【教育ニュースの勘所(5)】学校と地域の連携・協働

月刊『教員養成セミナー』元編集長/教育ジャーナリスト 佐藤 明彦
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検討会議が中間まとめを公表

 7月下旬、文科省の「コミュニティ・スクールの在り方等に関する検討会議」が、学校と地域の連携を促進するための方策について、中間まとめ(案)を公表しました。ここで提言された項目の中に、「コミュニティ・スクールと地域学校協働本部(地域学校協働活動)の一体的推進」というものがあります。「コミュニティ・スクール」も「地域学校協働本部」も、教員採用試験を受ける人なら聞いたことくらいはあると思いますが、正しく説明できる人はそう多くないと思います。そこで今回は、この2つの用語について解説していきます。

コミュニティ・スクールとは

 コミュニティ・スクール(CS)は、保護者や地域住民の声を学校運営に反映させるための仕組みです。具体的に、学校・保護者・地域の代表者による「学校運営協議会」が設置された学校のことを「コミュニティ・スクール」と言います。昨年7月時点で9788校が指定されており、この数字は全国の公立学校の27.2%に上ります。

 コミュニティ・スクールに指定された学校では、定期的に学校運営協議会が開かれ、学校運営の重要事項について話し合いが行われます。例えば、保護者や地域代表者が、校長が作成した基本方針に意見を述べることもあれば、教職員の任用について皆で話し合い、「こんな人材がほしい」と教育委員会に意見を出すこともあります。

 コミュニティ・スクールについて定めている法令は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律(地教行法)です。2004年にこの法律が改正されたことでコミュニティ・スクールは制度化され、さらに17年の法改正を経て、現在は導入が各教育委員会の努力義務となっています。

地域学校協働本部とは

 一方、地域学校協働本部は、端的に言えば「学校と地域の協働」を進めるための仕組みです。「本部」と聞くと、拠点となる場所があってスタッフがいるような印象を受けますが、必ずしもそうとは限りません。文科省の資料では、幅広い層の地域住民・団体が参画する「緩やかなネットワーク」という言葉が使われています。

 地域学校協働本部が目指していることは、大きく2つあります。一つは、子供たちの学びや成長を支えることです。これからの時代を生きるために必要な資質・能力の育成は、学校だけでは荷が重いと言われており、学校と地域の協働を通じて育んでいくことが期待されています。もう一つは、「学校を核とした地域づくり」です。学校と地域が協働した活動を通じて、子供たちが地域の魅力を発見し、地域社会を支える人材となることが期待されています。

 なお、地域学校協働本部は15年の中教審答申「新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方と今後の推進方策について」の提言を受けて制度化されたものです。法令で定められているわけではなく、この点はコミュニティ・スクールとの大きな違いと言えます。

採用試験対策のポイント

 ここまで解説してきたようなことが、筆記試験ではよく問われます。中でも、コミュニティ・スクールの法的根拠、制度のアウトラインはよく問われるので、ポイントを押さえておきたいところです。

 一方、面接や論作文では、「地域との協働にどう取り組むか」と問われることがあります。その場合は、学校と地域の協働が求められている背景に触れた上で、自身がオープンマインドを持って積極的に連携・協働していく姿勢を示すとよいでしょう。

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