【神谷正孝の教育時事2022(8)】筆記試験直前対策 その1

kei塾主任講師 神谷 正孝

 皆さんこんにちは。仙台を拠点とする教員採用試験対策専門スクールkei塾主任講師の神谷です。さて、前回に引き続き筆記試験直前対策として、法改正や制度改正について取り上げていきたいと思います。

◇ ◇ ◇

法改正など

 前回取り上げた「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律」が最新事項として重要ですが、それ以外にも動きがあります。

 まず、特別支援教育の解説でも取り上げた「特別支援学校設置基準」が挙げられますが、これは特別支援の区分で出題される専門試験で必須の内容です。従来、学校教育法施行規則に書かれていた内容が、整理されました(施設整備、学級編制の基準など)。 また、「障害による差別の解消に関する法律(障害者差別解消法)」の改正も重要です。未施行ですが、新しい条文では、行政機関だけでなく民間の事業者にも「合理的配慮の提供義務」を課しています(従来は努力義務)。

 続いて、改正民法の施行により、成年年齢が18歳に引き下げられましたが、これに関連する内容も大切です。以前からも出題されている公職選挙法では、18歳未満の選挙運動が禁止されていることを再確認しておきましょう。また、これに関連して「消費者教育」の分野も重要視されています。売買契約やクーリングオフなど、契約に関わる知識事項をどのように身に付けていくかが重要事項になります。

 また、まれに出題される少年法でも、18歳成年との整合性を図るために、新たな規定が設けられ、20歳未満を少年とする規定は変えず、18歳、19歳の少年については「特定少年」として、家庭裁判所に「罪質および情状に照らして刑事処分を相当と認めるとき」は検察官送致を義務付けています。この特定少年の事件について、実名報道も可能となりましたが、各報道機関において対応が分かれているようです。

 さらに、法改正関連では「教育職員免許法」における教員免許更新制の廃止や、それに伴う研修記録の整備などを規定する「教育公務員特例法」の改正などが話題となりましたが、時期的に筆記試験での出題はないのではないかと思われます。同様に審議中の「子ども基本法」についても話題として知っておくだけでよいと思われます。

答申・その他

 出題が予想されるのは中教審の「令和の日本型学校教育」答申です。また、近年問題意識が高まっている学校安全について「学校安全の推進に関する計画」に関する答申も必見です。当連載のバックナンバーをチェックしておきましょう。

 その他、気を付けるべきは、児童生徒を取り巻く問題としての「ヤングケアラー」「外国にルーツのある児童生徒への対応」「性同一性障害、性的マイノリティーの児童生徒への対応」などです。このうち、「ヤングケアラー」については、要チェックです。調査では、小学生の6・5%(※1)、中学生の5・7%(※2)、高校生の4・1%(※2)がいわゆるヤングケアラーではないかということが言われています。この問題のポイントは、当事者の意識や家庭の事情です。「手伝い」なのか「重度の負担」なのか判断が難しいことや、「気付きにくさ」により現実を受け入れてしまっていること、家庭の事情がつかみにくいことなどが問題です。それぞれが置かれている家庭環境や経済的事情など、環境的要因も影響し、スクールソーシャルワーカーなどとの連携が大切となります。

 その他の課題においても、複雑化・多様化しているために、組織的な対応が求められる場面が多くなっています。課題への基本的認識を持つとともに、連携の視点で考えましょう。

*1 2022年3月 日本総合研究所「ヤングケアラーの実態に関する調査研究」

*2 21年3月 三菱UFJリサーチ&コンサルティング「ヤングケアラーの実態に関する調査研究」

 

1.「ヤングケアラー」についての説明として,最も適切なものはどれか。

1 親や同居家族が子どもの世話を放棄したり,暴力や嫌がらせをしたりするなど,家庭の養育に問題があるため,支援が必要な18歳未満の子どものこと。

2 性同一性障害や性的指向・性自認の観点から,支援や配慮を要する18歳未満の子どものこと。

3 本来,大人が担うような家族の介護や世話をすることで,自らの育ちや教育に影響を及ぼしている18歳未満の子どものこと。

4 高等学校を中途退学した者で,中途退学後,自立に向けた支援が必要な18歳未満の子どものこと。

5 無気力や学校生活・学業不適応などの理由により,引きこもり状態にある18歳未満の子どものこと。

 

解答 3

 

2.次の文は,「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について(平成27年4月30日 27文科初児生第3号)」の一部を抜粋したものである。(  )の①から⑩に当てはまる語句を,下の1~16の中からそれぞれ1つ選び,その番号を書きなさい。ただし,(  )の同じ番号には,同じ語句が入るものとする。

1.性同一性障害に係る児童生徒についての特有の支援

・性同一性障害者とは,法においては,「( ① )的には性別が明らかであるにもかかわらず,( ② )的にはそれとは別の性別(以下「他の性別」という。)であるとの持続的な確信をもち,かつ,自己を( ③ )的及び社会的に他の性別に適合させようとする意思を有する者であって,そのことについてその診断を的確に行うために必要な知識及び経験を有する二人以上の医師の一般に認められている医学的知見に基づき行う診断が一致しているもの」と定義されており,このような性同一性障害に係る児童生徒については,学校生活を送る上で特有の支援が必要な場合があることから,個別の事案に応じ,児童生徒の心情等に配慮した対応を行うこと。

(学校における支援体制について)

・性同一性障害に係る児童生徒の支援は,最初に相談(入学等に当たって児童生徒の保護者からなされた相談を含む。)を受けた者だけで抱え込むことなく,組織的に取り組むことが重要であり,( ④ )に「サポートチーム」を作り,「支援委員会」(校内)やケース会議(校外)等を適時開催しながら対応を進めること。

・教職員等の間における( ⑤ )共有に当たっては,児童生徒が自身の性同一性を可能な限り( ⑥ )しておきたい場合があること等に留意しつつ,一方で,学校として効果的な対応を進めるためには,教職員等の間で( ⑤ )共有しチームで対応することは欠かせないことから,当事者である児童生徒やその保護者に対し,( ⑤ )を共有する意図を十分に説明・相談し理解を得つつ,対応を進めること。

(学校生活の各場面での支援について)

〈中略〉

・学校においては,性同一性障害に係る児童生徒への配慮と,他の児童生徒への配慮との均衡を取りながら支援を進めることが重要であること。性同一性障害に係る児童生徒が求める支援は,当該児童生徒が有する( ⑦ )の強弱等に応じ様々であり,また,当該( ⑦ )は成長に従い減ずることも含め変動があり得るものとされていることから,学校として( ⑧ )をもたず,その時々の児童生徒の状況等に応じた支援を行うことが必要であること。

・他の児童生徒や保護者との( ⑤ )の共有は,当事者である児童生徒や保護者の意向等を踏まえ,個別の事情に応じて進める必要があること。

・医療機関を受診して性同一性障害の診断がなされない場合であっても,児童生徒の( ⑨ )に寄り添い支援していく観点から,医療機関との相談の状況,児童生徒や保護者の意向等を踏まえつつ,支援を行うことは可能であること。

〈中略〉

(当事者である児童生徒の保護者との関係について)

・保護者が,その子供の性同一性に関する( ⑨ )等を受容している場合は,学校と保護者とが緊密に( ⑩ )しながら支援を進めることが必要であること。保護者が受容していない場合にあっては,学校における児童生徒の( ⑨ )を軽減し問題行動の未然防止等を進めることを目的として,保護者と十分話し合い可能な支援を行っていくことが考えられること。

〈以下略〉

【語群】

1 悩みや不安  2 悲しみや寂しさ  3 連携   4 人格

5 報告     6 身体       7 行動   8 学校内外

9 違和感    10 情報      11 生物学 12 秘匿

13 先入観   14 心理      15 対策  16 社会学

 

2.解答 ①11 ②14 ③6 ④8 ⑤10 ⑥12 ⑦9 ⑧13 ⑨1 ⑩3

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