【神谷正孝の教育時事2022(8)】筆記試験直前対策 その1

kei塾主任講師 神谷 正孝

 皆さんこんにちは。仙台を拠点とする教員採用試験対策専門スクールkei塾主任講師の神谷です。さて、今回から筆記試験直前対策として、法改正や制度改正について取り上げていきたいと思います。

◇ ◇ ◇

 今回取り上げるのは「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律」です。この法律は2021年6月に成立しましたが、一部を除きこの4月に施行となりました。この法律のポイントを採用試験対策の視点で捉えていきたいと思います。

 皆さんが採用側の立場だったらどのようなことを考えますか。人事担当として絶対に避けたいのは、児童生徒に対するわいせつ行為やハラスメントを起こすような人材を「間違って」採用することです。それを避ける意味でも、こうした法制定の動きや、法制定の背景的事項についての意識を問うような問題を出題したくなります。皆さん自身が、法に抵触しないことはもちろん、皆さんの同僚からも不祥事を起こすような人を出さないように、教員集団の中でどのようなことを心掛けながらコミュニケーションをとるかも問われる課題であると思います。

 この法律のポイントは次の通りです。児童生徒らに対する性交、わいせつ行為をすることや児童ポルノに関すること、盗撮や痴漢などの行為が「児童生徒性暴力」として禁止される行為であることが示されました(第2・3条)。第4条では「防止等に関する施策」の基本理念が示されていますが、「教育職員等による児童生徒性暴力等が全ての児童生徒等の心身の健全な発達に関係する重大な問題」という基本認識を示すとともに、「児童生徒の安心の確保」や「児童生徒性暴力の根絶」「被害児童生徒の適切迅速な保護」「児童生徒性暴力等をした教育職員等に対する適正かつ厳格な懲戒処分」などについて規定しています。

 また、文科相が「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する施策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な指針」を策定することも定められており(第12条)、22年3月に「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する基本的な指針」が示されました。この指針からの出題も予想されるため、一読しておきましょう。

 この他、児童生徒性暴力などを行った教育職員を、再度教壇に立たせないための次の制度も押さえておきましょう。まず、児童生徒性暴力などを行ったことが原因で教育職員免許法に規定する免許状失効の処分・取上げの処分を受けた者が「特定免許状失効者等」としてデータベースに登録されることになります。欠格期間(3年間)経過後、再免許授与の可否が判断される(再授与審査)こととなりますが、その要件はかなり厳しく、「原因となった児童生徒性暴力等の内容等を踏まえ、当該特定免許状失効者等の改善更生の状況その他その後の事情により再び免許状を授与するのが適当であると認められる場合」に限るとしています。さらに、採用にあたっても任命権者に「教育職員等を任命し、又は雇用しようとするときは、国のデータベースを活用」することを義務付けています。

 採用試験では、データベースの件に関してはそれほど突っ込んだ出題はないと思われますが、基本理念に関わるところや関連する法令については確認が必要です。地方公務員法における「法令等及び上司の職務上の命令に従う義務(第32条)」や「信用失墜行為の禁止(第33条)」、「懲戒処分(第29条)」はもとより、教育職員免許法における免許の「失効(第10条)」・「取上げ(第11条)」についても確認しておきましょう。

 

 

1.下の文は,「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する基本的な指針」(令和4年3月 文部科学省)の一部で「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する」の基本理念について述べた部分である。文中の(ア)~(エ)に当てはまる語句の正しい組合せはどれか。1~6から1つ選びなさい。

(基本理念)

○ 教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する施策は、教育職員等による児童生徒性暴力等は全ての児童生徒等の( ア )に関係する重大な問題であるという基本的認識の下に行われなければならない(法第4条第1項)。

○ 教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する施策は、児童生徒等が安心して学習その他の活動に取り組むことができるよう、( イ )教育職員等による児童生徒性暴力等を根絶することを旨として行われなければならない(法第4条第2項)。

○ 教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する施策は、教育職員等による児童生徒性暴力等が( ウ )の事由(解雇の事由として( ウ )の事由に相当するものを含む。)となり得る行為であるのみならず、児童生徒等及びその保護者からの教育職員等に対する信頼を著しく低下させ、学校教育の( エ )を傷つけるものであることに鑑み、児童生徒性暴力等をした教育職員等に対する懲戒処分等について、適正かつ厳格な実施の徹底を図るための措置がとられることを旨として行われなければならない(法第4条第4項)。

 1.ア-心身の健全な発達  イ-学校の内外を問わず  ウ-懲戒免職  エ-名誉

 2.ア-心身の健全な発達  イ-学校の内外を問わず  ウ-懲戒免職  エ-信用

 3.ア-心身の健全な発達  イ-学校内において    ウ-分限免職  エ-名誉

 4.ア-自立支援      イ-学校内において    ウ-分限免職  エ-信用

 5.ア-自立支援      イ-学校の内外を問わず  ウ-懲戒免職  エ-信用

 6.ア-自立支援      イ-学校内において    ウ-分限免職  エ-名誉

解答 2

 

2.教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律に記載されている内容として適切なものを選びなさい。

1.教育職員等による児童生徒性暴力等が児童生徒等の権利を著しく侵害し、児童生徒等に対し生涯にわたって回復し難い心理的外傷その他の心身に対する重大な影響を与えるものであることに鑑み、児童生徒等の尊厳を保持するため、児童生徒性暴力等の禁止について定めている。

2.学校は、基本理念にのっとり、関係者との連携を図りつつ、学校全体で教育職員等による児童生徒性暴力等の防止及び早期発見に取り組むとともに、当該学校に在籍する児童生徒等が教育職員等による児童生徒性暴力等を受けたと思われるときは、時間をかけて慎重に調査を行い,これに対処する責務を有することを定めている。

3.教育職員等は、基本理念にのっとり、児童生徒性暴力等を行うことがないよう教育職員等としての倫理の保持を図るとともに、その勤務する学校に在籍する児童生徒等が教育職員等による児童生徒性暴力等を受けたと思われるときは、警察又は児童相談所に通告する責務を有することを定めている。

4.学校の設置者は、教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する施策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な指針を定めるものとするとしている。

5.国、地方公共団体、学校の設置者及びその設置する学校は、教育現場の信用を保持するため、教育職員等に対して、何人からも児童生徒性暴力等により児童生徒の身体を侵害されることはあってはならないことについて周知徹底を図るとしている。

解答 1 

解説

1:適切である。第1条に規定する目的の一部分である。全文は以下の通り。「この法律は、教育職員等による児童生徒性暴力等が児童生徒等の権利を著しく侵害し、児童生徒等に対し生涯にわたって回復し難い心理的外傷その他の心身に対する重大な影響を与えるものであることに鑑み、児童生徒等の尊厳を保持するため、児童生徒性暴力等の禁止について定めるとともに、教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関し、基本理念を定め、国等の責務を明らかにし、基本指針の策定、教育職員等による児童生徒性暴力等の防止に関する措置並びに教育職員等による児童生徒性暴力等の早期発見及び児童生徒性暴力等への対処に関する措置等について定め、あわせて、特定免許状失効者等に対する教育職員免許法(昭和二十四年法律第百四十七号)の特例等について定めることにより、教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する施策を推進し、もって児童生徒等の権利利益の擁護に資することを目的とする。」

2:誤り。正しくは以下の通り。「学校は、基本理念にのっとり、関係者との連携を図りつつ、学校全体で教育職員等による児童生徒性暴力等の防止及び早期発見に取り組むとともに、当該学校に在籍する児童生徒等が教育職員等による児童生徒性暴力等を受けたと思われるときは、適切かつ迅速にこれに対処する責務を有する。」(第9条)

3:誤り。正しくは以下の通り。「教育職員等は、基本理念にのっとり、児童生徒性暴力等を行うことがないよう教育職員等としての倫理の保持を図るとともに、その勤務する学校に在籍する児童生徒等が教育職員等による児童生徒性暴力等を受けたと思われるときは、適切かつ迅速にこれに対処する責務を有する。」(第10条)

4:誤り。正しくは以下の通り。「文部科学大臣は、教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する施策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な指針を定めるものとする。」(第12条)

5:誤り。正しくは以下の通り。「国、地方公共団体、学校の設置者及びその設置する学校は、児童生徒等の尊厳を保持するため、児童生徒等に対して、何人からも児童生徒性暴力等により自己の身体を侵害されることはあってはならないことについて周知徹底を図るとともに、特に教育職員等による児童生徒性暴力等が児童生徒等の権利を著しく侵害し、児童生徒等に対し生涯にわたって回復し難い心理的外傷その他の心身に対する重大な影響を与えるものであることに鑑み、児童生徒等に対して、教育職員等による児童生徒性暴力等により自己の身体を侵害されることはあってはならないこと及び被害を受けた児童生徒等に対して第二十条第一項(第二十一条において準用する場合を含む。)の保護及び支援が行われること等について周知徹底を図らなければならない。」(第15条)

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