【神谷正孝の教育時事2022(10)】筆記試験直前対策その3 試験直前対策~情報教育関連

kei塾主任講師 神谷 正孝

 皆さんこんにちは。仙台を拠点とする教員採用試験対策専門スクールkei塾主任講師の神谷です。いよいよ今年の1次試験が始まりました。今回は試験対策としての「情報教育」について取り上げていきたいと思います。

◇ ◇ ◇

 これまでも何回か、情報教育について個別の話題を取り上げてきましたが、今回は関連する法令から見ていきたいと思います。まず確認しておきたいのは「学校教育の情報化の推進に関する法律」です。この法令は、筆記試験でも各種法令に混ざって出題されることがあるのですが、情報教育関連で出題されることも想定して内容を確認しておきましょう。

 この法令を押さえるポイントは、施策の主語は「国」ということです。教育法規では「誰が」「何を」↓「できる」「しなければならない」「するよう努める」の区別が大切になります。この法令では、「学校」や「校長」でもなく、「学校の設置者」や「教育委員会」でもなく、「国」が主語になる条項が多いのでチェックしておきましょう。また、基本理念が示された第3条も重要です。「学校教育の情報化」によって、デジタル化の促進を図るだけではなく、「デジタル教材とそうでない教材」のバランスが大切であることを理解しておく必要があります(同法3条第2項)。

 続いて、これもマイナー法令ですが、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」も主な部分を理解するとともに、フィルタリングの設定を求めている点も押さえておく必要があります。高校では、BYOD(Bring Your Own Devices)と言って、自前の端末を持ち込む場面が想定されますが、基本的に青少年が使う端末にはフィルタリングの設定を施さなければならず、各家庭の意向によりその程度が異なるため、調べ学習などに支障を来たすことも想定されます。これは青少年が使用者として登録される携帯電話にも適用されるものですが、フィルタリングを回避するさまざまな抜け道もあるようで、厄介です。最終的には家庭の関わり方次第ということになってしまうのが実情です。

 法令以外では、「GIGAスクール構想」がよく出題されています。ポイントは「1人1台端末」と「高速大容量通信ネットワークの整備」ということになります。小中学校ではだいぶ環境が整ってきましたが、多くの自治体では高校生は先に述べたBYOD形式です。自前の端末を準備できない生徒には、学校の端末を貸し出すことで対応することになります。この場合、自前で準備できないことが周囲に分かってしまうことになります。

 さらには、ネット回線の増強にも制約があるようで、多数の生徒が同時にネット接続をすると回線が落ちてしまうなどの問題も指摘されています。また、デジタル教材を用いたり、ICTを用いたりすることがどのような学習成果につながるのか、既存の学習スタイルでは駄目なのかという本質的な課題があります。現実問題としてICTを使わずとも創意工夫により、アナログ教材でもさまざまなことはできてしまうわけで、ICTを用いる優位性や価値をどう創出するかということが大きな課題になると思われます。

 このように問題を挙げていけばきりがありません。しかし「できない理由を考える」消極的な姿勢よりも、前向き積極的な「できるようにするために課題をどう乗り越えるか」という発想の方が魅力的に映ります。面接や論文、討論などでは前向きな姿勢をアピールしてもらいたいと思いますが、「ICTやデジタルの使用自体が目的」にならないような論理構成が必要です。「価値」や「意義」について考えを深めておきましょう。

 最後に専門用語について。別掲した用語や語句については「知っているもの」として提示されることが多いので、しっかりと確認しておきましょう。

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2022第10回 問題編

1.次の(1)~(3)は「学校教育の情報化の推進に関する法律」の条文の一部を基にしたものである。( ① )~( ③ )に当てはまるものを語群から選びなさい。

(1)学校教育の情報化の推進は,情報通信技術の特性を生かして,個々の児童生徒の能力,特性等に応じた教育,双方向性のある教育(略)等が学校の教員による適切な指導を通じて行われることにより,各教科等の指導等において,情報及び情報手段を主体的に選択し,及びこれを活用する能力の( ① )な育成その他の知識及び技能の習得等(略)が効果的に図られるよう行われなければならない。(第3条第1項)

(2)学校教育の情報化の推進は,デジタル教科書その他のデジタル教材を活用した学習その他の( ② )を活用した学習とデジタル教材以外の教材を活用した学習,体験学習等とを適切に組み合わせること等により,多様な方法による学習が推進されるよう行われなければならない。(第3条第2項)

(3)学校教育の情報化の推進は,全ての児童生徒が,その家庭の経済的な状況,居住する地域,障害の有無等にかかわらず,等しく,学校教育の情報化の恵沢を享受し,もって教育の( ③ )が図られるよう行われなければならない。(第3条第3項)

【語群】 ア 系統的      イ 体系的    ウ 情報通信ネットワーク

     エ 情報通信技術   オ 機会均等   カ 充実

解答 ①イ  ②エ  ③オ

 

2.次の文は,ア・イが「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」の,ウ~オが「学校教育の情報化の推進に関する法律」の条文を基にしたものである。正誤の組合せとして適切なものを選べ。

ア 青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策は,青少年自らが,主体的に情報通信機器を使い,インターネットにおいて流通する情報を適切に取捨選択して利用するとともに,適切にインターネットによる情報発信を行う能力を習得することを旨として行われなければならない。

イ 携帯電話インターネット接続役務提供事業者は,役務提供契約の相手方又は役務提供契約に係る携帯電話端末等の使用者が青少年である場合には,青少年有害情報フィルタリングサービスの利用を条件として,携帯電話インターネット接続役務を提供するよう努めるものとする。

ウ 学校教育の情報化の推進は,情報通信技術を活用した学校事務の効率化により,学校の教職員の負担が軽減され,教職員の勤務時間の短縮が図られるよう行われなければならない。

エ 学校教育の情報化の推進は,児童生徒等の個人情報の適正な取扱い及びサイバーセキュリティの確保を図りつつ行われなければならない。

オ 学校の設置者は,情報通信技術を活用した効果的な教育方法の普及,情報通信技術の活用による教育方法の改善及び情報教育の充実並びに情報通信技術の活用による学校事務の効率化を図るため,学校の教職員の研修を通じたその資質の向上のために必要な施策を講ずるものとする。

1. ア‐〇 イ‐×  ウ‐〇  エ‐×  オ‐〇

2. ア‐〇 イ‐×  ウ‐×  エ‐〇  オ‐×

3. ア‐〇 イ‐〇  ウ‐×  エ‐〇  オ‐〇

4. ア‐× イ‐〇  ウ‐×  エ‐〇  オ‐〇

5. ア‐× イ‐〇  ウ‐〇  エ‐×  オ‐〇

2 解答 2 解説 イ:「努めるものとする」ではなく,「提供しなければならない」である。ウ:「教職員の勤務時間の短縮」ではなく「児童生徒に対する教育の充実」である(第3条第3項)。オ:「学校の設置者」ではなく「国」である。また,「学校の教職員の研修を通じたその資質の向上のために必要な施策を講ずるものとする」ではなく,「学校の教員の養成及び学校の教職員の研修を通じたその資質の向上のために必要な施策を講ずるものとする。」である。(第14条)

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