【授業づくりのポイント(3)】「子ども」「教材」「教師」と「学習活動」から授業を構想する

東京学芸大学教授・櫻井眞治/東京学芸大学教授・宮内卓也
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 筆者は初めての教育実習で、小学1年生を担当することになった。授業をするのは、算数科「ながさくらべ」。1年生の学習では直接比較からスタートし、あるものを基にした間接比較に進んだ後、2年生の長さの単位を用いて測ることへとつなげていく。どのような授業をしようかとあれこれ考えていたところ、学級担任から次のような言葉があった。

 「教科書を開いてみてください。この見開きで1時間の授業をつくります。この見開きから、あなたは1年生の子どもに何を教えたいですか?どんなふうに教えたいですか?」

 授業は、「子ども」「教材」「教師」と「学習活動」との関係で成立する。学級担任の言葉にあった「教科書の見開き」は、本時の「教材」に当たる。授業で子どもと教師が向き合って、その価値を追究していくものである。

 また、「1年生の子どもに」という担任の言葉は、そのまま「子ども」である。目の前の子どもにとって、この教材の楽しさは何か、難しさはどこにあるのか、などについてである。

 そして、「何を教えたいか?」は、「教師」である。「子どもに、このことをぜひ学んでほしい」という教師の強い願いは、授業をつくる上でとても大切である。

 最後に「どんなふうに?」は、「学習活動」の選定である。子どもが教材の価値に迫っていくために、どのような学習活動を展開すればよいのかである。

 当時は、このようなことが視点としてなかったが、「紙テープを使って、教室にある物の長さを測り、長さを比較する」という授業を行った。紙テープを手渡された子どもは、「何を測ろうかな」と、やる気満々である。活動が始まると一斉に動き出し、いろいろなものを測り出した。すると、何人かの子どもが私の周りに集まってきた。そして、私の足、腕などに紙テープを当て始めたのである。ふざけているのではないかと思った私は、「先生の所には来ないんだよ。教室にあるものを測ろうね」と、子どもたちを追い返してしまった…。

 皆さんには、もうお分かりであろう。子どもは教室にある「もの」として、私の身体を測ってみたかったのである。「子ども」にとって、実習生の身体も「教材」であった。そのことに「教師」が気付くことができなかったのである。今ならば、子どもに「おお、何をしたいの? 先生の身体を測ってみたいのか。どうぞ。うまく測れるかな?」などと、身を委ねそうであるが……。

 教育実習期間中の最初の授業と最後の授業とでは、劇的な違いがある。最後の授業では、子ども理解、教材研究、教師としての成長、学習活動の設定が、ぐんと磨かれてきていることを確かに感じることができる。

(第3回担当・櫻井眞治)


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