【教員志望者のためのSDGs入門講座(4)】「環境と開発に関するリオ宣言」

大阪府立大学教授 伊井直比呂
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 前回まで、「持続可能な開発」の概念とそれに基づく「持続可能性」の考え方の生成について話しました。第4回から少し話の内容が変わります。

 1972年、82年と大きな国際会議が開催されてきました。そして、92年6月にブラジル(リオ・デ・ジャネイロ)で「環境と開発に関する国際会議」(通称:国連環境開発会議/地球環境サミット)がこれまでにない規模で開催されました。この国際会議の目的は72年の国連人間環境会議で採択された人間環境宣言(ストックホルム宣言)を再確認するとともに、環境と開発に関する国際的な原則を確立し、「21世紀に向けて地球上での持続的な生き方のための基礎を確立する」ものでした。

 ところで、国際会議の名称にはよく「環境」と「開発」が並べられて使用されています。この用語の定義を記しておきます。前回に記したブルントラント会議(83年、87年)で委員長を務めたノルウェー首相のグロ・ハーレム・ブルントラント氏が次のように定義して現在も用いられています。

 「環境とは、私たち全てが住んでいるところであり、開発とは、私たち全てがその居住区域の中でそれぞれの生活を向上させるために行うことである。環境と開発は切り離すことができない」。

 従って、地球環境サミットでは、地球環境に負荷を与えてきた先進国が重視する環境問題と、発展が阻害されてきた途上国が重視する開発問題との立場の違いを越え、27の原則からなる「環境と開発に関するリオ宣言」が出されました。

 内容は環境面だけでなく、貧困撲滅や女性の役割、被抑圧下の人々の環境、平和などに及びます。中でも、重要なのが「持続可能な開発のための環境保護と開発の不可分性」(第4原則より)、「グローバル・パートナーシップの精神に則り、共通だが差異ある責任を有する」(第7原則より)などの宣言です。また、「持続可能な開発のための人類の行動計画(アジェンダ21)」が採択され、「社会的・経済的要素」や「実施手段」などの課題解決策が示されました。ほかにも気候変動枠組条約締結なども有名です。

 さて、この地球環境サミットには多くのNGOが参加しました。この中でカナダの子供NGOを代表してセヴァン・カリス=スズキさん(当時12歳)が「伝説のスピーチ」と言われる歴史に残る演説をしました。一部分を紹介します。

 「あなた方大人は、絶滅した動物をどうやって生き返らせるのか知らないでしょう」「(ストリートチルドレンで)家も何もない一人の子供が、分かち合うことを考えているのに、全てを持っている私たちがこんなに欲が深いのはなぜ?」「戦争のために使われているお金の全てを貧しさと環境問題を解決するために使えばこの地球は全ての人にとって幸せな場所になります」。

 演説は各国首脳をくぎ付けにしました。「未来の時間」をたくさん持っている子供だからこそ、大人には見えないことや言えなかったことを的確に表現したのでしょう。

 このように持続可能な開発の問題は、大人が一方的に教え伝えるだけでなく、子供や若者の視点や疑問を大切にする必要もあると言えます。これはSDGsを進める上でとても重要なことと言えるでしょう。

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