【神谷正孝の教育時事2021(11)】2次試験対策①「今年の面接や論文で問われそうな時事」

kei塾主任講師 神谷 正孝

皆さん、こんにちは。仙台を拠点とする教員採用試験対策専門スクールkei塾主任講師の神谷です。今年の採用試験もいよいよ1次試験の合格発表が始まりました。2次試験の面接や論文、討論では教育時事的な内容が問われることも多く、浅い回答に終始してしまうと、教職への意欲も疑われかねません。細かく知っておく必要はありませんが、各テーマについて、自分の教師としての受け止めや取り組み方などについて回答できるように準備しておきましょう。

◇ ◇ ◇

【面接での問われ方】

面接での教育時事の聞かれ方は、テーマそのものについての見識を問うもの(「〇〇についてどう取り組むか、〇〇について知っていることを述べよ」など)と、「学習指導要領の改訂についてどのようなことに関心がありますか」など回答の自由度が高いものがあります。

前者の場合は、問われたテーマそのものについて、知識を有することが前提で、もしも回答するだけの知識を持ち合わせていないのであれば、素直に勉強不足を認めて乗り切るしかないでしょう。

後者の場合は、回答内容によって、見識の深さが分かります。表層的な回答に終始するのではなく、できれば自分の問題意識と関連付けておきたいものです。回答の自由度の高い質問では、ほとんどの場合、次の面接官の質問は「なぜ?」です。回答となり得る複数の要素がある中で、絞り込んだのは受験者自身ですから、当然その理由が問われてきます。その際に、自分の問題意識や経験などと関連付けられるとよいでしょう。

【論文や討論での問われ方】

多くの場合、前提の説明なしに問われます。そして、テーマそのものについての知識の有無だけでなく、それを受験者自身がどう捉え、どのように取り組んでいくのか、具体的なことが求められます。討論の場合は、テーマについて見識が十分でないメンバーがいることも想定し、全員で知っていることを述べ合うなど内容や論点の共有を図った上で、進めた方が進めやすくなります。

【問われそうなテーマ】

いろいろと考えられますが、今回は3つのテーマを挙げて深掘りしてみます。まず、学習指導要領関連のテーマは頻出です。指導要領改訂の背景も含め改訂の要点を整理しておき、志望する学校種や教科に応じて、具体的な指導について語れるようにすることが大切です。別表では、「主体的・対話的で深い学び」について深めるためのポイントを示してみました。授業を行う立場から、どのように学びをデザインするか、具体化しておきましょう。

次に、「GIGAスクール構想」です。ICTはツールとしてどのように活用するかがポイントですが、活用の具体的な在り方にだけ目を向けて、それによってどのような効果を期待するかの部分がおろそかにならないようにしましょう。最後に、「令和の日本型学校教育」答申における「学校教育の役割」や「目指す令和の日本型学校教育」についてです。新しい話題だけに、言葉を正確に押さえて、今後の学校教育を担う立場から、どのように「学校の役割」を捉え、「個別最適な学び」「協働的な学び」をどう推進するかを具体的に言えるようにしておきましょう。

なお、こうした時事テーマについては評論家的な視点で述べるのではなく、授業者・当事者の視点から自分がどう工夫するか、どう取り組むか、どう配慮するかなどにつなげて述べることが大切です。

1.次は、中央教育審議会答申「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について」の一部である。空欄に当てはまる語句を下の語群から選びなさい。

こうした学習は、これまでも各教科等における授業改善の取組の中で充実が図られてきたものであり、今回の改訂においてはそうした蓄積を踏まえ、各教科等において行われる学習活動の質を更に改善・充実させていくための視点として示している。前述のように、このような学びの質を高めるための( ア )の取組については、既に多くの実践が積み重ねられてきており、具体的な授業の在り方は、児童生徒の発達の段階や( イ )等により様々である。単元や題材など内容や時間のまとまりを見通した学習を行うに当たり基礎となるような,基礎的・基本的な知識及び技能の習得に課題が見られる場合には、それを身に付けさせるために、児童生徒の学びを深めたり主体性を引き出したりといった工夫を重ねながら、確実な習得を図ることが求められる。児童生徒の実際の状況を踏まえながら、資質・能力を育成するために多様な( ウ )を組み合わせて授業を組み立てていくことが重要であり、例えば高度な社会課題の解決だけを目指したり、そのための討論や対話といった学習活動を行ったりすることのみが主体的・対話的で深い学びではない点に留意が必要である。

【語群】

学習活動    学習課題   学習指導    授業改善    体験的な学習

2.次の文は、中央教育審議会答申「「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと,協働的な学びの実現~」の一部である。空欄に当てはまる語句を語群から選びなさい。

○ 全ての子供に基礎的・基本的な知識・技能を確実に習得させ、思考力・判断力・表現力等や、自ら学習を調整しながら粘り強く学習に取り組む態度等を育成するためには、教師が支援の必要な子供により重点的な指導を行うことなどで効果的な指導を実現することや、子供一人一人の特性や学習進度、( ア )等に応じ、指導方法・教材や学習時間等の柔軟な提供・設定を行うことなどの「指導の個別化」が必要である。

○ 基礎的・基本的な知識・技能等や、( イ )、情報活用能力、問題発見・解決能力等の学習の基盤となる資質・能力等を土台として、幼児期からの様々な場を通じての体験活動から得た子供の興味・関心・キャリア形成の方向性等に応じ、( ウ )において課題の設定、情報の収集、整理・分析、まとめ・表現を行う等、教師が子供一人一人に応じた学習活動や学習課題に取り組む機会を提供することで、子供自身が学習が最適となるよう調整する「学習の個性化」も必要である。

○ 以上の「指導の個別化」と「学習の個性化」を教師視点から整理した概念が「個に応じた指導」であり、この「個に応じた指導」を学習者視点から整理した概念が「個別最適な学び」である。

(中略)

○ さらに、「個別最適な学び」が「孤立した学び」に陥らないよう、これまでも「日本型学校教育」において重視されてきた、( ウ )的な学習や体験活動などを通じ、子供同士で,あるいは地域の方々をはじめ多様な他者と協働しながら、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、様々な社会的な変化を乗り越え、持続可能な社会の創り手となることができるよう、必要な資質・能力を育成する「協働的な学び」を充実することも重要である。

【語群】

問題解決   思考力・判断力・表現力  言語能力  能力  個性

学習到達度  探究   課題解決

解答・解説

1.解答 ア 授業改善  イ 学習課題  ウ 学習活動

[解説]引用部分の最後の部分「例えば高度な社会課題の解決だけを目指したり、そのための討論や対話といった学習活動を行ったりすることのみが主体的・対話的で深い学びではない点に留意が必要である。」に特に注意しよう。授業の在り方を考える際に、具体化しすぎると、特定のテーマについての学習になってしまったり、討論や対話だけが目的となった活動になってしまいかねない。注意しておこう。

2.解答 ア 学習到達度  イ 言語能力  ウ 探究

[解説]引用は答申の第1部総論の「3.2020 年代を通じて実現すべき「令和の日本型学校教育」の姿」の部分である。この後に続く「協働的な学び」の内容についても、一読してその意義や期待される効果も確認しておこう。

○ 「協働的な学び」においては、集団の中で個が埋没してしまうことがないよう、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善につなげ、子供一人一人のよい点や可能性を生かすことで、異なる考え方が組み合わさり、よりよい学びを生み出していくようにすることが大切である。「協働的な学び」において、同じ空間で時間を共にすることで、お互いの感性や考え方等に触れ刺激し合うことの重要性について改めて認識する必要がある。人間同士のリアルな関係づくりは社会を形成していく上で不可欠であり、知・徳・体を一体的に育むためには、教師と子供の関わり合いや子供同士の関わり合い、自分の感覚や行為を通して理解する実習・実験、地域社会での体験活動,専門家との交流など、様々な場面でリアルな体験を通じて学ぶことの重要性が、AI 技術が高度に発達する Society5.0 時代にこそ一層高まるものである。

○ また、「協働的な学び」は、同一学年・学級はもとより、異学年間の学びや他の学校の子供との学び合いなども含むものである。知・徳・体を一体で育む「日本型学校教育」のよさを生かし、学校行事や児童会(生徒会)活動等を含め学校における様々な活動の中で異学年間の交流の機会を充実することで、子供が自らのこれまでの成長を振り返り、将来への展望を培うとともに、自己肯定感を育むなどの取組も大切である。

○ さらに、ICT の活用により,子供一人一人が自分のペースを大事にしながら共同で作成・編集等を行う活動や、多様な意見を共有しつつ合意形成を図る活動など、「協働的な学び」もまた発展させることができる。ICT を利用して空間的・時間的制約を緩和することによって、遠隔地の専門家とつないだ授業や他の学校・地域や海外との交流など、今までできなかった学習活動も可能となることから、その新たな可能性を「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善に生かしていくことが求められる。

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