【授業づくりのポイント(5)】よりよい授業づくりと教師の成長を支える学習指導案(小学校編)

東京学芸大学教授・櫻井眞治/東京学芸大学教授・宮内卓也
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 今回は、学習指導案の「本時の展開」に関連して、目標、学習問題、予想される子供の反応、指導上の留意点と、その加筆修正について述べることにする。

 「目標」には、「(子供が)〇〇という学習対象について、△△という活動を通して、□□ができるようになる」というように、本時の授業を通して子供が到達する姿を書く。目標が決まると、それを子供の言葉で「学習問題」にしていく。「このことに取り組むんだ。ここへ向かっていけばいいんだ」と子供が理解し、ゴールへの見通しが持てる言葉、「やってみたい!できそうかな?」と、解決への期待が膨らむ言葉を選びたい。

 例えば、「『きらきら笑った』ちいちゃんは、幸せだったのか? 自分の考えをもとう」(小3国語)、「私の『平熱』をどのように決めたらよいか?」(小6算数)などである。教師の側から見ると、「学習問題」は「中心発問」と重なることもある。

 このような「目標と学習問題の設定」は、教師を何年経験している人でも悩むことである。それだけ、学習指導案づくりにおいて重要であり、かつ難しいところなのである。

 「予想される子供の反応」には、発問や活動に対して「期待したい言葉や姿」とともに、「子供が困ったり、つまずいたりしている姿」も、ぜひ記したい。ここに働いてくるものが、「指導上の留意点」である。「予想した考えを引き出すために、どのように働き掛けるのか」「困っているときには、どのような手だてを取るのか」などを記していく。筆者の教育実習においても、指導教員から「さまざまな子供に対応して、指導上の留意点が厚く書いてあるものが、良い学習指導案ですよ」という助言を受けたことがある。

 このように、さまざまな子供の姿を想定することによって、授業の場で子供とのずれを捉えることができる。そのずれから、「私が想定したことを超えて、子供はこんなことまで考えているのだ!」という感動が生まれる。また、「自分の想定が甘かったので、子供が困っていた。手だてを準備していたが、適切に対応できなかった。どうすればよかったのだろう?」と、見直しの手掛かりも得られる。

 そうして、授業後の「学習指導案への加筆修正」が意味を持ってくる。指導教員や参観者の意見も受けて授業を振り返り、学習指導案に色ペンで、想定していなかった子供の反応、学習問題や手だてなどについての改善案を記入していく。「もう一つの学習指導案」の完成である。そして、「今度の授業では、これをやるぞ!」と、挑戦課題を明確にし、次なるステップへと向かっていくのである。

 学習指導案は、より良い授業づくりを求める教師の作戦図である。また、教師自身が子供と共に成長し続けていくことを支えるものでもある。

(第5回担当・櫻井眞治)


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