【場面指導のポイント(7)】チラッと見えた児童の背中に…(実演型)

共栄大学客員教授 中根政美
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【出題】

昼休み、ふざけ合う男子児童Aさんの背中に大きな火傷のような跡があるのに気付きました。どう対応しますか。3分間で指導してください。面接官を児童に見立ててください。児童役の面接官の発言にも対応してください。それでは、始めてください(指導の途中で、児童役の面接官は、数度、短く発言します)。

対応のポイントと実演例

児童虐待による痛ましい事件が後を絶ちません。児童虐待の防止などに関する法律では、学校や教職員は虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、迅速かつ適切に対応することが求められています。教師としての資質と姿勢が問われる場面指導です。

実演においては、まず「Aさん、こっちに来て」と他の児童に聞こえないところで「背中にけがをしていない? どうしたの?」と聞きます。児童役の面接官が「自転車で転んだから」などと虐待を否定した場合は、「心配だから保健室で見てもらおうね」と虐待を疑うような素振りを見せず、保健室へ行くよう働き掛けます。「たいしたことない。保健室には行きたくない」と試験官が反応した場合は、「傷跡が残ったら大変だから、診てもらおうね」と粘り強く説得します。ポイントは児童の心に寄り添い、心を開くことです。

実演終了後、質疑応答で「保護者から虐待を受けている可能性が高いことが分かりました。どう対応しますか?」と聞かれた場合は、「詳しく話を聞き、管理職に報告し、指示を受けます」と回答します。

また、「児童虐待への対応で重要なことはどのようなことですか?」と聞かれた場合は、「日頃から児童の様子を注意深く見守り、児童が相談しやすい雰囲気をつくることです。保護者との連携を重視し、虐待の未然防止に努めます」と回答するとよいでしょう。

外せないポイント①=小さな変化を見逃さない

現実に、児童虐待の有無を見極めるのは、非常に難しいものがあります。児童本人に確認しても多くの場合、否定します。それだけに、教師がちょっとした変化に気付き、迅速に対応することが期待されます。その意味でも、場面指導では児童生徒一人一人の生活や心身の変化を見逃さない姿勢を伝えるとよいでしょう。

外せないポイント②=一人で抱え込まない

他の問題と同様、児童虐待も教師が一人で抱えこんだり、判断したりしてはいけません。事実確認は養護教諭を含めた複数の教職員で行い、通告は管理職が行います。担任は、児童生徒から相談されやすい雰囲気をつくり、児童の心のケアをできる指導力を身に付けることが大事で、場面指導ではそうした姿勢を示すことが大切です。

外せないポイント③=児童虐待防止法の理解

児童虐待の防止などに関する法律が改正され、たとえ「しつけ」のためだとしても、親による子供への体罰が禁止されました。こうした社会の動向も踏まえつつ、場面指導では教師として児童生徒の命と健やかな成長を支えていく姿勢を示しましょう。


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