【深い学び入門(7)】教採試験で問われる…深い学び

教育評価総合研究所代表理事 鈴木秀幸
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 「主体的・対話的で深い学び」の意味や背景となる考え方、評価との関係などについて説明してきました。後半は、これまで説明してきたことに関係する採用試験の問題例と、解答例について考えていきたいと思います。そこで、今回は「深い学び」に関係する問題例と解答を考えてみます。

 もっとも基本的なことは「深い学び」と、その反対が「浅い学び」だということです。これはあまりにも基本的すぎて、問題として「浅い学び」と答えさせる出題はないと思いますが、だからと言って知らないでは済まない基本中の基本です。

 問題としてまず考えられるのは「深い学び」とは何か、その特徴についての質問です。「深い学び」の特徴は3つあります。

 (1)学習した知識や概念、原理などの根本的な意味やそれを成り立たせている考え方を理解している(2)((1)の結果として)学習した事例を超えて応用することができる、逆に応用してはならない場合も判断できる(3)学習した後も長く記憶に残る――の以上の3点です。(1)の根本的な考え方を理解させることができるためには、教師は対象の学習内容について相当に深く理解している必要があります。例えば、小学校で学習する割り算の意味を児童に理解させるのは相当難しいことです。第1回で紹介したように、高校生でも割り算の計算はできるのに、その意味は分かっていないことが多いからです。

 当然のことですが、「深い学び」の反対の「浅い学び」の特徴も答えられるようにしておいた方がよいでしょう。「深い学びの逆」などという解答では困ります。「浅い学び」の特徴は、(1)学習した知識や概念、原理などの表面的な意味しか理解していない(2)((1)の結果として)学習した事例にしか使うことができず、応用できない(3)学習した後すぐに忘れてしまう――の3点です。

 これらを踏まえた上で、次に考えられる質問は、「深い学び」をもたらす学習指導はどのようなものかという質問でしょう。1つの方法は、矛盾する事例を示して考えさせることです。例えば第2回で紹介したように「季節の変化はなぜ起こるのか」という質問に対して、「夏は地球が太陽に近づき、冬は太陽から遠ざかるから」と答えたら、「では日本が夏の時、オーストラリアは冬ですが、これをどう説明しますか」と質問して矛盾に気が付かせることです。正しい答えや説明を覚えさせるのではなく、間違った答えや、誤った説明の例も示したりすることも必要です。

 逆に「浅い学び」をもたらすのはどのような指導でしょうかという質問もあり得ます。

 最も簡単な答えは、公式を覚えなさいとか、公式に数値を入れて計算する練習を繰り返すような指導、「深い学び」をもたらす指導の逆として正しい答えだけを覚えさせることです。


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