【教育ニュースの勘所(3)】教員免許更新制

月刊『教員養成セミナー』元編集長/教育ジャーナリスト 佐藤 明彦
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活発化する見直し・廃止論

ここ最近、教員免許更新制を巡る議論が活発化しています。中教審で見直しに向けた検討が行われているほか、先日は熊谷俊人・千葉県知事が、「速やかな廃止」を萩生田光一文科相に訴えたことが話題となりました。この制度自体は、創設から10年以上がたっていますが、なぜここに来て「見直し論」や「廃止論」が活発化し始めたのでしょうか。

契機の一つは、昨年9月に安倍晋三首相が辞任し、菅義偉内閣が発足したことです。教員免許更新制は、長きにわたって課題や弊害が指摘され続けてきましたが、制度創設に関わった安倍内閣の下では、抜本的な見直し・廃止は期待できないと言われてきました。安倍内閣時代から文科相を務める萩生田氏が、ここ最近になって「(見直しに)本気で取り組む」と言い始めたのも、首相の交代が背景にあるものと考えられます。

更新制度の課題とは

具体的に、教員免許更新制には、どのような課題があるのでしょうか。

一つ目は研修の効果です。更新講習は、さまざまな年代、校種、教科の教員を対象に実施することが多く、受講内容が個々のニーズに合わないことも珍しくありません。また、10年に1回、座学中心の30時間の講習だけで、本当に資質向上が図れるのかという指摘もあります。

二つ目は、教員の負担です。10年に1回とはいえ、大学まで出向いて30時間もの講習を受けるとなれば、相応の時間を費やされます。多くの教員は夏休みなどを使って受講しますが、そのせいで「新学期の準備、教材研究に時間が割けない」と嘆く人は少なくありません。学校教育の質的向上を目的として行われている更新講習が、現実には質的低下の片棒を担いでいるとすれば、本末転倒です。

そして三つ目は、教員不足の一因となっている点です。昨今は、多くの自治体が臨時的任用教員の補充などに苦労していますが、せっかく見つかった候補者の免許状が失効していて採用できないような事態も少なからず起きています。

採用試験対策のポイント

教員免許制度は非常に複雑難解で、その全てを理解するのは容易ではありません。ただ、採用試験で問われるポイントは限られています。筆記試験対策に向けて、最低限押さえておきたいのは、以下のポイントです。

▽教員免許状には、「普通」「特別」「臨時」の3種類があり、「普通」には「専修」「一種」「二種」の3種類があること。

▽有効期間は、「普通」「特別」が10年、「臨時」が3年で、「普通」「特別」は更新講習を受けて更新すること。

▽有効範囲は、「普通」が全国の学校、「特別」「臨時」が授与を受けた都道府県内の学校であること。

ちなみに、論作文や面接などで、教員免許制度について聞かれることはほとんどありません。とはいえ、志望者としては、制度の見直しが進められていることとその背景くらいは、最低限押さえておきたいところです。

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