【授業づくりのポイント(1)】感謝の気持ちと問題意識を持ち、自身の強みを自覚する

東京学芸大学教授・櫻井眞治/東京学芸大学教授・宮内卓也
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 ある学校の会議で、教育実習生の担当教員を決めることを巡って話し合いが行われている。

 教師A「ただでさえ仕事が多い中、その上教育実習生の指導をするのは大変です」。

 教師B「まだ子供が小さく保育所の送り迎えがあるので、私は引き受けるのが難しいです」。

 教師C「『働き方改革』と逆行していないでしょうか」

 校長「私たちも通ってきた道であり、教職に進む後輩を育てるのは大切なことだと思います。どなたか担当してくださる方は、いないでしょうか?」

 一同「……」

 このような学校ばかりではないと思われるが、教育実習生を引き受ける教師には、このような思いがあることにも想像を巡らせてほしい。あなたの指導教員もこのようなプロセスを経て決まったのかもしれない。だから、何よりも引き受けてくださった学校、学級の先生への「感謝の気持ち」を持つことが大切である。

 このような気持ちがあれば、あなたの行動も変化してくるのではないだろうか。例えば、教育実習校の教職員に進んで気持ちの良いあいさつをすること、少しでも「自分が子供たちや学校の力になれることはないか」と考え自ら動くことなどである。そうしたあなたの行動が人を動かし、貴重な何かを引き出すことになるのである。

 教育実習の一つの目的は、大学での学びを生かして実践経験をし、感動や難しさに直面し、自分が教職に進むのかどうかについて考えることである。教師として、一人一人の子供の成長に関わっていきたいのかどうか。筆者も教師を志したきっかけは、ある子供の「分かった!」「できた!」という輝いた表情との出会いであった。教師とは、このようなすてきな子供の表情に出会える職業なのだと、教育実習で実感したのである。

 事前の準備としては、教育実習に対する問題意識を持つとともに、興味のあることや得意なことを明確にしておくことが求められる。前者については具体的に、一人一人が安心して過ごせる学級づくり、子供が主体的に学ぶ授業づくり、学習に困っている子供への指導などが考えられる。そうした問題意識を持ち、時には修正しながら、教育実習に臨むことが求められる。後者については、読書、旅行、スポーツ、音楽、料理など人によってそれぞれだと思うが、そうした興味や得意が、担当する学級の一人一人の子供に新たな世界を開くきっかけになるのである。

 感謝の気持ちを大切にし、教育実習への問題意識を持ち、自身の強みを自覚して臨めるように、早い時期からしっかりと準備を進めてほしい。

(第1回担当・櫻井眞治)


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