eポートフォリオで学校が変わる(8) 大学入試改革とeポートフォリオ②

eye-catch_1024-768_morimoto_fin東京学芸大学教授 森本 康彦

学びに主体的に取り組む態度や、自己の感情や行動を統制する能力、互いの良さを生かして協働する力など「学びに向かう力・人間性等」に関する資質・能力を多面的・多角的に評価することが新入試における大きな課題の一つです。

これらの評価は筆記試験の結果だけで測ることはできません。一人一人のいくつかの側面を多様な角度から見つめる必要があります。だからこそ、高校3年間を通した学びの記録であるeポートフォリオを活用した大学入試が注目されます。

本来は、生徒が3年間を通して蓄積した「学びのアルバム」としてのeポートフォリオの全てを見て、評価することが最適であるはずです。しかし、大学入試という限られた機会と時間の中では、限界があります。そこで、文科省大学入学者選抜改革委託事業(主体性等分野)は、大学出願ポータルサイト「JAPAN e―Portfolio」を構築しました。これは生徒の活動の履歴や成果、振り返りのコメントをデータベース化し(ショーケース・ポートフォリオと呼ばれます)、その状況を生徒や教師が確認でき、そのまま入試出願できるよう目指しています。

eポートフォリオを活用した書類作成

このようなシステムの効果的な活用法の議論が今後進んでいくと思われますが、前回述べたように、新入試に対応する調査書や推薦書、志願者本人がまとめる活動報告書などの出願書類を作成するためには、3年間の授業や課外活動における主体的・対話的で深い学びのプロセスを通して、充実したeポートフォリオを密に蓄積しておくことが不可欠です。

ただ、これは「教育」ですので蓄積自体を目的化してしまっては絶対にいけません。あくまでも、学習過程においてeポートフォリオを活用することによって、生徒の学びをいかに深め、成長を促せるかが大切であり、「教育」として外せない本質的な目的を忘れてはいけません。

生徒が自ら活動報告書を作成する際には、数あるeポートフォリオの中から「これだ!」というものを選び出し、直接見ながら、当時の様子や思いを想起し、文章に表現していきます。特に、どのように学びに取り組み、何ができるようになったか、そこから得た教訓、今後どう生かしていきたいかなど、再びたくさんの気付きが起きてきます。

まさに、この作業自体が、生徒が学び過ごした日々の総括的な振り返り活動にもなるのです。これは、キャリア形成に欠かせない学びそのものであることに気付いてほしいです。総合型選抜や学校推薦型選抜では、活動報告書を用いたプレゼンテーションを求められることもあります。

しかし、心配は要りません。自身の学習エビデンスであるeポートフォリオを見ながら、自ら活動報告書を書き上げた経験は、本番のプレゼンテーションや面接の場面でも、その場で取り繕うことなく、自分の言葉で学びの成果や成長を自信を持って伝えられるはずです。