今夏の教採試験本番まで、あと半年を切った。受験を予定している人は、集中して試験勉強、面接対策などに取り組まなければならない時期である。近年の教採試験は、人物重視ということで、面接に重きを置いている自治体が多い。ここで改めて面接の全体像をつかみ、要点を学んでおこう。
(1)面接官
まずは面接官について。
面接官は主に次のような人が務めているケースが多い。
・ベテラン校長
・副校長、教頭
・教育委員会の指導主事
・民間企業の代表者・役員・人事担当者
最近は、人物を多面的にみるということで、民間の企業人を登用しているケースも少なくない。校長など管理職としては、この人物(受験者)に自校の子供たちを任せてよいかどうか(特に担任として)というのが重要な主点である。
(2)面接でみる主なポイント
(1)教育委員会として重視する点
・教育に対する熱意および使命感
・豊かな人間性と思いやり
・実践的な指導力
この3点が教育委員会が望む教師像に基づいた評価のポイントである。受験する自治体がどのような教師像を望んでいるのかは、ホームページなどで公開しているので必ずチェックする。
(2)個人面接でみる主なポイント
・性格、適性
・志望動機、教職への意欲
・コミュニケーション能力
・知識、教養、教職のレディネス
・表現力、説得力
・教育への情熱
・社会性(協調性、任感)
・積極性、来性
・人物の総合評価
どのような人間性なのかをみるのが軸である。近年は学校の組織的側面、児童生徒理解、保護者・地域との連携などの面から特にコミュニケーション能力が重視されている。面接官ときちんと話せるということで、まずは話をしっかりと聞くことが求められる。
(3)集団面接・討論でみる主なポイント
・協調性
・コミュニケーション能力
・表現力
・性格、適性
・社会性
・論理性
・指導力
・企画力
・態度
「他の受験者の質問にも耳を傾ける」「同じ質問をされてもいいように準備する」「他の受験者と比較されるので、自分の意見ははっきりと話せるようにする」などが要点である。特に集団討論の狙いは、チームワーク能力のチェックであると言われている。討論の勝者が高く評価されるわけではない。積極性がありながらも、協調性を持ち合わせていることが大事だ。チームワークを大事にしながら、話を盛り上げていこうとする姿勢を見せるとよい。
(3)具体的な質問のカテゴリーと代表的な質問例
(1)志望動機、自己PR
・なぜ、教職を目指しているのですか
・あなたのどのような資質が教師に向いていると考えていますか
・教壇に立つ前に直しておきたい点はどのようなことでしょうか
・当自治体を選んだ理由は何ですか
・10年後、あなたはどのような教師になっていると思いますか
・あなたにとって親友とはどのような存在でしょうか
・自分の長所や短所に触れながら、自己PRを1分以内でしてください
〈評価の観点〉
・論理性―筋道の通った話か
・表現力―聞き手が分かりやすいか
・積極性―謙虚な中に気迫が感じられるか
・将来性―教師としての資質や能力があるか
(2)教育時事
・小学校における教科担任制のメリット、デメリットを教えてください
・学校教育におけるICTの活用について、あなたの考えを教えてください
・当自治体の問題行動の実態を分析してみてください
・規範意識低下についてどう思いますか
・小1プロブレム、中1ギャップについてのあなたの考えを述べてください
・あなたが考える「主体的・対話的で深い学び」とはどのようなものでしょうか
・コロナ禍の学校教育の影響、およびそれへの対応策についてあなたの考えを教えてください
〈評価の観点〉
・キーワードについて、その意味、問題点などをよく踏まえているか。識見、常識
・考えや見方が中正であるか
・具体的な対応策を考えているか―実践力
・知性や感性の豊かさを感じるか
知らないことについて聞かれたら、適当に何かを言うよりも「すいません。勉強不足で分かりません。後ほど勉強します」などと言う方が印象がいい。黙り込んではいけない。