【深い学び入門(11)】教採試験で問われる…ウオッシュバック効果

教育評価総合研究所代表理事 鈴木秀幸
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 最近では指導から評価へという流れとは逆に、評価から指導へという流れも考える必要があると言われています。例えば、中学生や高校生は定期試験の前になると、テストに出そうなところを一所懸命に学習します。このような評価(テスト)が生徒の学習に影響したり、学習指導の在り方に影響したりすることを、ウオッシュバック効果と言います。教採試験対策として、このウオッシュバック効果についての問題を考えてみます。

 考えられる問いとして「評価が生徒の学習に与える影響を考えた場合、どのような影響に留意して評価方法を選択すべきでしょうか」といったものです。

 解答に当たり指摘すべきことは、「浅い学び」と「深い学び」との関係です。多肢選択式や、用語や語句を解答する評価(テスト)を実施し続けると、生徒の学習は「浅い学び」となる傾向があります。逆にパフォーマンス評価や、記述式(特に書く字数の多い場合)の評価やテストを実施すると、「深い学び」につながることになります。

 生徒に幅広い分野の学習をさせようとすれば、多肢選択式のテストや、用語や語句を答えさせるテストは、広い範囲の学習事項を出題できますので、生徒もこれに合わせて幅広く学習しようとします。当然ですが、この場合は問題数が多くなりますが、このような問題形式での採点は容易です。ただし、私は定期テストで100題出題したことがありますが、こんなに多くの問題を出せば、さすがに採点が大変になり後悔しました。教科書50ページにわたるテストなどでは、生徒が準備不可能と感じて学習を諦めてしまう恐れがあるので、ほどほどにすることを忘れてはなりません。

 パフォーマンス評価や記述式のテストは、先に述べたように「深い学び」につながりますが、逆に学習の範囲は狭くなります。また、採点や評価が難しくなります。当然ですが、実施や採点に時間がかかりますので、多くの回数や課題で実施するわけにはいきません。最近の特徴として、高校生は記述式のテストを嫌がります。私は記述式のテストをしばしば使いましたが、記述式はやめてほしいと生徒に言われました。これは、長年にわたりセンター試験で多肢選択式の問題が使われ続けた結果ではないかと考えます。もちろんこれは教採の問題として出題されることはありませんが、評価が生徒の学習に影響する例と言えます。

 新学習指導要領はこの連載のテーマのように、「深い学び」が求められていることが特徴です。しかし、わが国では学習する範囲を広くするのも必要だと考えられてきました。両者を両立させるのはなかなか難しい課題と言えます。そのため、可能な範囲で両者を適切に組み合わせることを考えなければなりません。パフォーマンス評価は、1つの教科で1学期に1~2回程度実施することを考えれば良いでしょう。記述式の問題は、定期テストなどで100字程度書かせる問題を1~2問程度出題することを考えましょう。 


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