【授業づくりのポイント(2)】大学で学んだ知識や理論を検証・深化させる場

東京学芸大学教授・櫻井眞治/東京学芸大学教授・宮内卓也
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1.教育実習の目的と目標

 大学で学んだ知識や理論について、実践を通して検証・深化させることが教育実習の大きな目的である。優れた理論も学校現場にそのまま適用できるわけではない。また、優れた実践も分析して体系化することで、理論として裾野を広げることができる。理論と実践の往還は、教員になってからも欠かせない営みである。こうした目的を踏まえ、教育実習の目標として、以下の3点を挙げた。

 ①教育に対する心構えを持ち、児童生徒への理解を深め、愛情を持つこと。

 ②課題意識を持ち、解決への洞察力を身に付け、今後の研究の方向を明確にすること。

 ③教職と自己に対する認識と自覚を深め、資質能力形成の見通しを持つこと。

 限られた期間で教員として必要な資質・能力が全て身に付くわけではない。教育実習を通して、教職と自己を俯瞰した位置から見つめ、気付きを得ることが大切である。自分の強みを知ってモチベーションを高めることも、力不足な点を知って課題を認識することも大切である。職業選択に関わる問いに遭遇することもあるが、それも一つの意義である。

2.持つべき心構え

 教育実習には、「職務遂行能力を獲得するための職務訓練」という視点がある。大学の教育課程の一環として行われるが、教育実習生は学校現場で職務として子供と関わっていくため、学生と教員の両方の立場を有していると言える。故に、教員としての自覚と責任が求められる。

 教育実習生もそれぞれに個々の教育観を持ち始めているので、指導教員との間で対立的な視点が生まれることもあるかもしれない。だが、学校現場の知見を広く学ぶ途上である立場を踏まえれば、たとえ考え方に違いが見られたとしても、そこにどのような違いや意義があるかを見いだし、謙虚に学ぶ姿勢を大切にしなければならない。

3.事前準備

 小学校と違い、中学校や高校は教科担当がはっきりと決まっており、事前準備においては授業準備の占める割合が大きい。担当する単元が決まると、つい狭い範囲で学習指導要領を参照しがちだが、まずは広く全体像を見渡し、系統性や関連性を意識しながら担当する単元の位置付けに注目したい。

 また、教材研究というと、すぐに素材集めに走ったり、受験参考書の紙面を切り取ったりする実習生もいるが、「何のために何を教えるのか」を明確にし、まず関連する分野についての専門的な理解を深め、関連する専門書や文献に手を伸ばすことも必要だろう。多くの知見を得たとしても、実際に全てのものが教材になるわけではないが、集めた知見の裾野が広ければ広いほど、活用する教材の質は高いものになる。

(第2回担当・宮内卓也)


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