場面指導・模擬授業のコツをつかもう 状況把握と対応を適切に

コロナ禍の中で従来のような教育実習が行われず、学生受験者の現場体験の少なさは明らかである。模擬授業や場面指導への対応は難しいものがあるだろう。今夏の教採試験本番まであと1カ月となったここでは、生徒指導と学習指導に関するよくある設定や質問について、代表的な回答とそのポイントを示すこととする。示された設定や質問に対する状況把握と的確な対応策の示し方のコツを考えてもらいたい。

[生徒指導Ⅰ]

○けんかはまずやめさせることから

質問

子供同士が殴り合いのけんかを始めました。どのようにやめさせたらよいか実際にやってみてください。また、周りの子供にはどう声を掛けますか。

▽回答例

まず、教師が子供の間に割って入り、何とかけんかをやめさせるようにします。2人とも気持ちが高ぶっているので、その気持ちを抑えさせて、けんかの理由をできるだけ冷静に話させるようにします。

▽ポイント

殴り合いとなると、けがや事故にもつながる恐れがあるので、まずは絶対にやめさせること。事故防止、安全教育の観点から暴力行為に対して厳しい姿勢で臨むことが大切。この厳しい姿勢をどのように形に表すかを考えたい。当事者の間に割って入る行為、語気を強めた叱責の言葉として具体的に示したい。

当事者には、「気持ちを落ち着かせ、冷静に考えられるように仕向ける」「どうして殴り合いになったか、その経緯を説明させる」「お互いの言い分を認め合わせる」などの指導の後で、暴力行為は断じてしてはならないことを強く説諭するようにする。

学級の他の子供には、「見て見ぬ振りをしていなかったか」を問い、「エスカレートする前に止めることが大切」であることなどを言い聞かせる。

[生徒指導Ⅱ]

○盗みの指導は事実確認をしっかりと

質問

担任する学級で物を盗む子供がいるといううわさが出ました。Aさんという子供が疑われているようで、他の子供から「おそらくAさんが盗んだと思う」という訴えもありました。Aさんおよび学級にどのように指導しますか。

▽回答例

Aさんに話をするのは、情報を収集し十分に事実確認をしてからにします。そのためには、訴えのあった子供や学級の子供からそのような事実があったのかどうか丁寧に聞き出し、記録して分析します。その上で行為が事実であるという確実な証拠がある場合には、Aさんを呼び出して指導します。学級の子供たちには犯人捜しをしないように指導します。

▽ポイント

人権尊重の観点が重要となる。従って、むやみに子供を疑ったり、犯人扱いをしたりしてはいけない。確実な証拠がない限り、当該の子供を疑わないように指導することが重要だ。

子供たちからの事情聴取に当たっては、「自分はどこで何を見たのか」「当該の子供Aはどのような行動を取っていたのか」などをできる限り正確に聞き取り、記録する。得ることのできた情報を客観的に分析して、盗みが本当に行われたのかじっくり考え判断する。

ここから先は独りでは動かないことが大切。これまで得た情報と状況を管理職に報告し、どのように対処したらよいか判断を仰ぐようにする。当該の子供Aが盗んだという証拠が明らかになったところで、初めてAに問いただす。これからはこのようなことは絶対しないように強く説諭する。

[学習指導Ⅰ]

○騒ぐ子供は全体と分けて指導する

質問

授業中に騒いでいる子供が数人います。どのように対応しますか。実際にやってみてください。

▽回答例

騒いでいる子供たちは別個に集めて指導しなくてはなりません。その前に学級全体には具体的な作業を指示して集中させるようにします。そして、騒いでいる子供たちには、騒いでいる理由は何なのか、しっかりと聞き取った上で、自分たちの行動が周りの迷惑になっていること、人に迷惑を掛けてはいけないことを理解させるよう心掛けます。

▽ポイント

学級全体に対して静かにするよう呼び掛けたり、強く叱ったりするだけでは、かえって騒ぎが大きくなってしまう恐れがある。全体への指導と騒いでいる子供たちへの指導をそれぞれ分けて実施できるかどうかが、ポイントとなる。同時に進めるためには、他の子供たちに対して作業や課題を与えるようにすることが大事だ。

なぜ騒ぐのか、その理由を子供たちから聞き出すことが重要である。そして、学校では授業や勉強に集中すること、周りの勉強している子供の邪魔をしたり迷惑を掛けたりしてはいけないことなどを厳しく説諭するようにしたい。しっかりと力強く注意できるようにしよう。

[学習指導Ⅱ]

○班編成の在り方を一緒に考える

質問

学級で班を決めています。この時、子供たちが「好きな人同士で班を組みたい」と言ってきました。どのように対応しますか。

▽回答例

まず、この班決めがどのような状況・場面におけるものなのかを確認します。次に活動の狙いから見て、好きな人同士で班を組むことが適当なのかどうかを子供たちに考えさせたいと思います。その上で不満が残らないように、子供たちとどういう班編成の仕方が良いのか相談して決めていきます

▽ポイント

子供たちから不満が出た場合には、学級担任として班編成の在り方を再考することが求められる。重要なのは、「強引な決め方をしない」「子供たちの考えをよく聞き、子供たちと一緒に相談して決定する」などである。

その時の活動内容によって、好きな人同士でもよい場合とそうではない場合があることを理解させたい。また、場合によっては好きな者同士による班活動も時には取り入れるようにすると子供たちも満足するだろう。「仲良しのクラスをつくろう」「みんなで力を合わせよう」などを学級目標として掲げ、それを実現するにはどうしたらよいか、を子供たちに考えさせるとよい。

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