【深い学び入門(12)】教採試験で問われる…まとめーどう答えるか

教育評価総合研究所代表理事 鈴木秀幸
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 この連載では「主体的・対話的で深い学び」について、これを幾つかの構成要素に分けて考えてきました。最終回は、これまでのような分析的に考えた問題ではなく、これを一つのまとまりとして問われることを考えてみたいと思います。

 問題としては「新学習指導要領で『主体的・対話的で深い学び』が強調されている意義を述べてください」というようなものが考えられます。基本的には、これまで述べてきたいろいろな要素をまとめて答える必要があり、各要素の理解に加えて、それらを組み合わせて構成する能力までが問われることとなり、難しい問題となります。

 論述の基本は、核となるものを決めて、各構成要素について簡単に説明しながら、核となるものを中心に、構成要素の関係を述べる必要があります。何を核とするかは、いろいろな選択肢がありますが、ここでは「深い学び」を中心として述べることを考えてみたいと思います。

 核となる「深い学び」については、学習した知識などを応用できたり、長く記憶に残ったりする学びと要約します。

 用いる構成要素は、「深い学び」からは構成主義の学習観(学習理論)です。これを簡単に説明しながら述べる必要があります。構成主義の学習観は、学習を知識の組み換えと考えていると要約します。余裕があれば「深い学び」は、古い知識の上に新しい知識を積み重ねることではないと付け加えます。

 二つ目の構成要素は「対話的な学習」から社会的構成主義を用います。これについては、知識の組み換えは他者(教師や他の生徒)との社会的交流、つまり対話によって起こると要約します。「主体的な学習」からはメタ認知能力と自己評価を用います。メタ認知能力は、自分の学習について自己評価し、改善できる能力とします。

 これらを用いて次のように述べたら良いでしょう。

 「新学習指導要領では、学習した知識などを応用したり、長く記憶に残ったりする特徴を持つ『深い学び』が求められている。このような学びの基盤には、学習を知識の組み換えであるとする構成主義の学習観がある。知識の組み換えが起こるためには、教師や他の生徒との社会的交流、すなわち対話が必要であると近年では考えられるようになった。このような対話の必要性を強調するのは、社会的構成主義の学習観に基づくものである。

 また認知心理学の研究によれば、学習の進歩が著しい生徒の特徴として、学習について自己評価し、必要な修正ができる能力であるメタ認知能力が高いことが分かってきた。このようなメタ認知能力が発揮されるためには、学習に主体的に取り組む態度が必要であると考えられる。これは学習評価の観点ともなっている。新学習指導要領の『主体的・対話的で深い学び』は、このような構成主義や社会的構成主義の学習理論、認知心理学の成果を取り入れたものになっている点に意義がある」

(おわり)
 


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