【実例で学ぶ論作文講座(1)】論作文の基礎・基本

明海大学外国語学部教授/教職課程センター副センター長 大池公紀
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1.論作文とは ―論作文は、論「策」文

 受験者がテーマを的確に捉え、教育課題の方策や解決策を具体的に提示するのが、教員採用試験における論作文です。作文との違いは何でしょうか。作文は、日常的な出来事も含めて情調な部分がどこかにありますが、論作文は極めてクールに策を提示します。論作文は、解決策を提示するという意味で「論策文」とも言えます。

2.論作文の出題率

 教員採用試験では、ご存じのように教職教養、専門教養、そして面接があります。ここまでは必須ですが、論作文となると少し違います。

 論作文試験を実施している自治体は、どの程度あるのでしょうか。文部科学省は例年データを残しています。表1は、2020(令和2)年度「教師の採用等の改善に係る取組事例」(2020年8月)のデータを筆者が一覧にまとめたものです。

表1 論作文の出題に関わるデータ

 これを見ると、教員採用試験を実施している68の自治体のうち43自治体(63%)が論作文試験を実施しています。論作文の試験時間は、50~60分が72%、文字数は800~1000字が74%、そして2次試験での実施が74%です。実施される自治体を受験する際には、やはりそれなりの対応が求められます。

3.論作文の目的は何なのか

 論作文の目的はずばり、受験者の適性・人物を見ることにあります。望ましい人材の発掘、その地域の教育を託すに足る有能な人物を発掘したいということです。採点の基準もこの一語に尽きます。

 採点者は、この人物と一緒に働きたいか否かの視点で、回答用紙に向かいます。では、その採点者なる人物は誰でしょうか。最初に記述された用紙を手にするのは、多くは学校関係者、具体的には管理職の人たちです。極めて忙しい仕事の合間を縫って採点に臨みます。人にのぞかれないような環境が求められるため、同僚がいなくなった夜間遅くや土日の校長室で採点をします。場合によっては1人で、80~100人の採点を短時間で担います。

 実はここに、論作文記述のヒントがあります。つまり、その多忙な管理職(採点者)が気持ち良く採点できるように書くことが大切なのです。そのためには、書き手の教育に向かう熱い情熱を込め、記述のパターンにのっとった採点者が「いらつかない」文を心掛ける必要があります。このパターンを外すと採点者のストレスにつながりますから、それを作為的に避けることさえできれば、合格論文に近づけます。

4.どのように書くのか

 では、どのように書けばよいのでしょうか。表2は、記述のテクニック集です。見ると分かるように、論作文の究極の目標は「望ましい&ほしい人材の発掘」です。論作文の「究極の目標」に向かって、「どのような姿勢」で臨み、「具体的にどのように記述するのか」を示しています。この鉄則を踏み外さない論作文を作り上げる、それを身に付けるのがこの講座です。

表2 論作文を記述上のテクニック集

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