【実例で学ぶ論作文講座(5)】テーマ「主体的・対話的で深い学び」①

明海大学外国語学部教授/教職課程センター副センター長 大池公紀
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1.今回も例文を批判的にチェック

 今回の出題は、「『主体的・対話的で深い学び』をどのように教育実践していくか、自分の考えを教科に結び付けて述べなさい」(1000字)です。このテーマは、新学習指導要領の実施によって定番のテーマとして定着しました。出題頻度のピークは過ぎたとはいえ、まだ各都県で出題の可能性はあります。

 まず例文を読む前に、自分が書き手であればこのテーマでどのように書くかを考え、実際に書いてみてください。1000字全て書くのが難しければ、せめて自分であればどのような構成で書くかを10分ほど、構想してみましょう。この「書き始める前に論策文の構想・構成を10分間考える」は、本番当日に実際にやってもらう作業の1つです(詳細は第7・8回でお話しします)。

2.チェックリストNO.2

 チェックリストNO.2を以下に示します。この後の作文例を以下の視点で点検してみてください。

(1)文体の統一を図る(常体「だ・である」で書く。敬体「です・ます」は使わない)
(2)「(学校という)組織」で協働を意識した記述をする
(3)関与者(教師)という立場で記述する
(4)保護者・地域との連携、地域教育資源の活用を意識する
(5)何よりも「強い」文章を書く(言い切り表現・使役表現)
(6)本論には「柱」を置く
(7)具体的に「(教師としての)教育的取り組み」を挿入する
(8)短文を心掛ける(長文はNG。複文は十分に検討し、できれば避ける)
(9)主語・述語をねじれさせない
3.今回の論作文

 現在東京都の中学校で、日々仕事に励んでいるB君の論作文です。今回はいくつかの箇所に下線を引き、「四角」を挿入しました。連載第3回のチェックリストNO.1と本日のNO.2を参考にして、どうして筆者がこのようにしたかも考えながら読んでみてください。

 私は、既存の知識を活用しさまざまな問題を乗り越えられる人材を育成するためには日々の授業から自分の考えを持ち他人と意見を交換する活動を行うことが重要である。私は、主体的・対話的で深い学びのある授業を行うとともに、地域と連携した体験活動を通した授業をする。

1.主体的・対話的で深い学び           

     新学習指導要領でも求められている様に授業でグループワーク、ペアワークなどのアクティブ・ラーニングを積極的に取り入れた対話的な授業を行う。さらにグループの意見をクラス全体で共有させる。教員からの問題提起に対して    解決するための考えを持ちペアで共有しさらにグループ、クラス全体で共有させる。これらのことにより自分にはなかった考えを発見でき課題を解決するためのアプローチを増やすことにつながる。また豊かな思考力の育成ができると考える。私は、教員として生徒に対して一方的な授業を展開するのではなく生徒と対話をしながら生徒の意見を引き出し、意見の交換が絶えない授業づくりに励んでいく。

2.地域と連携した授業          

     地域に住んでいる外国人や英語ができる地域の方々との英語を話す体験活動を行う。授業で学んだ知識を実践で生かし、生徒に英語が通じたという発見をさせる。これにより生徒の自信にもつながり主体的に授業に取り組むきっかけとなると考えた。また英語が通じなくても知っている別の英単語を使い、言い換えをすることで通じるという経験をすることで思考力の育成にもつながる。さらに授業で発見した課題について英語で発表をし、どのような発表や言い換えをしたら相手に伝わりやすいか道筋立てて準備をさせる。意見交換をすることで教員ではない大人たちの考えを知ることができ新たな価値観、豊かな思考の創設につながる。

 主体的・対話的な授業の実現は毎回の授業から訓練が必要です。    実現のためにグループワークの取り組み方、アクティブ・ラーニングの効果など先生方との情報共有を欠かさず、生徒たちの豊かな思考力の育成に励みます。また地域と連携した授業づくりでは、地域の方々との日々のコミュニケーションも重要になります。学校の先生方、管理職の先生方との連携を密にし、    生徒たちに英語を実践で使える機会を与えることができるよう教員として邁進していくつもりです

 まだまだ足りていない表現はいくつかあります。 「強い」文章になっているかという点で課題もあります。もちろん、構造的な問題もあります。次回、どのように変化させればよいかをお示しします。

【ちょこっとコラム3 資料は公的なWebサイトを活用してストックするべし】

 先日、「序論の資料はどこを探せばよいのでしょうか」と学生から質問を受けました。「そんなこと、自分で考えなさい!」とも言えず、優しく回答しました。

 学力調査モノは、全国学力・学習状況調査やPISA、TIMSSに関する情報が文科省にあります。国や都道府県の教育振興基本計画、教育大綱、各教育委員会の指針などは本体を全て読むのは大変なエネルギーを要するので、「概要」を探してそちらを熟読しましょう。加えて、本紙「教育新聞」のデジタル版や『月刊教員養成セミナー』のタイムリーな記事などが“テッパン”です。それらをどのように活用すればよいかは、次回のコラムで解説します。


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