【神谷正孝の教育時事2022(7)】第3次学校安全の推進に関する計画 試験に出る安全教育~その2

kei塾主任講師 神谷 正孝

 皆さんこんにちは。仙台を拠点とする教員採用試験対策専門スクールkei塾主任講師の神谷です。さて、今回は、前回に引き続き安全教育に関連して「学校安全」を取り上げたいと思います。

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 2022年2月に中教審から「第3次学校安全の推進に関する計画の策定について」という答申が出されました。これは国が定める計画の下地となるものであり、今年の試験で重要な内容です。

 「学校安全の推進に関する計画」はおおむね5年に一度策定される計画で、今回策定されるのは22~26年度までの第3次計画です。

 計画の策定に当たっての課題として、「計画やマニュアルの整備が実効的な取り組みに結び付いていないこと」「関係者の学校安全の取り組み内容や意識に差があること」「大規模災害に備えた実践的な防災教育を進めていく必要があること」「教職員の位置付けや研修について学校現場の実態が追い付いていないこと」「データや研究成果が活用されていないこと」「計画自体のフォローアップが不十分なために進捗(しんちょく)が図られていない事項があること」などが指摘されています。

 鍵になるのは「実効的」という言葉です。実際に取り組みや施策の効果が表れるようにしていくことが求められます。また、学校の努力だけでは防止できない事案(通学路の安全など)への対処のため、「子供の視点」に立ちながら「学校外の専門的な知見や地域の協力」を得て、学校安全の取り組みに反映させていくことの必要性を指摘しています。その実現のためには地域をはじめとした学校安全に関わる多様な主体との連携・協働が必要です。

 以上を踏まえた第3次計画の「目指す姿」として、第2次計画で「安全に関する資質・能力を身に付ける」としていた児童生徒の姿については、「自ら適切に判断し、主体的に行動できるよう、安全に関する資質・能力を身に付ける」と具体化しています。また、「学校管理下における児童生徒等の死亡事故の発生件数について限りなくゼロにすること」を引き続き記載し、第2次計画で、「障害や重度の負傷を伴う事故を中心に減少傾向にする」と示されていた、学校管理下における児童生徒などの負傷・疾病の発生率について「障害や重度の負傷を伴う事故を中心に減少させる」と踏み込みました。

 施策の基本的な方向性は、6点示されています。すなわち「学校安全計画・危機管理マニュアルを見直すサイクルを構築し、学校安全の実効性を高める」「地域の多様な主体と密接に連携・協働し、子供の視点も踏まえた安全対策を推進する」「全ての学校における実践的・実効的な安全教育を推進する」「地域の災害リスクを踏まえた実践的な防災教育・訓練を実施する」「事故情報や学校の取り組み状況などデータを活用し学校安全を『見える化』する」「学校安全に関する意識の向上を図る(学校における安全文化の醸成)」の6点です。

 以上が「1.総論」のポイントになりますが、続きの「2.学校安全を推進するための方策」では、「3学校における安全に関する教育の充実」を中心に確認しておきましょう。特に「防災教育」に関連した「避難訓練の見直し」については要チェックです。

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 新しい答申につき、どこまで深く出題されるか不明瞭な部分はありますが、学校安全の考え方について、知識をアップデートすることは大切です。総論はそれほど長いものではないので、一読しておくことをお勧めします。その際には、今回取り上げた内容に関わる部分を確認しておきましょう。

 

 

1.下の文は,「第3次学校安全の推進に関する計画の策定について(答申)」(令和4年2月 中央教育審議会)の一部である。文中の(ア)~(エ)に当てはまる語句の正しい組合せはどれか。1~6から1つ選びなさい。

2.施策の基本的な方向性

これまでの取組や課題を踏まえ,第3次計画期間において取り組むべき施策の基本的な方向性は以下のとおりとする。

○ 学校安全計画・危機管理マニュアルを見直すサイクルを構築し,学校安全の実効性を高める

○ 地域の多様な主体と密接に( ア )し,子供の視点を加えた安全対策を推進する

○ 全ての学校における( イ )な安全教育を推進する

○ 地域の災害リスクを踏まえた実践的な防災教育・訓練を実施する

○ 事故情報や学校の取組状況などデータを活用し学校安全を「( ウ )」する

○ 学校安全に関する意識の向上を図る(学校における( エ )の醸成)

 1.ア-連携・協働  イ-実践的・実効的  ウ-見える化  エ-安全文化

 2.ア-連携・協働  イ-主体的・協働的  ウ-組織化   エ-安全文化

 3.ア-連携・協働  イ-実践的・実効的  ウ-見える化  エ-防災意識

 4.ア-連携・分担  イ-主体的・協働的  ウ-組織化   エ-防災意識

 5.ア-連携・分担  イ-実践的・実効的  ウ-見える化  エ-安全文化

 6.ア-連携・分担  イ-主体的・協働的  ウ-組織化   エ-防災意識

解答 1

 

2.「第3次学校安全の推進に関する計画の策定について(答申)」(令和4年2月 中央教育審議会)の内容として適切でないものを選びなさい。

1.防災教育は、単に生命を守る技術の教育として狭く捉えるのではなく、どのような児童生徒等の資質・能力を育みたいのかという視点から「防災を通した教育」と広く捉えることも必要である。

2.防災教育には、災害時に自分の命のみを守ることができるようになるという効果とともに、児童生徒等の主体性や社会性、郷土愛や地域を担う意識を育む効果や、地域と学校が連携して防災教育に取り組むことを通じて児童生徒が心を動かされ、地域の防災力を高める効果も期待される。

3.消防署と学校の連携のみならず、地域に密着して「共助」の役割を担っている消防団、自主防災組織、自治会やまちづくり組織等の地域コミュニティの活動と、学校における防災教育を関連付けることや、防災・減災に専門性を持つ大学・NPO 等が学校における避難訓練をはじめとする防災教育に参画するなど、地域の実情に応じた防災教育を進めることも重要である。

4.児童生徒等が様々な場所にいる場合にも自らの判断で安全に対処できる力を身に付けられるようにするため、児童生徒等が安全教育で身に付けた力を発揮し行動する場として避難訓練を位置付け、訓練を通して児童生徒等が自らの行動を振り返り課題を見付け改善を図る課題解決の学習の流れとなるよう意図的計画的に実施し、より実効性のある訓練になるよう見直しを図る必要がある。

5.安全教育を効果的に実施するためには、体験活動を通じた学びやデジタル技術を活用した学びが有効であると考えられる。

解答 2 解説:正しくは,以下の通りである。

「防災教育には、災害時に自分と周囲の人の命を守ることができるようになるという効果とともに、児童生徒等の主体性や社会性、郷土愛や地域を担う意識を育む効果や、地域と学校が連携して防災教育に取り組むことを通じて大人が心を動かされ、地域の防災力を高める効果も期待される」

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