【深い学び入門(10)】教採試験で問われる…対話的な学習

教育評価総合研究所代表理事 鈴木秀幸
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 「主体的・対話的で深い学び」に関する採用試験問題として「対話的な学習」についての問題を考えてみたいと思います。

 問題は前回と同様に2つの面から考えられます。1つは「対話的な学習」が必要な理由について、2つ目は「対話的な学習」を進める指導方法です。

 1つ目の対話的な学習が必要な理由に関しては、L・S・ヴィゴツキーに由来する社会的構成主義の考え方から説明することが考えられます。構成主義にせよ社会的構成主義にせよ、「深い学び」に通じる考え方でもありますので、こちらから説明することは、「深い学び」も視野に入れた解答となります。社会的構成主義では、学習は他者(教師や他の生徒)との社会的な交流(助言、議論、意見交換)により行われると考えています。この社会的な交流の手段として、対話が必要になると説明します。

 当然のことですが、教師の授業を黙って聞くことは対話となりません。他者との対話により、異なった考え方や意見、上級者からの助言を通じて、自分がそれまで持っていた考え方を修正したり、新しい考え方を受け入れたりすることで、「深い学び」が実現するとまで述べることができれば、優れた解答となります。

 対話的な学習が必要な理由として2つ目の説明は、形成的評価の面から説明することが考えられます。形成的評価の方法として、臨機応変に使うことができるのは教師の質問です。教師の質問と言っても、単語や用語を答えるような質問では、形成的評価としての効果はほとんど期待できません。重要なのは、生徒がどのような考え方をしているかを知ることのできる質問です。「~についてどう考えますか」とか、「~という意見の理由を言ってください」などのような質問をすることが必要です。

 このような質問をすることにより、生徒の考えていることを聞き出して、間違った理解をしていないか、不十分なところはないかを確認し、問題があれば修正するように指導します。生徒の考えていることを聞き出すには、先に述べたような形での質問が必要となります。このような形での形成的評価が機能するために、対話が必要になると説明することが考えられます。

 形成的評価から対話の必要性を説明することは、同時に対話を促す指導方法も述べることになります。つまり、形成的評価における教師の質問は、対話を促す指導ともなります。形成的評価での教師の質問の目的は、生徒の考えていることを聞き出して学習の改善を図る目的ですが、形成的評価でなくとも、授業で探究的なプロセスを用いたり、問題解決型の授業を用いたりして、生徒の意見や考えを聞いたり、グループで話し合い、意見を発表したりするようにすれば、対話的な学習となります。

 解答に用いることのできるスペースにより、どちらかを用いるか、または両方を用いるかを判断してください。 


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