【教育ニュースの勘所(7)】小学校の教科担任制

月刊『教員養成セミナー』元編集長/教育ジャーナリスト 佐藤 明彦
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 検討会議が報告案を公表

 7月21日、「義務教育9年間を見通した指導体制の在り方等に関する検討会議」が報告案を示しました。この検討会議で議論されてきたのは、2022年度から本格導入される小学校高学年の教科担任制についてです。今回は、このテーマに焦点を当て、導入の背景、制度の具体的内容などを解説していきます。

 導入の背景

 日本の小学校は長らく、一人の教員がほぼ全ての教科を指導する「学級担任制」が敷かれてきました。主たる理由は、一人の教員が大半の授業を担当することで、一人一人の児童を深く理解し、円滑な学級経営が図れるからです。6~12歳という発達段階において健全な人間形成を図る上では、その方が理にかなっているというのが、これまでの考え方でした。

 しかし、小学校も高学年になると、学習内容が難しくなり、ボリュームも増えます。そのため、担任にかかる負担が非常に大きく、教員による指導力格差が生じることなどが、以前から課題として指摘されていました。そうした状況もあり、2000年頃から一部の自治体が小学校高学年の教科担任制を取り入れるようになり、理科などの専科教員の配置も進んでいきました。

 4教科を優先する形で導入

 こうした流れを受け、21年1月に公表された中央教育審議会の答申「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」では、22年度をめどに、小学校高学年の教科担任制を全国レベルで導入する方針が示されました。前述した「義務教育9年間を見通した指導体制の在り方等に関する検討会議」は、この答申を受けて、具体的な制度の在り方を検討するために設置されたものです。

 22年度から本格的に導入されるとはいえ、現実には人員などが追い付かないこともあり、すぐに全てを切り替えることはできません。そのため、検討会議では、外国語、理科、算数、体育の4教科を優先する形で導入していく方針を示しました。もし、これら4教科だけでも、専科教員が指導するようになれば、教員の負担は大幅に軽減され、授業の質も高まることでしょう。「学級王国」「中1ギャップ」などの問題が、改善に向かう可能性もあります。

 採用試験対策のポイント

 筆記試験では、前述した中教審の答申「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」の内容を押さえておく必要があります。同答申は、目指すべき学校の姿として、「個別最適な学び」「協働的な学び」などを示していますが、小学校高学年の教科担任制は、それを実現するための方策の1つと位置付けられます。

 【「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと,協働的な学びの実現~(答申)】

 【「体育含め4教科を優先対象に」 教科担任制導入へ報告案】

 小学校受験者の場合は、面接で教科担任制の導入について「どのように取り組むか」と聞かれる可能性があります。その場合は、自身が担当する教科の授業の質を高めること、専科教員と連携を取りながら指導に当たることなどを回答に盛り込むとよいでしょう。

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