【教育ニュースの勘所(4)】少人数学級

月刊『教員養成セミナー』元編集長/教育ジャーナリスト 佐藤 明彦
この連載の一覧

1学級が「40人」から「35人」に

今年2~3月頃、1学級の児童数が「40人」から「35人」になったというニュースが、しきりに飛び交いました。1学級あたりの児童数が減れば、その分だけ教師の負担は軽減されるわけですから、その点では喜ばしいニュースと言えます。ただ、全国の全ての教室で児童数がマイナス5人となるわけではありません。今回は、その辺のからくりについて、ごく簡単に解説します。

1学級あたりの児童生徒数を定めているのは、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律(義務標準法)という法律です。今回、40人から35人に引き下げられたのは「上限」で、1学級を36人で編制することができなくなります。例えば、1学年の児童数が36人ならば、これまでは「36人×1学級」で編制していたところ、改正後は「18人×2学級」で編制することとなります。一方で、1学年が35人ならば、改正後も「35人×1学級」で変わりません。すなわち、制度改正の恩恵を受けられるかどうかは、学年の児童数によります。

「35人×1学級」と「18人×2学級」とでは、教師にかかる負担が大きく異なります。そのため、年度が切り替わる頃になると、どの教師も学年の児童生徒数が気になります。土壇場で転校があって学級数が減り、肩を落とすなんてことも珍しくありません。

40年ぶりの引き下げとその背景

今回、35人に引き下げられたのは小学校のみで、中学校はこれまで通り40人で変わりません。また、小学校の35人学級も、2021年度は2年生、22年度は3年生…といった形で、5年間をかけて段階的に導入される予定です。なお、小学校1年生については、すでに2011年度から35人学級が導入されています。

学級編制基準の引き下げは、1980年以来、実に40年ぶりのことです。この間、文科省は財務省に対し、引き下げに向けた予算要求を続けてきましたが、少人数学級の効果(エビデンス)が示されていないことを理由に、財務省から拒まれ続けてきました。今回、引き下げが実現したのは、教室の「密」を緩和し、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐという名目があったからです。

採用試験対策のポイント

採用試験で、学級編制に関わる制度的な知識・理解を問われることは、それほど多くありません。ただ、過去には1学級の児童生徒数の上限が筆記試験で問われたことがありますので、制度改正があったばかりの2021年度実施試験では、注意が必要です。小学校が35人、中学校が40人となっている他、特別支援学級が8人となっていることを押さえておきましょう。また、自治体によっては、国の上限を下回る形で、1学級の児童生徒数を定めている所もあるので、そうした情報も収集しておくことをお勧めします。

この連載の一覧