【模擬授業の心得(9)】児童生徒役の発言への対応

共栄大学准教授/元埼玉県小学校教諭 小川 拓
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「正解です」では思考が深まらない

模擬授業において、受験者が児童生徒役を指名した後の流れについて見ていきましょう。以下の内容を自身が受験する校種・教科・学年に置き換えて考えてみてください。

「17+18の答えは何ですか? それでは、(5秒の間を取る)Aさん」

「35です」

間を取ることの意味については、前回解説しました。上記のやりとりの後、教師はどのように対応するのがよいのでしょうか。

「正解です」と言う教師は多いと思いますが、それだけでは思考が深まりません。例えば、「えっ、本当ですか?」と、反応してみてはどうでしょうか。子供たちは「間違っているの?」と思い、頭の中で回答を確かめようとします。そして、少し考えた後、「絶対に合っています」と返してきます。そこで「なぜですか?」と問い返せば、理由を説明し始めるでしょう。すぐに「正解」と教師が言ってしまうと、子供は思考活動を止め、表現力が育たなくなります。

また、「えっ、本当ですか?」という反応は、子供が誤答をした場合にも使えます。「正解」と言う教師は、「不正解」も言わなくてはいけなくなるのです。また、「不正解」が言いにくいからといって、「どうですかね…」と曖昧な反応をすれば、学級の子供たちには不正解だとばれて、微妙な空気が流れるでしょう。

模擬授業では、上記のような流れを意識しながら、教師の発問や反応、子供の反応例を考えておきましょう。

模擬授業の進め方

上記のような流れを再現するのは、実際の授業よりも採用試験の模擬授業の方が難しいかもしれません。特に、児童生徒役がいない場合には、1人で教師役と児童生徒役をやらなければいけないからです。例を挙げると、以下のような流れを全て受験者がやることになります。

「17+18の答えは何ですか? それでは、(5秒の間を取る)Aさん」

「35ですか。本当ですか?」

「なぜ、その答えになりますか?」

「なるほど、7と8を足して合わせて15。あと、残りの10と10で20。15と20を足して35」

「それでは、Aさんが発表した内容を黒板に書いてみますね」

このように2人組の漫才を1人でやるようなイメージになります。

グループで話し合わせる場合も、同様の流れで実施することができます。その場合には、「話し合う時間は7分です」と指示をして、1秒後に「7分経過しました。それでは1班から発表してください」といった形で行うとよいでしょう。


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