【集団討論の鉄則(5)】討論の進め方のポイント②

明海大学副学長/外国語学部教授/教職課程センター長 高野敬三
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 第5回は前回に引き続き、討論の進め方のポイントについて見ていくこととします。

 ここで復習です。前回は課題・テーマに対し、自己の考え方をまとめるポイントとして、「現状→原因・背景→課題解決の方策」の順序を示しました。また、自分の考えを発表する際の声の大きさ、語尾についても注意点を述べました。さらには、受験者同士の意見のキャッチボールが大切であることも注意喚起したところです。今回は、集団討論における効果的な手法に的を絞って、そのポイントを解説していきます。

各受験者の発言についてメモを取る

 ある課題・テーマについて受験者が挙手または指名で発言・議論を展開していく場合、それぞれの受験者の発言内容を正しく理解していくことが肝要です。東京都のように討論前に自己の意見を発表する時間帯がある場合はもちろん、そうした機会がない場合も、他の受験者の発言内容を忘れないようにするため、メモを取ることが大事です。1対1での議論と違って、集団討論では他の受験者の発言を覚えていくことが難しいからです。

 ましてや、試験本番という特別の環境の中では、緊張して頭が真っ白になることもあります。必ず、各受験者の発言内容をメモするようにしてください。多くの自治体ではメモ用紙が配られるので、それを有効に使うことが必要です。

 例えば、A4の用紙が渡されたならば、罫線を入れて受験者数分の区画を設けます。そして、各区画に自分、Aさん、Bさん、Cさん、Dさんの発言内容を書き込んでいきます。メモはポイントのみ、あるいは議論を展開する上で生かせそうな短い一文、気になる言葉や用語だけでも構いません。そうすることで受験者全員の発言内容やその一致点・相違点が明確になります。

 その上で、このメモ用紙を自身の発言に活用します。討論前の課題・テーマに対してきちんと意見を述べられた人が、5~6人で討論する中で話に参加できず、自己の意見を繰り返し話すだけに終わるケースがありますが、そうした状況も避けられます。

討論における意見のキャッチボールを大切に

 討論とは、受験者同士の意見のキャッチボールです。このキャッチボールなくして、高評価を勝ち取ることはできません。

 具体的に「Bさんの指摘はその通りで大切なことですが、Dさんが述べた視点も大事だと私は考えます。私はこうした視点から〇〇〇〇することが教員に求められると考えますが、Bさん、いかがでしょうか」と話を展開したり、「この問題の解決に当たっては、Cさん、Aさん、そしてDさんに共通しているのは△△だと思います。私も△△がとても大切だし、より良い課題解決のためには、□□□することが必要だと思いますが、皆さんいかがでしょうか」などと話を展開したりすれば、他の受験者が議論を深めるきっかけをつくることもできます。

 こうして議論を膨らますためにも、各受験者の発言内容をメモに取ることは極めて重要です。

他の受験者に対しては傾聴と共感で貫く

 他の受験者が話をしているときは、発言者の話をよく聞くと同時に、メモを取るとき以外は視線を発言者に向けて傾聴の姿勢を示すことが大切です。また、うなずきながら聞くことで、共感の意思表示をすることも大切です。面接官は発言者のみならず、発言者以外の受験者の様子もチェックしていることを忘れてはなりません。

 本シリーズ最終回となる次回は、集団討論の事前の対策・練習の方法について解説します。

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