【教員志望者のためのSDGs入門講座(12)】学校教育のSDGsの関連

大阪公立大学教授 伊井直比呂
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 SDGsに関する「小論文」について前回(問いA)の続きです。最終回は、問いB「学校教育の中でSDGsを取り上げることの意義は何だと考えますか」。問いC「持続可能な社会とSDGsとの関係について説明しなさい」について考えます。

 まず、「問いA」を含めた共通の回答視点は、SDGsに向き合う「自らの学び」やSDGsとともに「生きる姿」が、誰一人取り残さない/取り残されない世界像に貢献する「主体者」(当事者、参画者、グローバル・シティズンシップ)となる、ということにあります。

 この学習者中心の考えをもとに「問いB」で回答すべき内容例を検討してみましょう。例えば、学校教育の中でSDGsを取り上げる際には、17の目標の背後にあるさまざまな課題を学ぶだけでなく、同種・同根の身近な問題から考察することの必要性や意義を記します(第9回=「全ての人々および社会の全ての部分で満たされる」)。そして、この「自らの学び」や「生きる姿」が上記の通り持続可能社会構築の「主体者」であるならば、まさに自らがさまざまな現実を背負う「学習者」の身近な気付きや問題意識を大切にすることで、自己の生活(自己領域)と学校、地域、世界を広く結び付けた課題を理解し貢献する態度につながる、という意義の構成が考えられます(第4・5・8・9回参照)。ひいては、学びが「目指すべき世界像」への改善と変革に至ることの言及も重要でしょう。

 また、この学習過程においては、持続可能社会の構築に向けたさまざまな素養(主体性、当事者性、参加意欲、多様性の受容力、問題・課題発見力、Critical thinking、考察力、探究力、協働する力、責任感、態度や振る舞い、最適解を導く力など)が発揮されること。そして、これらは多様な視点と立場からの新たな知と経験を生み出すプロセスであることなども意義として重要です(第9回)。1人の知と経験の力を超えた協働力が必要である記載もよいでしょう。このように教育を通じてSDGsを取り上げる意義は、上記の諸能力の発揮を伴いながら学び合い、自己の変容と社会の変革を通して持続可能社会を形成することにつながること、と言えます。

 次に、「問いC」の回答方針の例としては、まず「目指すべき世界像」としての持続可能社会はどのような社会か、を明確に記す必要があります。それは、「持続可能な開発」の考え方(第3・4回)に基づく社会です。そしてその上に「目指すべき世界像」として具体像が示される関係となります。端的に、よき環境の中で全ての人の人生が栄え自由な存在となる社会で、貧困、飢餓、病気および欠乏から自由な世界。恐怖と差別・暴力から自由な世界。全ての人が教育を受けて自己を発展させることができる世界など、人間の発展とその基盤となる社会などです(第6・9回)。以上、これまでの連載を振り返りながら回答方針案を記してみました。

 最後に、「教員志望者のためのSDGs入門講座」を最後までお読みいただきありがとうございました。できるだけかみ砕いた説明を心掛けましたが、分かりにくい回もあっただろうと反省しきりです。教員志望者はもちろん、社会の多方面で活躍される皆さんに少しでも役に立てばと願っています。ご活躍をお祈りします。

 (終わり)

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