2次試験直前対策 場面指導にどう対応

 もう2次試験に進んでいる自治体もあることだろう。2次試験対策として、ここでは場面指導を取り上げる。教採試験独特のものであるが、現場経験の少ない学生の受験者には苦手意識のある人もいることだろう。定番の事例への対応を含んで、ポイントを示していく。

 場面指導にはいくつかの実施形式がある。事前に事例や場面が示される場合と、その場で示される場合がある。また、個人面接の中で具体的な設問として実施する場合、集団面接として実施する場合がある。質問形式で答えていくのか、ロールプレー(役割演技)を行うのか、というパターンの問題もある。いずれも何が聞かれているのかをしっかり把握することが大事である。

とっさに回答や役割演技が思い浮かばないときはどうするか

 場面指導で評価されることは何か、を考えてみよう。場面指導は、個別的・限定的な場面での受験者の判断力や実践的な対応力を見取る試験である。従って、思い浮かばないからと諦めずに何とか回答を考え出さなくてはならない。

 次のような点をチェックし対応を考えていくとよいだろう。

 ▽判断力=趣旨や内容を正しく理解し、回答やロールプレーに生かしていく

 ・与えられた課題の意図を正しく理解し、適切に対応できている

 ・感情に流されず、冷静に判断を下している

 ▽実践的な対応力=予期せぬことにも対応することができるようにする

 ・行動に躊躇(ちゅうちょ)したり、臆したりすることがないようにする

 ・明確な言語表現で、相手を納得させたり、その場を納めたりできるようにする

 また、関係ありそうなこと、周辺のことを思い切って切り出す、という手もある。

 最初から模範的に答えようとすると、回答が思い浮かばない。関係がありそうなこと、設問の周辺に近いことを話してみる。そうすれば、面接官が考えを整理できるように助け舟を出してくれることもある。そうであれば、自分の考えを述べやすくなるはずである。思い浮かばないからといってパニック状態にならないよう冷静沈着に判断し、対応策を考えていくようにしたい。

面接官に質問を畳み掛けられた場合、どうするか

 具体的な事例に基づいて考えてみよう。事例にどう対応するか、考えを述べて時に、矢継ぎ早に質問を畳み掛けられ、しどろもどろになってしまうことがある。

 「授業中に騒いでいる子が何人かいます。あなたならどうしますか」との場面設定である。

 例えば、「その子たちを集めて、授業中で迷惑に思う友達が多いから静かにしなさいと指導します」と回答。すると面接官からは次のような質問が次々に投げ掛けられた。「そんなに優しい言い方で、騒いでいる子供たちが静かになるわけがないだろう」「集めて注意しているうちに、他の子供たちが騒ぎ出したらどうする」「そんな方法しか考えられないの」「そんなやり方でうまく対処できると思っているの」などである。

 このように質問を畳み掛ける意図はどのようなものだろうか。 教師はさまざまな場面で、子供・保護者や地域住民などから、嫌がらせを受けたり、何かをねじ込まれたりすることがある。保護者からのクレームは強くなってきている。そこで、面接官は何事にも動じない、度胸・腹が据わった教師の候補者を選び出そうとしているわけである。そのためには、何としてもこの難局を、苦しい状況を乗り切るための気迫や執念を示すようにするとよい。

 では、そのような気迫や執念をどのように前面に打ち出していけばよいのか。次のような点に留意していこう。

 ▽先に述べた自分の考えに、自己責任を持つ

 「そんな優しい言い方では、静止できない」と言われても、すぐに発言を撤回しないことが肝要。「言い方は厳しくしますが、騒いでいる子の静止が第一です」と改めて強調するとよい。あるいは、「まずは騒いでいる子の指導をして、次に周りの子の指導をと順次やります」と、いろいろ対処法を考えていることを面接官にアピールする。

 ▽多少強引でも自分の考えや信念を押し通す

 場面指導においては正答というものはないといってよい。「そんな方法しかないのか、それしか対処法はないか」と畳み掛けられると、つい別の答えを考えたくなる。とっさに思い浮かべば、そのことを回答すればよい。だが、思い浮かばないとなると焦り、舞い上がってしまう。こんな時には、開き直ることも大事である。「いや、私はこのやり方で徹底します。この方法で粘り抜きます」と迫力ある言い方で伝えたい。

[具体的な事例への対応]

<事例1 学習指導> 

 授業中に騒いでいる子が何人かいます。対応してください。

 ▽回答例=全体に対しては、何か具体的な作業を指示して集中させる。一方、騒いでいる数人の子供を集めて指導をする。その時に、(1)なぜ騒いでいるのかをしっかりと聞き取る(2)周りに迷惑を掛けないよう注意する――ことを心掛ける。

 よい授業を展開し、学力を保障することは担任の本務である。質問のような場面で、どのような行動と言葉掛けができるかを具体的に評価することが質問の狙いである。その対応ぶりを観察することで、受験者の実践的な対応力、表現力(説得する力)をみる。

指導のポイント

 (1)全体に呼び掛けたり、強く叱ったりするだけでは、ハチの巣を突いたようにかえって騒ぎが大きくなってしまう。そこで指導の工夫が求められる。

 (2)全体への指導と騒いでいる子への個別指導を分けて実施できるかどうかが、回答の大きな分かれ目となる。同時に進行させるために全体には作業や課題を与えるようにする。

 (3)騒ぐには何らかの理由があるので、その点を子供から聴取することを抜かさないようにしたい。それが対応策にもつながっていく。

 (4)学校では勉強に集中すること、周りの勉強しようとしている子に迷惑を掛けないことの大切さを厳しく説諭するようにする。明確に力強く注意できる語り掛けも必要になる。

<事例2 生徒指導>

 担任をするクラスでAさんが物を盗むといううわさが出ています。実際に他の子供から「多分Aさんが取ったと思う」と訴えがありました。クラスとAさんにどう指導しますか。

 ▽回答例=Aさんに確かめるのは十分に事実確認をしてからにする。そのためにはクラスのメンバーから事実を丁寧に聞き出し、記録・分析をする。その上で確実な証拠がある時には、Aさんへの指導に当たる。またクラスでは犯人探しをさせない。

指導のポイント

 (1)まず人権尊重の観点が重要である。子供を犯人扱いしてはならない。確実な証拠がない限り、うわさを止めさせるとともにAさんを疑わないように指導する。そのためには、クラスでの指導はAさんを外して問い掛けるなどの配慮をする。

 (2)事情聴取に当たっては、「自分はどこで何を見たのか」「Aはどのような動きをしていたのか」など、正確に聞き取り記録する。それらの情報を分析して、Aさんの盗みが確かなものであるかどうか考えを固める。

 (3)ここまでの状況を管理職に報告し、どのように対処したらよいか判断を仰ぐようにする。

 (4)Aさんが盗んだという証拠がはっきりしたところで、初めてAさんにどのような理由で人の物に手をつけたのかを問いただし、以後絶対しないように強く説諭する。

<事例3 学習指導>

 保護者から担任に対して「通知表の評価の仕方に問題がある」と電話によるクレームがありました。あなたならどのように対応しますか。

 ▽回答例=まず保護者がどんなクレームをもっているのか誠実かつ丁寧に聞き取る。その上で担任としての考えを説明する。できれば直接に会って話し合うことが望ましい。電話でのやりとりは、表情が見えないだけに感情的になりやすいからである。

指導のポイント

 評価基準や評価方法が公表されず、保護者の質問に担任が明快に答えられないと不信感が募る。評価の基本的な考え方が定まっているかどうかをチェックする問題である。

 (1)通知表には子供も保護者も敏感であり、その結果にこだわるのは当然である。学校の方針、学年の申し合わせを十分に理解し、独りよがり、曖昧にしないことが肝要となる。

 (2)担任としては、評価・通知表について保護者への説明責任を果たさねばならない。そのためには、普段から評価の客観性、公平性を保つように準備しておく必要がある。

 (3)具体的には、「客観的なデーターをそろえて質問に答える」「評価規準・評価方法についてあらかじめ説明しておく」「常に自分の評価活動を見直し改善する」などに努める。

 (4)「指導と評価の一体化」という言葉がよく用いられる。学年初めの保護者会では、その学年の指導内容・指導目標が示される。その評価が通知表として表記されるので、学期末の保護者会で具体事例を示しながら、分かりやすく説明することが重要である。

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