【教育ニュースの勘所(8)】いじめ

月刊『教員養成セミナー』元編集長/教育ジャーナリスト 佐藤 明彦
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 国研が調査結果を公表

 今夏、国立教育政策研究所(国研)が、いじめの実態に関する調査結果を公表しました。この調査は、1998年から3年をひとくくりとして実施されており、今回公表されたのは2016~18年の調査結果です。

 今回の調査では、10~12年と比べて、いじめを受けた児童生徒の割合が減少していることが明らかとなりました。この点について国研は、13年に施行された「いじめ防止対策推進法」の効果ではないかと分析しています。

 この話を聞いて、教員採用試験対策をしている人の中には不思議に思った人もいることでしょう。文科省の調査では、いじめの数が13年度以降一貫して増え続けているからです。この相反する状況は、一体どのように解釈すればよいのでしょうか。

 大幅増加の要因とは

 文科省は毎年、「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」において、いじめに関する調査結果を公表しています。19年度の結果を見ると、いじめの認知件数は61万2496件。

「いじめ防止対策推進法」が施行された13年度が18万5803件ですので、実に3倍以上も増加しています。

 このデータを額面通りに受け取れば、子供たちがそれだけ攻撃的・暴力的になったということになりますが、現実にはそんなことはありません。文科省調査でいじめの認知件数が増えているのは、調査のやり方が変化したからです。この調査は各教育委員会を通じて行われますが、いじめ防止対策推進法の施行以降、より厳密に行われるようになりました。その結果、以前は表面に出てこなかったいじめが認知されるようになり、それが件数の大幅な増加につながったのです。

 採用試験対策のポイント

 筆記試験において、いじめの件数、数値そのものが問われることはありません。よく問われるのは、いじめに関する全体的な傾向です。

 具体的に、認知件数が増え続けていること、学年別では小学校2年生が最多であること、発見のきっかけは「学校の教職員等が発見」が全体の7割近くを占めること、態様は「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」が最多であることなどを押さえておくとよいでしょう。

 いじめに関しては、論作文・面接でもよく問われます。その場合は、上述した調査結果などにも触れつつ、いじめは絶対に許さないという姿勢を示し、予防と早期の発見・対応に努めていくことなどを述べるとよいでしょう。

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