【深い学び入門(5)】評価から学習へ…ウオッシュバック効果

教育評価総合研究所代表理事 鈴木秀幸
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学習指導をした後、指導の結果を確認するために評価(総括的評価)をするのが普通の流れです。要するに「学習から評価へ」の流れです。しかし、最近では「評価から学習へ」という逆の流れも考えるべきであると言われるようになりました。

「深い学び」が新学習指導要領で求められているのですから、これを「評価から学習へ」という流れで考えてみたいと思います。評価の在り方が学習に影響することをウオッシュバック効果(washback effect)と言います。このウオッシュバック効果から考えて、どのような評価が「深い学び」に効果があるかを説明していきます。

前回、形成的評価を行う場合、教師の質問は手っ取り早い方法と言いました。この教師の質問の内容が、「深い学び」につながるように考えるべきです。

質問の内容として、単語や用語、正しいかどうかなどの簡単な解答を求める質問ばかりでは「浅い学び」となってしまい、「深い学び」にはつながりません。説明させるような質問が「深い学び」につながります。「正しい・誤り」を解答させる場合でも、理由や根拠を答えさせる質問をすることが必要です。これを繰り返していると解答する場合に理由や根拠を聞かれるので、生徒に考える習慣が付くため「深い学び」につながります。生徒は中学校、高校と年齢が上がるにつれて、間違った答えをして面目を失うことを恐れるようになります。そこで、間違った答えは逆に理解を深めるのに役立つことを強調して、自分の考えを自由に言える雰囲気を作り出すことが重要です。

質問と同様に、ペーパーテストにおいても単語や用語を答える問題ばかりでなく、説明を記述させる問題を出題することが必要です。さらに、ときおりペーパーテスト以外の方法を用いることも必要です。例えば、小学校3年生で、日陰のでき方を学習しますが、実際に日陰のでき方を観察させて、その記録を書かせて、太陽と日陰のでき方の関係について、記録をもとにレポートにまとめさせることも考えられます。

最近、ウオッシュバック効果以上に「評価から学習へ」の流れが強い考え方が登場してきました。どう評価するか、何を評価するかをまず考えて、そこから指導の在り方を設計するという考え方が登場してきたのです。このような考え方を「逆向き設計(backward design」と言います。逆向き設計では、学習の目標を決めた上で、その目標が達成されたことが分かる評価の課題や評価方法を決め、次に指導の方法や計画を立てるのです。この考え方では、単語や用語を覚えるような学習を目標とすることはありません。

該当の学習分野で最も基本的な問い(例えば、社会の変化はなぜ起こるか)に答えたり、該当分野での最も重要であるとされる基本原理の理解を深めたりすることが目標です。もちろんこれは「深い学び」を目指したものとなります。


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