【教育ニュースの勘所(6)】全国学力・学習状況調査

月刊『教員養成セミナー』元編集長/教育ジャーナリスト 佐藤 明彦
この連載の一覧

WGが最終まとめを公表

7月12日、文部科学省の「全国的な学力調査の CBT 化検討ワーキンググループ(WG)」が、最終まとめを公表しました。この「全国的な学力調査」とは、毎年4月に行われている「全国学力・学習状況調査」、いわゆる「全国学テ」のことです。その「CBT化」とは具体的にどのようなことなのでしょうか。今回は、その背景も含めて解説していきます。

CBT化の背景

CBTとは「Computer Based Testing」の略、すなわち「コンピューターを使った調査」のことです。現在、全国学テは紙の調査(PBT:Paper Based Testing)で行われていますが、これをCBT化していく方針が、今回の最終まとめでは示されました。ただ、全てをすぐに切り替えるのは、条件整備的にも厳しいことから、2024年度以降段階的に実施していく形で計画が示されています。

CBT化の背景は大きく2つあります。1つは国際学力調査であるPISA(OECD 生徒の学習到達度調査)が、15年調査からCBT化されたことです。15年と18年のPISA調査では、日本の生徒の「読解力」の低下が大きくクローズアップされましたが、その一因にCBT化があるのではないかと言われています。日本の生徒がコンピューターを使用した調査に慣れていないことが、結果に影響を及ぼしたのではないかという指摘です。全国学テのCBT化は、そうした状況を改善し、国際調査に後れを取らないようにすることが、目的の1つとされています。

もう1点は、調査にかかるコストの削減です。全国学テは、作問や印刷、郵送、採点などに膨大な予算がかかりますが、それに見合った成果や意義があるのかという批判が、以前からなされてきました。実施の目的の1つに「指導改善や教育施策立案に生かす」ことが挙げられていますが、それだけなら個々の自治体や学校単位でも実施できるからです。そのため、今回の最終まとめでは、CBT化によって印刷・郵送・採点にかかるコストを削減する方針が示されました。また、「GIGAスクール構想」により、1人1台の端末が整備されたことも、CBT化を後押しすることになっています。

採用試験対策のポイント

今回の最終まとめを受け、今後全国学テのCBT化が段階的に進められていくことは、基本情報として押さえておきたいところです。教育新聞の以下のニュースに、概要がまとめられているので、参考にしてください。

【全国学調CBT化で最終まとめ 学力調査は中学校から導入】

筆記試験でよく問われることは、全国学テのアウトラインについてです。対象学年が小6と中3であること、教科が国語・算数(数学)・理科(3年に1回)・英語であること、学力調査だけでなくアンケート式の学習状況調査も行われることなどは、押さえておきたいポイントです。

また、日本の児童生徒が学力面でどのような課題を抱えているかについても、よく問われます。国立教育政策研究所のサイトの「全国学力・学習状況調査 報告書・調査結果資料」にまとめられているので、目を通しておきましょう。

この連載の一覧
関連記事