教師の「やってはいけない行為」は 職務命令違反、公私混同など

 昨夏の教採試験合格者はそろそろ着任校が決まるころだと思われる。念願の教壇に立つ前に、ここで公立学校の教師として「やってはならない行為」について少し学んでおこう。職務に関する主なものについて教職員が違法行為や全体の奉仕者としてふさわしくない非行などを行った場合には、懲戒の対象となるので、しっかりとした規範意識を持つ必要がある。

 〈職務命令違反〉

 地方公務員法32条に「職員は、その職務を遂行するに当つて、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない」とあり、教師は公務員として、法令などに従わなければならない。

 教師にとって上司とは教育委員会、校長、副校長、教頭などであり、上司から出された命令を「職務命令」という。その命令が有効なものとなるためには、(1)命令が権限ある上司から発せられるものであること(2)命令が職務に関するものであること(3)命令が法律に違反するような行為や事実上の不能を命ずるものでないことや社会通念上、合理的のものであること――など要件を満たすことが求められる。

 命令は拒否できない、とされ、違反した場合は内容や程度に応じて懲戒処分の対象となる(地方公務員法29条)。

 〈職務怠慢〉

 勤務する者は公務員、民間企業に関わらず職務に専念することが求められる。公務員は特に法で職務専念義務が課せられている。日本国憲法15条2項「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない」や地方公務員法35条「職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない」などによるものでざる。

 この職務専念義務に違反すると職務怠慢となるわけだが、具体的な行為としては「勤務時間中に職務を離れたり、怠けたりする」「任命権者の許可なく、兼職や兼業をする」「株取引など職務とは関係のないことをする」などがある。新任の教師としては、何より教育に全力を傾注するようにしたい。

 〈兼職・兼業〉

 教育に関する他の職を兼ねるのが兼職、教育に関する他の事業に従事するのが兼業という。

 公務員である教師が本務以外の業務を行うことは、原則的に禁止されている。地方公務員法38条で、任命権者の許可なしでは、(1)営利会社・団体の役員になってはいけない(2)自ら営利企業を営んではいけない(3)報酬を得て他の業務をしてはいけない――と営利企業などへの従事について厳しく制限しているのである。

 全ての兼業が禁止されているかというと、そうではない。任命権者の許可を受ければ、教師も本務以外の業務を行うことができる。教育公務員特例法17条1項で、「教育公務員は、教育に関する他の職を兼ね、又は教育に関する他の事業若しくは事務に従事することが本務の遂行に支障がないと任命権者において認める場合には、給与を受け、又は受けないで、その職を兼ね、又はその事業若しくは事務に従事することができる」とされていて、所定の手続きを経て、任命権者の承認を得られれば可能となる。

 兼業にはどのようなものがあるかというと、大学の非常勤講師、教育関連団体の役員、教育施設の役員や非常勤職員、教育関連の研修会・研究会の講師、教科書・教材の作成や執筆などがある。

 〈公私混同〉

 公私混同とは、「公的なことと私的なことを区別しないこと」で、職場や仕事などの公的な場所において個人的な事情などを持ち込み、区別を付けられないことである。職務上の行為と関係のない私的な行為を混同することは教師として決してやってはならないことであり、新任といえどもこれは心しておきたい。

 日頃、うっかりやってしまいがちな公私混同の行為としては、次のようなものがある。

 ▽学校の施設・設備の使用=コピー、プリンター、パソコン、電話、FAX、公用車などの使用

 ▽学校の備品・物品などの流用=いろいろなペーパー類、文具類、封筒・梱包用品などの流用

 ▽勤務時間中の私用=原稿やいろいろな作品の執筆・作成、電話やメールなどでの連絡、株の取引など資産運用などを勤務時間中に行う

 ▽児童生徒の作品などの無断使用=作文・詩・俳句など文学作品、絵画・工作・写真などの芸術作品を私的に使用

 ▽教師としての立場を超えた行為=保護者や児童生徒との交際

 「これくらいはいいのではないか」と軽い気持ちでやってしまいがちであるが、うっかりすると大きな過失にもつながるし、児童生徒や保護者からの信頼を失うことになる。新任という甘えを捨てて、しっかりと公私の区別を付けよう。

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