板書がうまくなる練習法は 子供の思考を支える指導技術

 本紙面の連載などでも、何度となく取り上げられている「板書」。模擬授業の成否に関わるだけではなく、実際の授業においても重要な役割を持つ指導技術である。板書技術をアップする練習の手だてに焦点を当てる。


オーソドックスで親しみのあるスタイル

 ある教育系の大学で校舎改築の際、教室の黒板を全部ホワイトボードに変えた。すると、数年後、その大学の卒業生の多くは板書のできない教師になってしまい、学校現場で大変困ったという。板書が上手になるにはやはり練習が必要であり、現役の学生受験者には不利な面もある。

 板書は、最も基本的な教師の指導技術だ。ICTの導入が進む現在でも、まだまだ授業には欠かせない。学習のめあてを示したり、学習内容を整理したりして、充実した授業にするために大変効果的である。

 板書の歴史的経緯を簡単に振り返ってみる。 黒板の歴史は案外古く、わが国の学校教育には1872年に、アメリカ人の教育者によって紹介されたという。教師にも児童生徒にも簡単に使えること、学級全体で一斉に見ることができること、板書しながらの説明は効果が高いことなどの理由から、全国の学校に短期間で普及した。

 近年は、電子黒板、パソコン、プロジェクターなど、より提示能力に優れた教育ツールが登場してきているが、黒板とチョークを用いて効果的な発問をする、というのが、最もオーソドックスで親しみのある授業スタイルであり、当面はその重要性はなくならないことだろう。

教室の後ろから、両端から見る

 板書が上手になるポイントの第1は「黒板を教室のあらゆる場所から見る」こと。黒板がある大学の教室でもいいので、やってみよう。教室の一番後ろから見ると、文字の大小やチョークの色使いに気を付けなくてはいけないことに気付かされる。一番前の席の左右の両端から見てみると、光の反射で見づらかったりすることが理解できるのだ。教壇の上だけでは気付けない点である。

 こうして気付いた点についてどう学ぶか。学校現場でベテラン教師の授業を見せてもらう機会があれば、色チョークの使い方や板書全体の構造などを学べるのだが、現在はちょっと難しいので大学の教科教育の教官にアドバイスをもらうようにするのがいいだろう。

板書計画で授業に自信を持とう

 板書の機能は、主に「思考整理」「学習記録」「資料提示」の3つである。この機能を駆使することにより、いま、何について学習しているのか、どのような方法で学習を進めていくのか、学習して何が分かったのか、をその都度確認できるようにまとめていくのが基本であり、重要な点である。

 つまり、板書でその1時間の授業の狙いを児童生徒とともに確認し、その狙いがどのように達成されたかを理解していくのである。

 そのために板書計画を立てる習慣を付けよう。教師がどのように働き掛け、児童生徒がどのようにそれに反応するかを予想し、その流れをどのように板書化するか、計画を立てるのである。

 これを考えることによって授業力も向上していく。板書を計画的に行うことによって、自信を持って授業を行えるようになる・

 模擬授業であらかじめ教科や単元が分かるのであれば、教材研究と合わせて必ず手掛けておこう。

 基本的な板書の流れを次の通りに示しておいたので、確認してもらいたい(代表的な例であり、教科、単元、学年などによって異なる)。

基本的な板書の流れ(代表的な例)

・単元名を書く。

・関連する既習事項を示す。

・学習のめあて、課題を書く(フラッシュカ ードなどあらかじめ用意した掲示物を用い てもよい)。

・主となる発問や指示に従って、児童生徒の 発言などを書いていく。

・類似の意見には補助質問を加えながら、カ テゴライズしていく。

・授業のまとめを書く。

 板書は通常左側から書き始め右側に向けまとめていくのだが、2つの異なるものを比較したり共通点を見いだしたりするのであれば、結論やまとめを中央に書く、など板書は多様な工夫ができるので、授業の腕の見せ所でもある。

やはり「丁寧に整えて書く」が基本

 留意点については、いろいろある。代表的なものを以下に挙げておく。

 ▽児童生徒はよく見ているので、丁寧に字は整えて書く。

 ▽字の大きさ、色チョークの使い方に配慮する。

教師が書くのか児童生徒が書くのか、書いたものを消すのか消さないのか、考慮の上判断する。

 ▽できるだけ、消さない方が望ましい。書き切れなくなってしまうのは、板書計画ができていないからである。

 ▽マグネットやカードなどを効果的に使う。

 ▽できるだけ文章は、短くする。

 ▽児童生徒のノートのベースになるようにする。

 児童生徒の発言を構造化し、それをフィードバックする、重要な指導技術であるので、できるだけきちんと学んで練習を積んで教採試験に臨みたいものである。

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