コミュニケーション能力を示そう 教師の資質で最も求められる

 校長ら管理職が新採教員にあらかじめ身に付けていてほしいものは、コミュニケーション能力、基本的なマナーであることが校長会の調査などで明らかにされている。面接官は校長などが多いので教採試験ではこのコミュニケーション能力があるかどうかが試されていることが分かる。場面指導、面接など教採試験で役立つ児童生徒、保護者とのコミュニケーションのポイントを見てみよう。

〈児童生徒とのコミュニケーション〉
何よりもレスポンスが大事 

 子供たちの話を聞く場合、意識してそっぽを向いたり、無反応だったりする教師はいないだろう。しかし、忙しかったりすると知らずにそのような態度をとっていることがある。しっかりと話を聞き、レスポンスを返すことが大事である。

 場面指導で子供たちと話す場面が提示されたときは、相づちを打ったり、「あなたはこのように考えていたんだね」と返事をしたりしてレスポンスを返し、きちんと話を聞いているという態度を示すことが重要である。

やる気を引き出す一言を

 コミュニケーションの軸は言葉である。言葉は、相手の感情に強い影響を与える、という魔法のような力を持っており、教師の一言によって、子供たちのやる気を出させることも、奪うこともある。

 場面指導でも、子供たちにやる気を出させる一言を発したい。やる気を出させる具体的な言葉を挙げると次のようなものがある。

▽自己有能感・達成感=「あなたならできる」

▽自己効力・裁量感=「自分で考えてごらん」

▽有意義感=「○○さんのおかげで助かったよ」

よい点に注目し、〝うれしかった〟一言を

 教師が子供たちに対するときの教育的なコミュニケーションにおいて最も重要な態度は、「よい点に注目する」ことである。よい点を伸ばす指導のほうが子供たちのやる気を引き出せるのである。場面指導でも「こういうよい点があるので、それを伸ばそう」などの言葉掛けが求められる。

 では、子供たちにやる気を出させる言葉とはどんなものだろう。自らの恩師の言葉を思い出そう。教師も小中高校から大学まで教師と接してきたのである。その中で「教師から言われてうれしかった言葉」が必ずあるはずだ。まずは試験までにそれを思い出しておこう。場面指導でもその言葉を使うのである。また教員志望の動機として、面接などでそのような言葉を教師から掛けられてとてもうれしかったという経験を話してもいいだろう。教師の一言で子供は変わる、ということを教採試験でも示したい。

〈保護者とのコミュニケーション〉
社会人同士の話し方で

 「保護者と話すのが、どうも苦手」「保護者会が近づくと、憂鬱(ゆううつ)になる」という若手教員が少なくない。昨今は、保護者から学校への過度な要求などもあり、社会経験の浅い若手教員が、このように感じるのも仕方がない面もある。だからこそ、教採試験で保護者との面談などを設定された場合は、「保護者としっかりコミュニケーションがとれる」ことを示したい。

 保護者と話すときの基本は、社会人と社会人の話し方、社会人同士の話し方である。どこに出ても恥ずかしくない話し方をしなくてはならない、ということを心しておこう。そのためには、まず「保護者を敬う気持ち」を持つことが重要である。

 具体的には、「学生言葉はやめる」「呼び方に注意し、自分は『わたくし』、相手は『○□さん』と呼ぶ」「相手が聞きやすい話し方をする。口の開け方に注意して、一言ずつはっきり話す」「語尾をはっきりと話す」「返事は明るく、はっきりとする」などである。 ちょっとしたことで印象がよくなる言葉遣いとしては、「すみませんではなく、申し訳ございません、失礼しました」「ご苦労さまより、お疲れさま」「『どうも』で終わらず、ありがとうございましたなどと最後まで言い切る」などがある。

 「存じません」「かしこまりました」「左様でございますか」「承りました」などがすらっと出てくるとかなり印象度が上がるので、覚えておきたい。敬語も基本的な尊敬語、謙譲語、丁寧語の使い方くらいは再確認しておこう。

十分に耳を傾け、質問にはきちんと答える

 コミュニケーションの第1歩として、あいさつも大事である。場面指導でも、「こんにちは。きょうはご足労いただきありがとうございます」のようにしっかりとしたあいさつから始めるのもよいだろう。

 保護者と話し合う際に心掛けたい、主な点は次の通り。

▽全ての子供、保護者に公平に接するようにする

▽保護者の言い分に十分耳を傾ける

▽教師でないと分からない言葉は使わない

▽要点を押さえて話す

▽他の子供に関する苦情を言ってきた場合は、両者の言い分を聞く

▽面接するときは、授業の記録など子供に関する資料をあらかじめそろえておく

▽感情的や威圧的にならないように注意

▽質問にはきちんと答える

▽苦情などの場合は一人で判断せず、校長、教頭らに速やかに相談する
 試験では、これらをアレンジして、保護者への上手な対応を示したい。

一人一人の「よさ」を伝える

 子供とのコミュニケーションでよい点に注目することを指摘したが、これは保護者との面談でも重要である。子供一人一人の「よさ」を伝えることで保護者は安心する。実際の面談では、資料を十分に用意し、あらかじめ、その子供の「よさ」をまとめておくことが求められる。多くの「よさ」を伝えることができると、その後に「これからは、こういうことに挑戦させたいです」などと教師の願いなどを伝えることができるのである。さらに「そのために、家庭でも学校でもこういうことを働き掛けていきましょう」など具体的な提案をしていく。面談の場面でも、子供の「よさ」を伸ばすことで課題への対応が示せると、面接官の印象もよいだろう。

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