【教育ニュースの勘所(10)】教育再生実行会議

月刊『教員養成セミナー』元編集長/教育ジャーナリスト 佐藤 明彦
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 大臣が廃止を表明

 9月3日、萩生田光一(当時)文科大臣が、教育再生実行会議が廃止される方向であることを表明しました。

教育再生実行会議を廃止、後継会議を設置へ 文科相表明

 上記、教育新聞記事に「後継会議の設置について菅義偉首相(※当時)の了承を得た」とあるように、今後は新しい会議体を発足させる方向で、調整が進んでいるようです。

 教育再生実行会議はこれまで、計12回にわたって提言を示してきました。にもかかわらず、教採の筆記試験においては、これら提言から出題されることがめったにありません。一体、なぜなのでしょうか。

 そもそも教育再生実行会議とはどのような会議体で、中央教育審議会(中教審)とは何がどう違うのか。今回は、こうした事柄について解説していきます。

 会議の概要

 教育再生実行会議が設置されたのは、2013年1月。当時、中学生のいじめ自殺事件が世間で取り沙汰されたことを受けて発足し、同年2月には第1次提言「いじめの問題等への対応について」を公表しました。この提言を受けて同年6月に制定されたのが、いじめ防止対策推進法です。発足からわずか半年で法制化されたことで、教育再生実行会議は大いに存在感を示しました。

 その後、教育再生実行会議は次々と提言を公表していきました。教育委員会制度の改正、義務教育学校や専門職大学の制度化、高大接続改革、給付型奨学金の創設など、過去10年の間に行われた改革の多くは、元をたどれば教育再生実行会議の提言から端を発しています。

 会議の委員は、学校関係者だけでなく、民間企業の経営者や自治体の首長、元スポーツ選手など、幅広い分野の有識者たちで構成されています。2021年9月時点で22人が委員として名を連ね、座長は早稲田大学の前総長・鎌田薫氏が務めています。

 中教審との違い

 中教審も、幅広い分野の有識者が集い、教育制度などについて審議する点は同じです。一番の違いは、教育再生実行会議が政府直属の会議体であるのに対し、中教審は文科省に置かれた会議体である点です。

 余談ですが、教採の筆記試験を作成するのは、都道府県や政令指定都市の教育委員会事務局です。教育委員会は、行政的には文科省のラインに入り、首相官邸との直接的な関係性は強くありません。教採の筆記試験で、教育再生実行会議の提言からの出題が少ないのは、こうした行政的構図と無関係ではないでしょう。

 教育再生実行会議の発足後は、その提言を受けて中教審が細部を検討するという流れが一般的でした。ただ、この点については、与党の政治的意向が教育政策に影響しやすいことを懸念する声もあります。

 採用試験対策のポイント

 出題数は少ないですが、2018年実施試験で高知県が、2019年実施試験で東京都が、教育再生実行会議の第10次提言から出題しています。とはいえ、この提言を読み込んで重要語句を覚える時間があれば、むしろ中教審の頻出答申について対策をした方がよいでしょう。

 なお、教育行政に関わる会議体には、この他にも中曽根内閣の下で行われた「臨時教育審議会」、小渕内閣の下で行われた「教育改革国民会議」、第1次安倍内閣の下で行われた「教育再生会議」などがあります。論作文や面接、集団討論などでは、これらの会議名を混同しないように注意する必要があります。

教育再生実行会議


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