【場面指導のポイント(9)】部活動中の体育館で、生徒が長時間正座を…(質疑応答型)

共栄大学客員教授 中根政美
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【出題】

 体育館の前を通ると、ある部活動の顧問の教員が男子生徒を厳しく叱責(しっせき)していました。30分後、体育館へ戻ると先ほどの生徒が苦痛の表情で正座をさせられていました。どう対応しますか?

対応のポイントと質疑応答例

 体罰の根絶がなかなか図れません。大半の教師は、体罰は許されるものではないと理解していますが、一方で「厳しい指導も必要だ」と言う教師や保護者は、いまだ少なくありません。先輩教員の体罰の場面に遭遇した際にどのように対応するか、教師としての資質が問われる場面指導です。

 以下、「質疑応答型」の場面指導を想定して、面接官とのやり取りの模範例を示します。
 面接官:体育館の前を通ると、ある部活動の顧問の教員が男子生徒を厳しく叱責していました。30分後、体育館へ戻ると先ほどの生徒が苦痛の表情で正座をさせられていました。どう対応しますか?

 受験者:顧問の先生に正座をさせている理由を聞き、体罰に当たるのではないかと伝えます。

 面接官:その顧問に「時には厳しい指導も必要なんだよ」と返されました。どうしますか?

 受験者:厳しい指導と体罰は違うと思うと伝えます。

 面接官:その顧問に「だから生徒からなめられるんだよ」と言われました。どうしますか?

 受験者:体罰では何も変わらないこと、体罰は許されないことなどを話します。それでも理解していただけない場合は、職員室で学年の先生方に相談します。

 面接官:体罰によらない指導力を身に付けるために、あなたはどのような努力をしていきますか。

 受験者:日頃から児童生徒理解に努め、信頼関係を築いていきます。そして、生徒たちに「授業が分かる」「学校生活が楽しい」と思ってもらえるように努力してまいります。

 
外せないポイント① =「体罰によらない指導」を意識

 体罰は、学校の信頼を揺るがす重大な問題です。まず、体罰に頼らない指導力を身に付けるという強い意志を面接官に伝えます。

外せないポイント②= 「法律で禁止されている」だけでは弱い

 「なぜ体罰は認められないのか」という問いに対し、「法律(学校教育法第11条)で禁止されているから」だけでは弱いものがあります。体罰は基本的人権の侵害であること、そもそも体罰という指導法は存在しないこと、学校・教職員全体への信頼を失わせる重大な信用失墜行為であることなども含め、面接官に伝えましょう。

外せないポイント③ =学校全体で取り組む姿勢を示す

 学校において、同僚教員への対応は難しいものがあります。「報告」「連絡」「相談」を通じ、風通しの良い人間関係の構築を日頃から心掛けること、部活動指導も共通理解が重要であることを、面接官に伝えましょう。


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