【神谷正孝の教育時事2022(2)】生徒指導上の諸課題に関する調査 「問題行動・不登校の最新事情を押さえる」

kei塾主任講師 神谷 正孝

 皆さん、こんにちは。仙台を拠点とする教員採用試験対策専門スクールkei塾主任講師の神谷です。今回は、10月13日、文科省から発表された「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の最新結果を見ながら、問題行動や不登校の現状を確認していきたいと思います。

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 今回取り上げる「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」は前年度の「暴力行為」「いじめ」「出席停止」「長期欠席(不登校等)」「高校中退」「自殺」「教育相談」の各項目の調査結果をまとめたもので、毎年10月に発表されています。採用試験でも筆記試験はもとより、面接・討論・論文などでもテーマとして取り上げられやすいものばかりです。調査結果は、文科省のウェブサイトから簡単に入手できます。

 結果の読み取りにおいては、まず全体の傾向を把握しておきましょう。その際に、昨年との比較だけでなく、直近5年間程度の傾向も確認しておくことが大切です。筆記試験の選択肢では、「増加し続けている」「減少傾向にある」など、ここ数年の傾向について述べたものも多く出題されているからです。なお、数字を押さえるに当たっては、およその数で大丈夫です。

 全体の傾向を把握したら、次に、受験予定都道府県の現状を把握することが大切です。特にいじめと不登校については、目指す自治体の数字を確認し、近県や人口規模などが近い都道府県と比較してみるようにしましょう。他県と比して多く報告されているのならば、当然、その課題の解決がその都道府県にとって重要なテーマとなります。面接や討論、論文などで、現状を踏まえた対応策や見解が問われる可能性があります。

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 今回は、コロナ禍の影響を受けており、例年とは異なる傾向が見受けられます。増加傾向にあったいじめの認知件数や暴力行為の発生件数が10%以上減少しています。その半面、小中学校の不登校については人数・割合共に増加(約1・5万人増、在籍児童生徒に占める不登校児童生徒の割合も1・9から2・0%と増加)しました。8年連続で不登校児童生徒数が増加し、さらにその55%が年間90日以上の欠席者となっており、文科省は「憂慮すべき事態」としています。

 また、絶対数こそいじめや不登校と比して少ないものの、児童生徒の自殺者は昨年度の317人から大幅に増加し、415人報告されていることも憂慮すべき事態です。小・中・高校の全校種で昨年度よりも増加し、男子は約1割増だったものの、女子が昨年度の111人から191人と7割以上増加しています。中でも特に高校生女子は昨年度の63人から131人と2倍以上となっています。

 この結果を受けて、文科省では、「いじめや暴力行為が減少したとは言え、さまざまな活動の制限は子供たちが得られるはずだった学びの機会や経験が減少した可能性を含んでおり、必ずしも肯定的に捉えることはできない」として、「引き続き周囲の大人が子供たちのSOSを受け止め、組織的対応を行い、外部の関係機関等に繋げて対処していくことが重要」であるとしています。特に自殺予防については、2021年6月に取りまとめられた「児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議審議のまとめ」を踏まえ、SOSの出し方に関する教育を含めた自殺予防教育や教職員に対する普及啓発などの実施の推進が示されました(文科省「令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」より)。

 それぞれの課題について、これからの学習の中で得る知識と関連付けながら、自分の取り組み方を考えてみるとよいでしょう。

 

1 文部科学省「令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(令和3年10月)において、いじめの発見のきっかけとして「学校の教職員等が発見」の中で最も多かったものとして適切なものを1~5の中から1つ選びなさい。

1.アンケート調査など学校の取組により発見

2.学級担任が発見

3.スクールカウンセラー等の相談員が発見

4.養護教諭が発見

5.学級担任以外の教職員が発見(養護教諭、スクールカウンセラー等の相談員を除く)

解答1 解説 全学校種で「アンケート調査など学校の取組により発見」が多い。

 

2.小中学校不登校児童生徒に関する説明として、最も適切なものは、次の1~5のうちのどれか。

1.統計的にみると、不登校児童生徒数は小学校では各学級に少なくとも1人はいる計算になる。

2.不登校児童生徒数は、学年別に見ると学年が進むにつれて多くなり、小学校6年生から中学校1年生で大きく増加しており、その後、減少している。

3.不登校児童生徒のうち、約10人に1人は、指導の結果、同年度中には再登校する。

4.不登校児童生徒が適応指導教室やフリースクールに通所している場合、一定の条件を満たせば在籍校で指導要録上、出席扱いにすることが可能である。

5.学校を休んで遊びまわったり、生活態度が乱れたりして、学校生活よりも校外での遊びなどに関心を持ち、学校を欠席している場合は、不登校ではない。

解答4 解説 以下、数値はすべて、「令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」から引用。1:小学校では1%である(中学校では約4%)。2:中学校で大きく増加し、中学校3年生で最大となる。3:約28%である。5:不登校に含まれる。

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