版で「働き方改革」を検索すると、実に1057件もの記事がヒットします。最も古いのは2016年11月ですので、ここ5年ほどの間で広く使われるようになった言葉と言えます。ここでは、「働き方改革」が進められるようになった経緯と改革の主な内容について簡単に説明をします。

まずは経緯です。なぜ「働き方改革」が進められるようになったのか、それは教員の過重労働が大きな問題として捉えられているからです。文科省の調査(※1)を見ても、超過勤務が80時間以上、いわゆる「過労死ライン」を超えている教員が、小学校で8.5%、中学校で15.8%に上っています(2020年6月のデータ)。かつては教頭職が激務で、「セブン・イレブン」(朝7時に来て、夜11時に帰る)と揶揄された時代がありましたが、今は一般教員の中にも、そうした勤務を強いられている人が少なからずいるのです。

なぜ、これほどまで多忙化が進んだのか、主たる要因として挙げられているのは、学校教育の役割の肥大化、児童生徒や家庭の多様化、事務書類の増加などです。また、「ゆとり教育批判」以降、週5日制のまま教育内容が増えたことも、平日の忙しさに拍車をかけました。

そうした状況がある中でも、日本の教員は「子供のため」を合言葉に、踏ん張り続けてきました。しかし、精神疾患による病気休職者の増加(高止まり)、教員志望者の減少などが進むにつれ、「このままではまずい」という問題意識が、ようやく国レベルでも共有されるようになりました。そして、2019年には中教審が、過重労働の解消策についての答申(※2)をまとめるに至りました。

採用試験対策のポイント

次に内容です。「働き方改革」は、上記答申が筆記試験でもよく問われます。この中で必ず押さえておきたいのは、「学校が担うべき業務」について、次のように整理がなされたことです。

①基本的には学校以外が担うべき業務

②学校の業務だが、必ずしも教師が担う必要のない業務

③教師の業務だが、負担軽減が可能な業務

例えば、登下校時の対応は①、部活動の指導は②、給食時の対応は③といった具合に示されているので、確認しておくとよいでしょう。
また、「月45時間・年360時間」という超過勤務時間の上限ガイドラインが示されたこと、1年単位の変形労働時間制の導入が自治体単位で可能になったことなども押さえておきたいポイントです。

「働き方改革」は、面接試験でも「どう取り組みますか?」と聞かれる可能性もあります。その際、「積極的に取り組みます」等という回答は、手を抜くような印象を与える可能性もあり、はばかられるところです。中教審から答申が出されていることなどにも触れつつ、「管理職の指示の下、健康的な教師生活を持続できるよう取り組んでいきます」などと答えるのが無難なところでしょう。

※1 「令和2年度教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況調査結果」の2020年6月のデータより。

※2 中教審「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(答申)」(2019年1月)

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