【授業づくりのポイント(6)】学習指導案の作成が果たす役割(中学校・高校編)

東京学芸大学教授・櫻井眞治/東京学芸大学教授・宮内卓也
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1.学習指導案を作成する意義

 学習指導案は授業者の意図と授業展開を指導教員、授業参加者と共有するきっかけとなり、授業を省察する手掛かりとなる。また、学習指導案を作成する過程で、授業の狙いが曖昧だったり、詰め込み過ぎていたり、具体性を欠いていたりすることに気付くこともある。そうした過程も含め、授業プランを練り上げる大切な機能がある。

2.学習指導案を構成する主な要素

(1)日時、学校名、学年・学級名(生徒数)、授業者名、指導教員名など

 授業は「生もの」。指導者と生徒にとって、その授業は、その時1 回だけのものである。

(2)単元名、題材、主題

 単元名を示す場合、作品名や制作物、競技名などの題材を示す場合、提案の主題を示すも場合など、多様である。

(3)単元について(生徒観、教材観、指導観など)

 生徒観、教材観、指導観などを書き分けることもある。生徒観は生徒の実態であり、生徒の生活経験、学習経験、単元・題材に関する興味・関心、理解度や習熟度、成長と課題、日頃の学習状況などを指す。教材観は生徒の成長と教材の関わりであり、単元や題材の概要とともに、その価値や意義、予想される課題、期待される効果などを指す。指導観は指導の手だてであり、単元目標、生徒の実態を踏まえ、どのような点に重点を置いて指導を行ったらよいかなどを指す。

(4)単元の目標、評価規準

 単元を通して生徒に期待したい姿(身に付けさせたい資質・能力)を具体的に記述する。

(5)単元の指導計画

 生徒がどのような過程を経て着地点に至るのか。予想される生徒の反応、指導上の留意点などを明確にしながらストーリーを描き、本時の位置も明示する。

(6)本時案

 本時の狙いは単元目標をより具体化させたものである。学習活動、指導上の留意点、評価の観点と評価方法などを時系列で表にまとめるのが一般的であろう。学習活動について、生徒の活動を中心に記述されたものも見かけるが、基本的には授業者の役割を明示する。生徒の主体的な学習活動は重要だが、それらは授業者の支援や指導に支えられているからだ。発問、説明、助言、演示などは授業者の重要な役割であり、それらが曖昧なままでは授業が成立しない。学習内容の専門性が高い中学校、高等学校ではなおさらである。本時の評価は本時の目標と対応する評価の観点を示す。本時の目標、本時の学習活動、本時の評価との間に齟齬(そご)がある場合は、本時案の練り直しが必須であろう。

3.学習指導案の作成を形式的な作業で終わらせないために

 学習指導案は、授業者がどのような資質・能力を育成しようとしているのか、そのメッセージを精いっぱい伝える場としたい。そのために、授業者は具体的なストーリーを描きたい。授業者と指導教員、授業参加者が授業の意図を共有することで、見えてくるものがある。意図通りに展開される場合もあるが、意図が必ずしも実現しない場合もある。思いもよらない展開から新たな知見が見つかる場合もある。それら全てが省察の材料となり、より良い授業を生む原動力となるはずである。

(第6回担当・宮内卓也)


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