教員採用試験ガイダンス 傾向編

2018年度採用教員選考試験に向けて、最新の採用状況から、選考日程、試験内容まで確認しておきたい項目をまとめました。下記の情報を学習計画の参考にしてください。

 


 

Ⅰ.最新の採用状況

公立学校教員の採用状況は、大きく3つの特徴があります。(1)大都市圏の小学校教員を中心として大量採用期のピークにあること(2)地域や校種・教科によって、採用状況に大きな格差があること(3)採用者の7割弱は既卒者であることです。

今夏に実施された2017年度選考の採用見込み数は約3万1千人超で、その数は13年連続で増加しています。受験者数は16~17万人前後で推移していて、採用倍率は低下しています。これは教員全体の3分の1を占める団塊世代以降のベテラン教員が定年退職期を迎えているためで、地域により違いはありますが、今後数年程度は大量採用が続く見込みです。

今夏試験の志願倍率をみると、小学校教員では、多くの県市が3~5倍前後の倍率まで低下しています。一部の県市では大量採用のピークを過ぎ、倍率が上昇傾向です。中学校教員では5~10倍前後、高校教員では6~12倍の県市が都市部を中心に広がっています。一方で、東北や九州など人口が減少する県では、採用数が大きくは増えず、二桁以上の高倍率が続いています。

一般の就職試験と大きく異なる点は、受験者および採用者の7割弱を既卒者が占めることです。既卒者とは、臨時採用教員や講師経験者、社会人経験者などです。既卒者の割合は、どの受験校種もほぼ同じです。

新卒者は同学年の受験者だけでなく、講師経験などのある既卒者もライバルになります。近年の採用試験は即戦力を重視する傾向にあるため、現場経験のある既卒者が有利になる面もあります。全国的な合格率は大差ありませんが、一部の県では、新卒者の採用者に占める割合が低下しています。

 


 

Ⅱ.選考スケジュール

日程の大きな流れを追うと(1)願書配付・提出3月下旬~6月上旬(2)1次試験7月上旬~下旬(3)2次試験7月下旬~9月上旬(4)合格発表9月~10月となります。自治体ごとに日程が異なるので、前年度の選考要項で目安となる日程を確認する必要があります。1次試験は、地域ブロックごとに事実上の1次試験の統一日があります。試験日が重複する自治体は、併願受験ができません。

1次試験の合格者は、採用者数の1・5倍~3倍の人数に絞られます。この合格者のみが2次試験に進むことができます。日程上の一番のポイントは、1次試験の合格発表から2次試験まで2週間前後と期間が短いことです。1次の合格発表後に2次対策を始めたのでは間に合いません。1次試験以前から面接などの2次対策もあわせて行う必要があります。最終合格の発表は、9月~10月にかけて行われます。ランク別の発表を行う一部の自治体以外は、この時点で採用が内定します。ただし、正式採用と赴任先が決まるのは、その後に最終面談が行われた後になります。

試験前の準備に戻ると、重要なことの一つに、出願書類の準備があります。多くの県市で、自己PRなど面接試験の資料になる記述が求められます。クラブ・部活動、ボランティア活動、得意分野・重点履修分野など、面接試験で質問される項目も多いため、各自治体の記載事項を調べて早めに準備が必要です。

2018年度採用の各自治体の説明会は、秋から春にかけて、各大学や官庁で実施されます。採用規模の大きい自治体ほど積極的に説明会を開催しています。説明会を行わない自治体もあります。

 

◆ 平成28年度公立学校教員採用選考 合格倍率 ◆

※太字の数字は他校種の数を含む(詳細は表下部の特記事項に記載)

採用県市 小学校 中学校 高 校 特 支 養 護 栄 養 総 計
北海道
4.2 6.9 5.3 1.7 1.3 11.9 4.2
札幌市
2.7 4.4 2.1 8 3.2
青森県
5.1 7.1 11.6 7.7 3.3 6.8
岩手県
5.4 10.2 9.7 3.5 3.1 28 6.5
宮城県・仙台市
3.2 5.8 10.2 7.5 3.3 5.1
秋田県
5.4 11.9 13.9 5.9 3.5 7.5 7.3
山形県
3.7 6.3 9.8 3.8 4.4 7.0 5.2
福島県
3.3 10.9 13.7 3.3 6.4 6.3
茨城県
2.5 4.3 5.2 3.1 7.4 5.4 3.7
栃木県
3.2 6.0 8.2 4.9 7.3 4.9
群馬県
6.6 3.9 9.3 4.1 15.8 5.3
埼玉県
3.5 6.2 6.1 3.3 8.9 11.4 4.8
さいたま市
4.6 5.4 10.8 9.5 5.1
千葉県・千葉市
2.7 5.2 6.0 2.8 7.9 3.9
東京都
3.0 3.9 2.8 5.0 12.3 5.0
神奈川県
3.3 5.9 6.2 3.3 12.8 4.9
川崎市
3.3 7.1 2.4 7.8 4.2
横浜市
3.4 7.4 3.0 3.9 14.6 4.5
相模原市
3.2 7.1 6.1 4.7
新潟県
2.6 11.4 12.5 4.3 5.7 8.0 5.4
新潟市
3.8 9.0 4.5 5.6 5.0
山梨県
4.4 7.5 13.9 3.1 8.7 9.5 6.3
長野県
4.3 7.0 7.1 3.3 7.8 7.8 5.7
岐阜県
3.0 3.8 5.9 4.0 6.6 5.6 4.0
静岡県
3.0 4.2 6.1 3.4 6.7 4.2
静岡市
3.1 5.3 6.5 4.0
浜松市
3.9 5.8 16.0 4.9
愛知県
3.5 6.1 6.9 4.9 12.2 9.2 5.1
名古屋市
3.2 10.1 4.4 8.1 5.0 5.3
三重県
3.7 7.0 8.7 4.0 9.5 8.2 5.7
富山県
2.9 3.7 2.9 3.4 3.3
石川県
3.1 5.6 5.0 8.9 4.5
福井県
3.9 7.7 10.8 5.0 4.4 10.7 6.0
滋賀県
2.7 4.8 5.3 3.8 4.6 19.0 3.9
京都府
3.7 5.3 12.0 3.5 9.5 4.6 5.6
京都市
4.2 8.7 13.1 3.3 9.9 4.6 5.6
大阪府
3.2 4.8 4.9 2.0 11.3 5.8 4.3
大阪市
2.9 5.2 10.1 9.0 10.3 4.3
堺市
3.2 4.6 6.4 6.8 3.9
大阪府・豊能地区
4.4 8.8 38.0 15.0 6.0
兵庫県
4.6 6.8 8.2 8.7 13.9 6.6 6.1
神戸市
4.6 7.5 4.8 16.8 22.0 5.9
奈良県・大和高田市
4.5 8.2 10.3 4.0 8.0 8.5 6.4
和歌山県
2.6 7.2 8.6 4.3 5.3 4.8
鳥取県
2.6 10.0 8.7 4.8 3.1 4.9
島根県
3.6 6.5 11.6 2.8 4.6 13.0 5.4
岡山県・岡山市
3.8 6.1 12.3 4.5 6.0 13.6 5.6
広島県・広島市
2.3 4.2 8.6 2.4 3.5 3.7
山口県
2.2 4.7 5.7 4.5 4.4 3.6
徳島県
4.7 6.4 11.4 3.7 5.2 6.2
香川県
3.0 4.5 9.4 5.2 11.8 30.0 4.7
愛媛県
3.9 6.0 8.6 2.6 5.2 10.3 5.2
高知県
2.2 5.6 10.1 3.4 3.0 6.5 4.3
福岡県
2.9 5.2 9.0 4.1 7.4 5.4 4.9
福岡市
3.7 8.5 6.8 2.8 11.0 9.7 5.3
北九州市
2.8 7.2 3.1 7.5 15.0 4.2
佐賀県
2.7 3.7 8.0 5.2 4.3 4.2
大分県
3.1 6.3 11.3 3.1 3.2 4.7
長崎県
3.7 5.4 7.3 3.2 3.1 4.6
熊本県
3.1 6.9 13.5 6.0 8.1 10.3 6.3
熊本市
3.8 8.0 12.0 11.8 13.0 5.6
宮崎県
5.7 9.4 10.1 4.4 5.9 12.0 7.3
鹿児島県
10.1 10.3 19.3 6.3 5.7 17.3 11.5
沖縄県
5.8 12.4 21.0 7.1 19.3 9.8

 

■ 特記事項
宮城県・仙台市 ・中学校欄に中高共通採用枠を含めて記載。
・高校欄は中高共通採用枠を除く。
千葉県・千葉市 ・中学校欄に中高共通採用枠を含めて記載。
・高校欄は中高共通採用枠を除く。
東京都 ・小中共通採用枠を中学校欄、中高共通・小中高共通の採用枠を高校欄に記載。
・中学校欄からは中高共通および小中高共通採用枠を除く。
川崎市 ・中学校欄に中高共通採用枠を含めて記載。
横浜市 ・中学校欄に中高共通採用枠を含めて記載。
・高校欄は中高共通採用枠を除く。
名古屋市 ・中学校欄に中高共通採用枠を含めて記載。
富山県 ・中学校欄に中高共通採用枠を含めて記載。
石川県 ・中学校欄に中高共通採用枠を含めて記載。
・高校欄は中高共通採用枠を除く。
福井県 ・中学校欄に中高共通採用枠を含めて記載。
・高校欄は中高共通採用枠を除く。
京都市 ・小学校欄には幼稚園採用枠を含めて記載。
大阪府 ・小学校欄に「小中いきいき連携」採用枠を含む。
鳥取県 ・高校欄に中高共通採用枠を含めて記載。
・中学校欄は中高共通採用枠を除く。
熊本市 ・中学校欄に中高共通採用枠を含めて記載。
・高校欄は中高共通採用枠を除く。
沖縄県 ・中学校欄に中高共通採用枠を含めて記載。
・高校欄は中高共通採用枠を除く。

 


 

Ⅲ.採用試験の最新傾向

近年の教員採用試験の最も大きな傾向は、面接試験などにより人物評価と実践力をより重視する流れにあることです。面接試験はすべての県市で実施され、多くの自治体が異なる形式で2回以上行っています。また、通常の個人や集団の面接以外に、集団討論、模擬授業、場面指導グループワークなどの人物評価、実践力を問う試験がほとんどの自治体で実施されています。

試験配点でも、人物評価に関する試験は、筆記試験の1・5倍から2倍の配点があります。さらに、最終選考において、筆記試験の得点差を反映しない県市が65県市中21県市に上り、増加傾向にあります。つまり、筆記試験で1次試験を突破することは必要条件ですが、面接試験等で高い評価が得られなければ、最終的に合格することは難しい状況になっています。

大分県の不正事件以来、従来は分かりにくかった人物評価の試験に関する判定基準を公開する県市が増えています。自治体によって、抽象的な説明から具体的な説明まで、分かりやすさに差がありますが、試験対策の基礎資料として確認が必要です。

募集区分の面では、校種をまたぐ一括募集や、併願制度を設ける自治体が増えています。中学・高校の一括募集や、小・中学校の併願を認めるケースなどです。

もう一つは、特定の資格や経歴に対する一部の試験免除や特別選考が増加しています。 その中で、社会人や講師経験者、前年度の1次合格者等に対する一部試験免除や特別選考が増加しており、多くが1次試験の「教職・一般教養」などを免除する制度です。最近は、大量採用を行っている自治体を中心に、他県市の会場で試験を実施する県市が増えています。とくに採用の少ない地方県の受験者は地元採用とあわせ、受験機会を検討する必要があります。

最後に、受験要件の年齢制限を緩和する動きも広がっています。大量採用を行う県市を中心に、年齢制限を撤廃し、緩和する自治体が増えています。

 

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