【教員志望者のためのSDGs入門講座(11)】学びを大切にした内容で

大阪公立大学教授 伊井直比呂
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 第11回目を迎えました。今回と次回(最終回)はこれまでの学びをもとに「小論文」などで出題された場合の視点や、皆さんへのメッセージを記したいと思います。

 まず、連載を振り返っておきます。大きく分けて次の5つの内容を記してきました。(1)人類の生活と環境を巡る危機(第1~第2回)(2)新たな価値としての「持続可能な開発」概念の生成と発展(第3~第4回)(3)国連をはじめ国際的な取り組みの動向(第5~第6回)(4)よき社会と未来づくりのためのESDやSDGsによる国際的協働(第7~第8回)(5)ESD/SDGsの教育実践の考え方や作り方(第9~第10回)――です。

 つまり、SDGsが始まるまでの道程と未来の「世界」づくりに必要な価値創造や社会の変革、そしてそのための実践の在り方でした。

 では、どのような思考が小論文試験で問われるでしょうか。ここで確認しておきたいことは、当然ながら出題者・採点者は上記(1)~(5)について知見を持った人だということです。従って、SDGsの各目標の内容を披露するだけであったり、身近な問題や実践がどの目標に該当するかという「一意対応」的な内容であったりするだけでは、やや不十分だと言えます。そこで、SDGsの目標が示されていることを前提に設問例を示してみます。

 問いA「あなたが学校でSDGsの実践を行う場合、どの目標に対してどのような実践が可能だと考えますか」

 問いB「学校教育の中でSDGsを取り上げることの意義は何だと考えますか」

 問いC「持続可能な社会とSDGsとの関係について説明しなさい」

 以上の3点を挙げてみました。比較的容易なものから難しいものまで、ここでは3事例のレベルで考えましょう。これらに対する回答が整理されていれば、A~Cの回答を組み合わせて多様な問題に対応することが可能になります。

 問いAはまだ教壇に立っていない皆さんには一見すると難しいかもしれません。しかし、教職を目指す人として(ある意味当然に)学校や地域におけるさまざまな教育上の問題や課題、あるいは可能性について関心があるはずです。そこを基点に考えればよいでしょう。

 例えば、学校での資源再利用、いじめ問題(SNSを含む)、LGBTQ、貧困家庭、外国人児童生徒、障害者の学び、地域の安全、学校や地域の自然・社会環境、生徒会活動と参政権など一般的に学校教育で問題になっている課題を説明し《事実認識》、その課題が児童生徒の(例えば)人権や尊厳性、あるいは平等な機会や生活環境などをどのように損なうことになっているか、あるいは健康を害することになっているか、ということなどを指摘します《問題点の抽出》。

 そして、その問題を解決するために、児童生徒に何を考えさせたり、取り組んだりすることが必要か(可能か)を述べます《提案と意図目的》。

 実践の考え方は連載第10回を参考にしてください。最後にこれらを総合してどのような児童生徒の成長を養い、学校文化や地域文化創造につながると考えるかなど、SDGsの目標との関係でその《効果》を記します。このように、目標達成だけに着目する運動論としてではなく、教育としての学びを大切にした内容で締めくくることが大切です。

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